「美人投票」に要注意!


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村一番の美人を投票で選ぶとする。このとき、1位になった美人に投票した村人に賞金を出すようにしたら、結果はどうなるだろうか。村人は、「自分が美人だと思う人」ではなく、「みんなが美人だと思うだろう人」に投票するようになるだろう。その結果、平均的な美人(?)が選ばれ易くなる。賞金を出すことで、どんな人に投票するかの基準が変わってしまう訳だ。
 
ケインズ経済学で有名なジョン・メイナード・ケインズは、株式市場で取るべき行動をこの「美人投票」に当てはめて説明した。即ち、「自分が値上がりすると思う銘柄」ではなく、「みんなが値上がりすると思うだろう銘柄」を買った方が、株式投資では儲かると主張したのだ。このケインズの「美人投票」理論には反論もあるようだが、「自分が思う」と「みんなが思うだろう」の違いは意識しておいて損がない。この微妙で大きな違いを見逃すと、目も当てられないことに成り兼ねないからだ。
 

投票

credit: landrachuk via pixabay

 


SNSは「美人投票」!?


例えば、TwitterやFacebookをはじめとするSNSなどへの投稿も、賞金付きの美人投票になっているように見える。つまり、純粋に「自分がおもしろいと思うモノ」ではなく、「みんながおもしろいと思うだろうモノ」を投稿しているということ。使っているうちに「リツイート」や「いいね!」をしてもらうことが快感になり、更に「みんながおもしろいと思うだろうモノ」にシフトしていくのだろう。文章を書いて公開したら少しでも「読まれたい」、「認められたい」と思うのは人情だが、無理をしているのが見え見えで痛々しい人も多い。
 
「みんながおもしろいと思うだろう」を投稿するかどうかは、良し悪しではなく好みの問題。それが人付き合いなのかも知れないし、味方を変えれば「顧客志向」と捉えることもできる。ただし、「自分がおもしろいと思う」と「みんながおもしろいと思うだろう」の区別は常に忘れない方がいい。うっかり「みんながおもしろいと思うだろうモノ」が「自分がおもしろいと思うモノ」にすり替わると、その人は個性のない詰まらない人になってしまう。
 


見せかけの人気に要注意!


さて、一人一人が何を投稿するかは自由として、投稿された量をデータとして見るときには注意が必要だ。多くの人が投稿しているものは、賞金付き「美人投票」の影響で人気が実際より過剰になっている可能性がある。あるレストランについての投稿が多いとき、「自分が好きだと思う」人の投稿が多いのと、「みんなが好きそうだと思う」人の投稿が多いのでは、まったく意味が違ってくる。後者が多い場合、その人気は見せかけの人気に過ぎない可能性も高い。
 
これらの違いを確実に見わける方法はないが、できるのは「自分が思う」と「みんなが思うだろう」の違いを意識すること。この違いを頭においてSNSなどを見ると、景色がかなり変わってくる。SNSに惑わされないためにも、賞金付き「美人投票」の存在に注意することをオススメしたい。

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