今年の夏、デング熱患者は減るけど増える!?


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数週間前までの春の冷え込みも何処へやら。4月も下旬に入り、少し動いただけで汗ばむような日が多くなってきた。ゴールデンウィークが終われば、立夏を迎えて暦は夏。暑さは、すぐそこまで来ている。
 
さて、暑くなれば蚊が湧いてくる。気になるのは、昨夏騒動になったデング熱だ。昨年はデング熱患者が160名発覚し、代々木公園や新宿御苑が閉鎖される事態に至った。今年の夏もあのような騒ぎになるのだろうか(参考:デング熱について|厚生労働省)。
 
今年は、東京都などが既にデング熱対策に乗り出しており、その効果を考えれば患者は「減る」と予想するのが常識的だろう。しかし、少しリサーチの視点を入れると、「増える」可能性の方が高いように思えてくる。「減るけど増える」としたのはそのためだ。
 

蚊

credit: Mehihe via pixabay

 


対策が本格化すると、問題が顕在化する

デング熱患者が「増える」とした理由は簡単で、昨年までと較べてデング熱対策が本格化してるからだ。多くの公園で蚊を採取してチェックすれば、デング熱ウィルスを持つ蚊が見付かる可能性は増える。そうなると、例年ならば「夏風邪かな?」で済ましたような患者が、念のため病院に行くようになる。そして、デング熱の疑いのある患者全員がデング熱の検査をされるようになれば、デング熱と診断される人も増える。昨年やそれまでの年と同じ人数の患者が発生しても、データ上は患者が増えたことに成り兼ねないのだ。
 
何か1つの問題が発覚すると、同じタイプの問題が続けて見付かることがある。もちろん、多くの場合、急にそのタイプの問題が増えた訳ではない。その問題に注目が集まることで、監視の目が強くなったり、実際にチェックする人が出たりして、次々と問題が発覚するだけだ。起きているのは、問題の発生ではなく、問題の顕在化でしかない。
 
デング熱もこのパターンになれば、患者は「減るけど増える」状態になる。対策の効果によって実際に患者が減っても、顕在化する患者数は「増える」ことになってしまうのだ。
 


患者数が増えても冷静な対応を!

デング熱患者が増えれば、担当省庁が繰り返し注意を呼びかけ、メディアは連日のように報道するようになるだろう。当然、注意は必要だし、充分な情報を取得した方がいいが、敏感になり過ぎないことが大切だ。
 
デング熱患者はデータとして増えただけで、実際的には昨年までと変わっていない、もしくは減っている可能性も高い。メディアの報道に躍らされることなく、冷静に事態に対応することが大切になる。
 
データについては、でき上がったデータの見方の議論が多いが、実際は「データのつくり方」がポイントになる。例えば、今回のように、何かについて観察の頻度が上がれば、問題は顕在化し易くなって当然だ。「データのつくり方」に疑問を持ち、それについて考えることは、データ活用の第一歩。データを見る目を養うためにも、今回のような例をきっかけに、「データのつくり方」について考えてみて欲しいものだ。

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