餃子支出金額、「浜松vs宇都宮」の不思議


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このブログでも何度か話題にしている家計調査の最新データが、総務省統計局より発表された。家計調査報告(家計収支編)―平成26年(2014年)平均速報結果の概況―がそれで、要約の冒頭部分を引用すると以下の通り。

2014年は4月に消費税率が5%から8%に引き上げられたが,消費支出は,総世帯で前年に比べ名目で同水準となった。また,実質3.2%の減少となり,2011年以来3年ぶりの減少となった。二人以上の世帯では実質2.9%の減少,単身世帯では実質2.4%の減少となった。

2014年、一般家庭の財布の紐はなかなか緩まなかったようだ。
 
さて、家計調査と言えば餃子(家計調査での品目分類名は「ぎょうざ」)。2014年は浜松市が宇都宮市を征して購入額日本一に輝いたようだ(参考:日本一ギョーザ購入額、浜松が首位奪還 宇都宮抑え2年ぶり|日本経済新聞)。正直、どちらの市が餃子日本一でも結構だが、気になるのは餃子購入の内実の方。以前にも書いた通り、浜松市と宇都宮市は餃子が高いのだ。そこで今回は、両市の餃子購入実態の「異常さ」をわかり易く見せるため、プロット図をつくってみた。
 

餃子

credit: shingo via FindCC

 


浜松と宇都宮だけ「餃子が高い」


家計調査でわかるのは、家計の収入、支出、貯蓄、負債など。この中の家計収支編に「品目分類」での集計があり、さまざまな品目の支出金額等がわかるようになっている。餃子の場合、わかるのは「購入頻度」と「支出金額」で、これを都市別(都道府県庁所在市および川崎市、相模原市、浜松市、堺市、北九州市)に集計したものが今回の対象データとなる(二人以上の世帯)。頻度と金額だけでは「単価」の視点が欠けてしまうため、併せて「1頻度あたり支出金額」を算出してこれを補った。「購入頻度」は100世帯あたりの数値なので、算出式は次の通り。

 1頻度あたり支出金額 = 支出金額 ÷ ( 購入頻度 ÷ 100 )

 
この「1頻度あたり支出金額」と「購入頻度」をプロットしたのが次の図となる。

餃子の「購入頻度」と「1頻度あたり支出金額」

いかがだろう。一部の都市名が見難く申し訳ないが、浜松市と宇都宮市だけ「1頻度あたり支出金額」が飛び抜けて高いのは一目瞭然だ。多くの都市の「1頻度あたり支出金額」が250円〜350円に集中していて、大都市平均が約350円。比較的金額の大きい名古屋市や東京都区部でも350円〜400円のところ、浜松市と宇都宮市だけ500円を大きく超えている。浜松市と宇都宮市は、「購入頻度」で言えば3位の京都市、5位の宮崎市、6位の大阪市とほぼ同じ水準なのに、「1頻度あたり支出金額」が大きいために「支出金額」の1位と2位になっているのだ。
 
「1頻度あたり支出金額」が大きい原因は、1頻度あたりに食べる「餃子の量が多い」可能性もあるが、「餃子が高い」と考えるのが素直だろう。ある種のムーブメントに巻き込まれているとは言え、かなり不思議な現象のように思う。この競争に参加したい都市があるなら、餃子を食べる頻度を上げても勝ち目はない。まずは、餃子の値段を高くしないことには話にならない。
 


嫌な感じがするデータ


過当競争(?)が引き起こした結果だとしても、それが現状ならばそれはそれ。統計データとして粛々と活用するのみだ。しかし、何とも嫌な感じがするデータなのも確か。マーケティング活動などの成果が統計として確認できるのなら凄いことだが、どうにも手放しでは喜べない。あまりに人為的な傾向は、統計として見たときに気味が悪いのだ。餃子の「支出金額」のような変に歪んだデータには、いささかの不健全さを感じてならない。
 
と、本記事を書き終えたところ、朝日新聞にギョーザ1位争い、宇都宮「もうやめる」というニュースが出ていた。データの歪みを気にした訳ではないだろうが、不自然な競争に終止符が打たれるなら結構なことだ。今後、宇都宮の餃子支出金額は下がるのか、下がるとして「頻度」と「1頻度あたり支出金額」のどちらが変化するのか。興味は尽きない。

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