選挙カーのAIDMA 「続きはWebで」!?


この記事の所要時間: 340秒 〜 440秒程度(2105文字)


今週日曜日(4月26日)は統一地方選挙の投票日。都内は、ほとんどの特別区で区議会議員選挙をやっていることもあり、候補者がたくさんいて、選挙カーがとにかく多い。そして、選挙カーから大きなボリュームで流されるのは、候補者名と「お願いします」の繰り返しばかり。「これまで○○政策に積極的に取り組み・・・」、「地元○○で生まれ育ち・・・」などと話しているときもあるが、どうも要領を得ない印象だ。
 
選挙運動をある種の広告活動と捉えた場合、選挙カーでのアピールにはどんな目的があるだろうか。名前の連呼を聞いていると、「他の候補者もやっているから」、「以前からやっているので」といった消極的な動機で行なっているのではと疑ってしまう。もちろん、選挙カーの活用方法は候補者それぞれで違っていいのだが、そのポジションを明確にして活用した方が良いように思う。
 
さて、このようなことを考えるときは、既存のフレームの応用が役に立つ。今回は、マーケティングの古典的なフレーム「AIDMA」を使って考えてみたい。
 

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credit: narciso1 via pixabay

 


選挙カーの狙いは?


AIDMA(アイドマ)は、広告に接した消費者の心理プロセスの変化を段階で表したもの。消費者の心に起きる5つの段階の頭文字を取ってAIDMAと呼んでいる。

 ●Attention(「注意」をひく)
 ●Interest(「関心」を持たせる)
 ●Desire(「欲求」を抱かせる)
 ●Memory(「記憶」に残す)
 ●Action(「行動」を起こさせる)

当然、広告を見たり聞いたりしたときの消費者心理の動きが必ずこの通りになるという訳ではない。しかし、広告の位置付けを考えるとき、この枠組みに沿って整理すると状況がはっきりする。各段階の具体的な中身については諸説あるし、他の段階を使う異説もあるが、ポイントは段階で考えること。まずは、細かなことは気にせず、消費者心理にどのような変化を起こしたいかを考えればいい。
 
さて、選挙カーでの広告活動はこのどれを狙ったものだろうか。Attention(「注意」をひく)なのか、Interest(「関心」を持たせる)なのか、それとも一気にAction(「行動」を起こさせる)なのか。実験でもしない限り、どれがもっとも効果がある「正解」なのかはわからないが、それでも事前に狙いを付けることはできる。そして、多くの選挙カーはAIDMAのどの段階を狙っているのかがわからない。この狙いがはっきりしていないせいで、ただうるさいだけの選挙カーになってしまっているのではないだろうか。
 


名前とキーワードを結びつける


走っている選挙カーが周辺の住民や歩い人と接する時間は数秒かせいぜい十数秒程度。そうなると、候補者側の狙いと同時に、実際に「何ができるか」がポイントになる。ここは推測になるが、実現できるのはせいぜい「注意」か「関心」と考えるのが現実的だろう。
 
そうなると、「注意」を促す名前の連呼は正しいことに成り兼ねないが、注意をひくにしてもそこには質の問題がある。最初の注意のひき方が悪ければ、いくら候補者の認知率が上がっても本来の目的である「行動」の段階になかなか進まない。嫌な感じの広告で知った企業の商品を買おうと思わないのと一緒のことだ。それでは本末転倒になってしまう。
 
すぐにできる工夫は、名前とキーワードを結びつける方法だろうか。名前を連呼したり、細かな政策を説明するのでなく、自身の特徴を一言であらわすことばと名前をセットにして覚えさせる。「高齢者福祉の○○でございます」、「○○は産業振興を中心に活動しています」という単純な中心メッセージを伝えるのだ。名前からキーワードが連想される状態にできれば、「関心」につながる可能性がある。関心さえもってもらえば、後は「続きはWebで」でもいいだろう。もちろん、他の方法でもいい。何にせよ、「欲求」以降の段階は選挙カー以外のメディアで実現すると考えるのだ。
 


ポジショニングを忘れずに?


ここまでの選挙カーのポジショニングは机上の空論だが、その大切さはわかっていただけるだろう。広告は何でもかんでも伝えればいいというものではない。目的に応じてメッセージを編集し、相手を不快にさせない程度に伝えた方が効果が期待できる。
 
そして、考えるのは、こういうポジショニングをしっかり考えられる候補者に投票したい人がいるだろうということ。何となく選挙カーを走らせている候補者より、その狙いを明確にして目的に沿った活動をしている候補者の方が、政治家として有能と考えるのは無理がない。候補者には、その見識を示すためにも選挙カーの位置付けを真剣に考えてみることをオススメしたい。そして、それで街に静粛が訪れるなら、更に歓迎する。

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