「中小企業」を図解する!?


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先日、経営再建中のシャープが資本金を1億円まで減資して「中小企業」になるというニュースがあった。最終的には、資本金を5億円にすることで「中小企業」化は避ける方針のようだが(順調に進めば6月30日に減資手続き完了)、不思議に思われた方も多かったのではないだろうか(参考:第三者割当による種類株式の発行、定款の一部変更、資本金及び資本準備金の額の減少並びに剰余金の処分に関するお知らせ|シャープ)。
 
常識的に考えると、シャープは大企業だ。14日に公表された平成26年度(第121期)決算報告書によれば、2015年3月期の売上高(連結)は 2兆7862億5600万円。こんな売上高の企業が、中小企業であろうはずがない。しかし、普段の会話に出てくる中小企業と法律における「中小企業」は別物。法律では「中小企業」に独自の定義があるため、多くの人が思う中小企業と食い違うこともあり得るのだ。
 

資本

credit: geralt via pixabay

 


資本金1億円以下の企業は「中小企業者」


今回の騒動でシャープが目指したと考えられるのは、法人税法でいう「中小企業者」。「中小企業者」の定義は「資本金1億円以下の企業」で、これに当てはまると「外形標準課税の不適用」など税制上の優遇を受けられることになる。この税制優遇を狙ったという見立ては、あながち間違っていないだろう。
 
どこから見ても大企業のシャープが、資本金を減らすことで定義上の「中小企業者」になる。税制優遇等を受けることに一部から批判も出たようだが、ルールはルール。遵法の範囲で全力を尽くすことが、株主に対する誠意という考え方もある。実現していたら、それはそれでおもしろかったように思う。
 


中小企業基本法における定義は業種別


「中小企業」にはもうひとつの定義がある。中小企業基本法における定義で、各種補助金・助成金の対象になるかなどに関わってくる。この定義は業種によって基準が違い、具体的には以下のようになる(参考:中小企業・小規模企業者の定義|中小企業庁)。
 

●製造業その他
  資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は
  常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人

●卸売業
  資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
  常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

●小売業
  資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
  常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人

●サービス業
  資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
  常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

これはあくまで原則であり、使用する法律や制度によっては定義が異なることもある。また、「ゴム製品製造業(一部を除く)」、「旅館業」、「ソフトウエア業・情報処理サービス業」については、これらの業種にあった特別の基準を設けることも多い。
 
更に、これに加えて「小規模企業者」というカテゴリーもあり、以下のよう定義される。

●製造業その他
 ・従業員20人以下

●商業・サービス業
 ・従業員5人以下

 
さて、この「中小企業」等の定義はいかがだろうか。基準は明解ながら、第一感で「わかりにくい」と感じる人も多いように思う。難しくはないけど煩雑。そんな印象を受ける。
 


「中小企業」を図解すると・・・


そこで、図解である。

中小企業基本法における「中小企業」の定義

 
「中小企業」等の基準になる従業員数と資本金を軸にとって図にしてみた。もちろん内容に差はないが、文字だけよりも多少わかりやすくできたように思う。今回は省略したが、例外となる業種についても同様のものをつくれば、更にわかりやすくなるはずだ。
 


入口のハードルを下げる!?


文章で示される定義を図解しても、「何もいいことはない」と考える人もいるだろう。定義の厳密さが損なわれる場合もあるし(例えば、上の図では「以下」か「未満」かを示してない)、定義を示すのに余計な紙幅が必要になる。定義が文章になっているなら、何もそれをいじる必要はないという訳だ。
 
この考え方には一理ある。しかしそれでも、定義をわかりやすく示すことには入口のハードルを下げる効果があるように思う。補助金の公募要領などで「中小企業」の定義が出てきたときに感じる「何これ、面倒臭そう!」という抵抗感。これを減じる効果が期待できる可能性はあるだろう。
 
ビジネスの現場では、本質的でないおまけの取り組みが結果を導くことも多い。案外、こんな些細なことが政策活用の促進に役立つ可能性もあるかも知れない。このような「見える化」も悪くないと思うのだが、いかがだろうか。

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