有料化で救急車の利用は減るのか?


この記事の所要時間: 20秒 〜 30秒程度(1218文字)


救急車の有料化が検討されているという。救急車の出動件数は年々増えて来ており、通報から現場到着するまでの時間も拡大傾向にある。そこで、有料化によって救急車の出動件数を抑制し、一刻を争う重症者の搬送を迅速化することが狙いのようだ(参考:救急車:「有料化」提案 財務省、軽症者対象に|毎日新聞)。
 
さて、この取り組みには一つ心配がある。それは、有料化によって救急車出動件数が減少するという考え方だ。一般論としては、モノの価格が上がれば需要が減るのは当然だが、そう単純に行かないのが人間の心理。有料化で、出動件数がむしろ増える可能性さえあるように思っている。
 

緊急

credit: HebiPics via pixabay

 


有料化されれば、気軽に使える!?


救急車の有料化で思い出したのが、Tumblrに古くから伝わる保育園の説話(?)だ。ある保育園で、お迎えの時間に遅れた保護者に罰金を課すようにしたところ、遅刻する人が却って増えたという。罰金という対価を支払うことで、遅刻への罪悪感が弱まってしまったのだろう。「お金を払ってるんだから、遅れてもいいでしょ!」とまではいかないにしても、遅刻することへの心理的な抵抗が減ることは想像できる。
 
これと似たことが救急車の有料化で起きれば、「これくらいのことで救急車を呼んでは申し訳ない」という心理的な抵抗が減ることになる。自分の病気や怪我に対するおそれは相当なもの。数万円の出費は痛いとしても、健康には(命には?)変えられない。「お金で済むなら・・・」と、救急車を気軽に呼ぶ人が増えても不思議はない。
 


マーケティング的な考え方を!


あるモノの価格が上昇すれば、その需要は減ると考えるのが常識的だ。経済学的とでも言おうか。モノと価格の関係を合理的に考えるなら、そうなるのが当然のように思える。
 
しかし、人間の消費行動は複雑怪奇なもの。価格が高くなったら需要が減るというのは一般論としては正しくても、例外は数限りなく存在する。あるものを今より多く売りたかったり、売りたくなかったりするときは、価格だけに注目してはいけない。その裏にある人間の心理の機微を考慮して、人間が実際にどう動くかを検討することが必要になる。つまりは、マーケティング的な考え方も求められるのだ。
 
救急車の有料化で出動件数が増えるか減るかは、やってみなければわからない。しかし、その検討にあたっては、経済学の教科書的な考え方だけでなく、もう少し人間の心理を考えたマーケティング的なアプローチが役立つように思う。一定の条件下でひとつでも多くの命を救うという大目的を実現するためにも、より広い視野で対策を検討してもらいたいものだ。

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