エスカレーターの片側空けをなくす方法


この記事の所要時間: 40秒 〜 50秒程度(2221文字)


誰に言われるでもなく、法律で決まっているわけでもなく、それでも多くの人が守る習慣というものがある。室内に入ったら帽子を取るとか、出入口で出る人を優先させるとか。エスカレーターでの「片側空け」も、そんなマナーのひとつだ。
 
しかし、このエスカレーターの片側空けマナーは、もうすぐ過去の習慣になるかも知れない。今夏、全国の鉄道事業者や商業施設などが「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーンを実施しているためだ(参考:「エスカレーターで片側をあける習慣」がなくなるかもしれない 公共施設など国土交通省後援でキャンペーン実施|ねとらぼ)。キャンペーン実施の理由は、エスカレーターでの事故防止という極めて真っ当なもので、頭で考える限りは従うしかない。
 
とは言え、そう簡単に変えられないのが身に付いた習慣なのも確か。ポスター等で注意喚起したくらいでは、長年続いてきたマナーが変わるとは考え難い。「我々はこうしたい」=「片側空けをなくしたい」というメッセージを伝えることは大切だが、実際にそれに従わせるには一工夫、二工夫が必要になるのだ。そこで今回は、頭の体操がてら、「片側空け」をなくすための方法を考えてみた。
 

 


「誰もが知っているだろう」と思わせる!


エスカレーターの片側空けをなくすためにまず必要になるのは、メッセージの徹底的な周知だ。「片側空けをなくしたい」と考えていることを、一気に大量に伝えなくてはならない。周知で大切なのは、多くの人に知らせることだけではなく、多くの人に知らせようとしていることを知らせること。大々的な広報活動をすることで、鉄道事業者等が「片側空けをなくしたい」と考えていることを、「誰もが知っているだろう」と思わせることが求められるのだ(参考:共通知識 ― 全員が知っていることを、皆が知っていると、誰もが知っている|ささびず)。
 
このような状態をつくらないと、「片側空け」の排除に賛同している人も、実際には「両側乗り」に協力できない。周りに居合わせた人が、鉄道事業者等の「片側空けをなくしたい」という意向を知らなければ、そのひとはただの非常識な人になってしまうためだ。もちろん、「誰もが知っているだろう」と思わせることは簡単ではないが、多くの人に知らせるだけでは不充分なことを理解する必要がある。
 
「誰もが知っているだろう」と思わせることが捗らないなら、限定的にでも同じような状態をつくればいい。要は、エスカレーター付近で「片側空けをなくしたい」ことを強くアピールするのだ。例えば、エスカレーターの前に係員を配置して「両側乗りにご協力ください」と繰り返し言うようにするとか、エスカレータの手すりに「両側乗りにご協力ください」のメッセージをプリントするとか。このレベルのプッシュをしない限り、長年身に付いたマナーは変わらないように思う。
 


メッセージは「両側乗り」の推奨!?


さて、もう一つ大切なのが、メッセージの単純化だろう。片側空け排除キャンペーンの記事をいくつも読むと、その焦点がどこにあるかわからなくなってしまうのだ。すなわち、片側空けをやめることなのか、手すりにつかまることなのか、エスカレータで歩かないことなのかがはっきりしない。当然ながら、どれを実行しても似たような結果にたどり着くのだが、どうにも話がぼんやりしている。
 
自分の感覚で言えば、「両側乗り」の推奨を押したい。「片側空けをやめる」ことをお願いしても、半分の人は今まで通りの片側(東京なら左側)に乗っていいわけで、積極的にもう片方(同右側)に乗る人は出ない可能性がある。「手すりにつかまる」ことをお願いしてもおなじこと。全員が片側空けで手すりにつかまる状態に成り兼ねない。「エスカレータで歩かない」も同様で、片側空けになる可能性が残っている。
 
片側空け排除の本来の目的は事故防止なのだから、空いた側を歩く人さえいなければ「片側空け」でも問題ないという議論もあろう。しかしそれでは、エスカレータの輸送効率が約半分に落ちてしまう。これを考え合わせると、「両側乗り」の推奨が一押しとなる。
 


やるなら徹底的に!


正直に言えば、素人の自分には、片側空けがいいのか、両側乗りがいいのかは判断できない。もっと正直に言えば、エスカレータの乗り方なんて「どうでもいいじゃん!」といったところ。しかし、それでも困るのは、両方の常識が混在することだ。2つの常識を持った人たちがいる状態は、余計な混乱を招き兼ねない。
 
その意味で、片側空け排除をやるのなら、徹底的にやって欲しい。広報中心のキャンペーンをするだけではなく、現場で「両側乗り」を半ば強要するぐらいでなくては、混乱が増すだけだ。この手のキャンペーンは企画より、実際の行動にいかにつなげるかが重要。人海戦術が中心の地道な作業となるかも知れないが、事故防止を真剣に考えるなら、それもやむを得ないだろう。エスカレーターでの事故を少しでも減らすためにも、関係諸機関の本気を見せてもらいたいものだ。

  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.