自動運転カーの事故率は高い? 低い?


この記事の所要時間: 330秒 〜 430秒程度(2027文字)


Googleが開発している自動運転カーについて、いくつかのデータが公開された。その中で特に興味をひかれたのが、自動運転カーで遭遇した事故件数だ。事故は、6年間のテスト走行で11回。走行距離は170万マイル(約270万km)なので、10万マイルあたり約0.6件の事故率となる。「National Highway Traffic Safety Administration(国家道路交通安全局)が公開している情報によれば、自動車同士の損害のみで負傷者が出ていない事故は、全国平均で10万マイル(約16万km)の走行で約0.3件発生」であり、自動運転カーの事故率は一般の運転での平均よりもかなり高いようだ(参考:Googleの自動運転カーは6年間で11回の事故に遭遇していたことが判明|GIGAZINE)。
 
ただし、この「高い」には注釈が付く。一般の運転では「警察に届けられないような小さな衝突事故も多数発生しているはず」なので、単純には比較できないという訳だ。確かにその通りだとは思うものの、それではデータの意味付けができなく困ってしまう。注釈付きのデータでは、自動運転カーが安全か否かを判断できない。
 
多くの場合、データは単体では意味が取れない。全体の平均だったり、別な層での数値だったり、これまでのデータだったりと比較することで、はじめてその意味付けが可能になる。そして、比較の方法に正解はないため、ここにデータをつくる側のセンスがあらわれる。うまいデータをつくれば多くの人を説得できるし、うまくいかなければ鼻で笑われることになるのだ。不幸な結果を招かないために必要なのは、誰もが納得するようなデータをつくること。そこで今回は、自動運転カーの事故率を例に、説得力のあるデータのつくり方を考えてみる。
 

事故

credit: stevepb via pixabay

 


データの質を合わせる

自動運転カーの事故率で残念なのは、比較対象としているデータと質が揃っていないこと。一般の運転で事故がすべて届けられているとは思えないし、「自動車同士の損害のみで負傷者が出ていない事故」のみを比較対象とするところの正当性も不明だ。質の違うデータを較べようとするから、比較に注釈が付いて、話がややこしくなる。データに解釈の余地が残れば、事故率が高いか低いかが曖昧になり、説得力は低下してしまう。
 
この問題を解決するには、質のあった比較データを自らつくる方法が最良となる。一般車と自動運転カーそれぞれに事故を監視する装置を付けて、その結果を較べるのだ。「事故を監視する装置」は架空の装置だが、まずは衝突による衝撃等を測定することで実現可能と考えた。同じ装置での結果を比較すれば、比較の方法に対して疑いを持たれることは少なくなるだろう。
 
もちろん、どのような人が運転する一般車に装置をつけるかで結果は違ってくるし、データを具体的にどう集めるかはなかなか難しい問題だ。更に言えば、自ら比較データをつくるには多大なコストが掛かる。こう考えると、自らデータをつくる方法に難点は多いが、自動運転カーという今までにないものの安全性を説明したいのなら、自ら比較データを作成するくらいの覚悟は必要なように思う。
 


事故の基準はオープンにする

「事故を監視する装置」がつくれたとして、何をもって「事故」とするかの基準も難しい。また、参考にした記事でも少し触れられているが、事故の責任が自分側と相手側のどちらにあるかの判定は恣意性を持っている。
 
この部分については、事故や責任をどう定義しても異論が出るのは間違いないだろう。一つ間違えれば、「自動運転カーに都合のいい定義にしている」等の悪意ある解釈が出てきてもおかしくない。
 
ここでできることは、充分議論して事故や責任の定義を行なった上で、情報をオープンにすることだ。定義を明示した上で、例えば事故前後のドライブレコーダーの画像を公開するなどして、事故か否かについて反論を可能にする。そして、反論を受け付ける。このようなオープンな状態をつくることで、一定の信頼が確保できると考えられる。
 


「オープンである」ということ

現代は、ごまかしの利かない世の中だ。ちょっとしたことでも、隠そうとすればするほど、露見したときに反動が大きくなる。
 
もちろん、データについてもごまかしは利かない。データのつくり方に正解はないのでどうやっても異論は出るが、そこにごまかしの要素がないことが大切になるのだ。このときのキーワードは「オープンである」ということ。データ活用にあたっては、このことを肝に銘じて励んでもらいたいものだ。

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