家計調査の分類改定がおもしろい!


この記事の所要時間: 320秒 〜 420秒程度(1880文字)


総務省統計局が実施している家計調査では、家計の収入や支出を事細かに調べている。その分類の項目数は、「消費支出」だけでも約500。一例として「調理食品」の「他の調理食品」を見れば、前回の記事で扱った「ぎょうざ」以外にも、「うなぎのかば焼き」、「コロッケ」、「しゅうまい」、「冷凍調理食品」など計12項目が調査されている。調査目的のために必要なのだろうが、気が遠くなるような細かい分類だ。
 
さて、この家計調査。昭和20年代から継続されている歴史ある調査だが、収入や支出の分類は不変という訳ではない。世の中の変化に合わせて、分類は数年おきに見直されている。そして、この改定がちょっとおもしろい。そこで今回は、今年(2015年)1月に行なわれた分類改定の内容を紹介してみよう。
 

 


しめじ、焼肉が加わり、煮干しとミシンが姿を消す


今回の改定では、例えば、「他のきのこ」が「しめじ」、「えのきたけ」、「他のきのこ」に分割された。実質的には、「しめじ」と「えのきたけ」が切り出された格好だ。他にも、「チューハイ・カクテル」、「焼肉」などが新規項目となっている。単純に分割されたのは「園芸品・同用品」で、「園芸用植物」と「園芸用品」にわける変更。今回の改定で分割されたのは、計10項目だった(参考:家計調査の収支項目分類の改定について(平成27年(2015年))。

※画像は家計調査の収支項目分類の改定についてからキャプチャー

※画像は家計調査の収支項目分類の改定についてからキャプチャー

 
一方、統合されてしまったのは「煮干し」と「ミシン」。前者は「他の塩干魚介」に、後者は「他の家庭用耐久財」に組み込まれ、分類項目としては消えてしまった訳だ。これらの項目は、家計において支出額や重要度が下がったということなのだろう。やや勿体ない気もするが、これが「時代の流れ」と考えることもできる。

※画像は家計調査の収支項目分類の改定についてからキャプチャー

※画像は家計調査の収支項目分類の改定についてからキャプチャー

 
これらの変更に興味を持てたなら、長い期間での変遷も見るに値するだろう。収支項目(品目)分類の変遷(エクセル:725KB)では、昭和21年からの分類の歴史を見ることができる。例えば、現在、お米は「米」の1項目だけだが、昭和21年には「七分つき米」、「玄米」、「もち米」も項目になっていた。更に、「米ともち米の混合」や「米と麦との混合」も別項目になっている。それが、徐々に米のレベルの分類にシフトして行き、平成12年からは「米」1項目のみになった。解釈のし過ぎはオススメしないものの、その変遷に日本人のお金の使い方の変化があらわれているのは間違いないだろう。分類の性格上やや後追いになるとは言え、細かく見ていくといろいろおもしろい。

※画像は収支項目(品目)分類の変遷をキャプチャー

※画像は収支項目(品目)分類の変遷をキャプチャー

 


分類!分類!!分類!!!


リサーチするときやデータを分析するとき、「分類」は欠かせない。大きな塊をわけるにせよ、個々のデータや回答をまとめるにせよ、キーとなるのは「分類」だ。一般のアンケート調査で購入したものを聞くなら、家計調査のような細かさは必要ないだろう。しかし、それでも何らかの分類が必要になる。
 
そして、この分類によって、データは意味のあるものにも意味のないものにもなる。分類に正解はないものの、少しでも価値ある結果を望むなら、どのような分類にするかとことん真摯に考えることが重要だ。どこをわけて、どこをまとめるのか。「分類」は極めて難しい作業だが、そこにセンスがあらわれる。分類がうまく行ったことで価値ある結果をつくれれば、「分類」の楽しさがわかってくる。そして、分類の難しさ、楽しさ、価値を知るために、家計調査の分類改定は第一級の資料となる。ぜひ、一覧をオススメしたい。

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