フロッピーアイコンよ永遠なれ!


この記事の所要時間: 250秒 〜 350秒程度(1701文字)


コンピュータやアプリケーションがどれだけ進化しても、「保存」となればフロッピーアイコンだ。今ではほとんど使っている人がいないであろうフロッピーディスクの絵姿が、Microsoft Ofiiceをはじめとする数多くのアプリケーションに残っている。そのデザインは間違いなく3.5インチフロッピー。ディスクを差し込んだときの「カシャッ」という音が懐かしい人も多いだろう。
 
さて、今どきフロッピーディスクにデータを保存することは考え難く、第一感ではフロッピーアイコンはかなりおかしな存在となる。別のアイコンに置き換わってしかるべきのように思うし、また確かにそういう動きもあるようだ。しかし、本当にそうだろうか。改善できる箇所が見付かったからといって、何もかも改めればいいというものではない。
 

floppy

credit: Chris Devers via FindCC

 


アイコンに大切なのは「わかること」

アプリケーションでアイコンを使用する理由は、文字より狭いスペースでその機能の意味を伝えるため。アプリを使っている側も長年の経験で、フロッピーなら「保存」、プリンターなら「印刷」、クエスチョンマークなら「ヘルプ」とすぐわかる。アイコンに大切なのは、それを見ただけで何ができるか「わかること」だ。
 
よく考えれてみれば、「検索」の虫めがねアイコンも電話の受話器アイコンもややおかしい。虫めがねで探すのはせいぜい「小さなもの」であって、情報を探すことはないだろう。アイコンによるとはいえあんな丸みのある受話器は今どき使わないし、スマートフォンの電話機能が受話器アイコンなのはかなりの自己矛盾だ。言うまでもなく、スマートフォンに受話器はない。
 
それでもアイコンとして役立つのは、その機能を象徴するラベルとして虫めがねや受話器が認識されているから。当たり前のことながら、アイコンは「そのものずばり」をあらわす必要はない。もちろん、そのものずばりがよい場合もあるだろうが、その目的は多くの人に「わかること」だ。フロッピーは中途半端に古いせいでおかしく感じられるが、「保存」という機能を象徴するものと考えれば何の問題もないことになる。
 
「保存」の新しいアイコンをつくって、すぐに理解できない人が増えるようになったら、むしろユーザビリティは下がってしまう。アイコンを機能の現状に合わせたいと思うのは自然だとしても、それによって本来の目的を成し遂げられなくなったら身も蓋もない。誰もが理解できるような新しいアイコンの浸透はなかなか考え難く、故に「フロッピーアイコンよ永遠なれ!」となる訳だ。
 


いいアイデアには飛び付くな!

「フロッピーアイコンはおかしい!」などと気付いたとき、人はそのアイデアを何らかの方法で活用したくなる。そのアイデアを良いものと思えば思うほどその熱量は高くなり、すぐにでも作業に取り掛かりたくなるだろう。
 
もちろんそのアイデアによる改善が素晴らしいこともあるだろうが、短気は損気。そもそもの目的を再考したり、他にもっと重要なことがないか見直したりすることが大切になる。フロッピーアイコンが機能の現状と合っていなくても、「わかること」という本来の目的を果たせていれば、無理にいじらない方が得策なのだ。
 
いいアイデアに飛び付きたいのは人情だが、それではうまくいかないことも多い。改善すべき箇所を少しでも早く直そうとする姿勢は大切なものの、それでは本来性を見失うことに成り兼ねない。いいアイデアをより良く活かしたいなら、まずは飛び付かずに熟考することだ。
 
フロッピーアイコン然り、ビジネスシーンでの改善然り。スピードを要求される世の中だからといって、急ぐことばかりを優先しては元も子もなくなるのがオチ。こういう世の中だからこそ、いいアイデアに飛び付かない姿勢が求められているように思う。

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