ビニール傘を考える


この記事の所要時間: 30秒 〜 40秒程度(1786文字)


最近、新しく発明した傘をビジネス化するというニュースをよく見掛ける。折り紙にヒントを得た「骨なしの傘」、空気で雨を吹き飛ばす「見えない傘」など。傘は生活に欠かせないものだからこそ、「さしていても濡れる」、「風が吹くと役に立たない」、「持ち歩くときに邪魔になる」など不満が尽きない。これらの顧客の声を新たなタイプの傘へのニーズと捉え、新発明がクラウドファンディングなどに持ち込まれるのだろう。
 
そこで、傘としてポテンシャルが高いと思うのがビニール傘だ。何せ、安くて、軽くて、見通しがいい。強い風が吹いて前に傘をさしているときでも、生地の部分が透明なので視界は良好。雨空からさす弱い陽の光も遮らないため頭の周りが暗くならず、気分もいい。無理に新しい傘を考え出すよりも、ビニール傘の改良に商機があるように思う。
 

傘

credit: B_Me via pixabay

 


欠点は「安さ」!


ビニール傘といえば、1本500円というのが何となくの相場。いまでは100円ショップでも売っているし、コンビニなどでは350円や400円の商品もあるが、ワンコイン500円を思い浮かべる人が多いだろう。500円を超えるビニール傘はあまり見かけない。
 
高くても500円という「安さ」はビニール傘の魅力のひとつだ。しかし一方で、大きな欠点でもある。低価格が故に、「たかがビニール傘」と粗末に扱われるのだ。どのビニール傘を買うか真剣に迷う人は少ないし、職場の傘立てなどに所有者不明のビニール傘が溜まっていいくのは見慣れた光景。この「たかがビニール傘」というイメージを持たれていることが、便利なビニール傘を不当に貶めているように思えてならない。
 


「高級ビニール傘」は1,000円〜2,000円?


今までのビニール傘のイメージを払拭する方法として、誰もが思いつくのが「高級ビニール傘」。ビニール傘の最大の利点である生地の「透明さ」を残しつつ、骨や中棒(シフト)や加工のレベルを普通の傘並みにする。「安かろう悪かろう」をから脱したこのようなビニール傘があれば、欲しいと思う人も多いのではないだろうか。
 
実は、「高級ビニール傘」は既にある。天皇皇后両陛下が雨の日の園遊会で使うビニール傘、政治家が選挙演説で使うビニール傘がそれで、その価格は5千円〜1万円程度。その価値はわかるし、需要もあるのだろうが、最近の普通の傘の価格帯を考えるとかなり高い感じは否めない。
 
直感で言えば、一般に受け入れられる「高級ビニール傘」は1,000円〜2,000円くらいがいいところ。この価格帯で、どこまで品質をあげられるかが勝負になるように思う。
 


競争軸をずらせば・・・


さて、1,000円〜2,000円くらいの「高級ビニール傘」がどのくらい売れるかはわからないが、ちょっとした工夫で売れる/売れないが変わってくることは確かだろう。経験的に言えば、ここで必要なのは発想の転換だ。「少しでも品質の良いものを」、「より安いものを」といった真正面からのアプローチではなく、少しひねりが求められる。
 
例えば、位置付けを高級なビニール傘とするか、生地が透明な普通の傘とするか。商品の着想は前者でも、売り方は後者でもいい。この違いだけで、消費者の見る目が変わり、商品が置かれる場所が変化するかも知れない。
 
また、ビニール傘にはよく間違えられるという欠点がある。こういうちょっとした不満を同時に解消するだけで、「高級」にふさわしい(?)プラスアルファの機能になることがある。単純に考えれば、傘の持つ部分にちょっとした印や柄を入れるとか、つゆ先の色を変えるとかして、いくつものパターンを販売する。傘の本来の機能からは離れた部分が、思わぬ評価を受けたりするものだ。
 
傘という本来は成熟した商品だからこそ、競争する部分を変えるような発想の転換がが大切になる。「高級ビニール傘」を売り出すなら、いかに競争軸をずらかがポイントになるだろう。ぜひ、誰もが使いたくなるような「高級ビニール傘」が出てきて欲しいものだ。

  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.