優先席付近での携帯オフがなくなったら・・・


この記事の所要時間: 320秒 〜 420秒程度(1924文字)


電車の中で繰り返し流れる「優先席付近では携帯電話の電源をお切りください」のアナウンス。近い将来、あの車内放送が無くなるかも知れない。鉄道各社が、優先席付近で携帯電話をオフにするルールの見直しを検討しているようなのだ。携帯電話の電波が心臓ペースメーカーに与える影響は小さいことがわかってきており、これに対応するらしい(参考:優先席付近の携帯オフは必要? 鉄道会社、ルール変更も|朝日新聞)。
 
何にせよ、ルールは少なければ少ないほど良い。不要になったルールがあるのなら、すぐさま廃止した方が世の中がシンプルになって過ごしやすくなるだろう。しかし、これはあくまで一般論。優先席付近での「携帯オフ」ルールについては、廃止してもあまり良いことが起きないように思う。
 

携帯電話

credit: relexahotels via pixabay

 


「携帯オフ」ルールがなくなったら・・・


優先席付近での「携帯オフ」ルールがなくなったら、何が起きるだろう。素直に考えれば、優先席付近で携帯電話を使う人が増える筈だ。それでもペースメーカーには影響を与えないのだから、ここまでは何の問題もない。ルール変更の影響が、プラスに出ている。
 
とは言え、いくら懸命に周知を行なっても、携帯電話がペースメーカーに悪影響を与えると信じる人は残る。携帯電話を使っているところにそういう人たちが居合わせれば、トラブルは必至だ。そして、トラブルが何度も起きれば、携帯電話をあえて優先席付近で使う人は減っていく可能性が高い。余計なトラブルを避けるため、優先席付近での携帯電話の使用は「自粛」される訳だ。
 
また、このようなトラブルを警戒して、最初から優先席付近で携帯電話を使わない人も多いだろう。少しでも揉め事に巻き込まれる可能性があるなら、それを事前に避けることは理にかなっている。何も、みずからトラブルに巻き込まれに行く必要はない。
 
つまり、「携帯オフ」ルールをなくしたところで、優先席付近での携帯電話使用に大きな変化は起きそうにない。それどころか、最初の段階ではむしろトラブルが増えそうだ。やはり、ルールを変えても、あまり良いことが起きないのではないだろうか。
 


メリット < デメリット!?


さて、ここまで書いたのは自分なりの見立てに過ぎない。当然こうなるとは限らないが、ひとつの可能性であることは理解していただけるだろう。ルールは変わっても実態が変わらない状態は、決して珍しいものではない。
 
なぜこう考えるかといえば、優先席付近で携帯電話を使うことのメリットが少ないためだ。携帯電話を使いたかったら、車内を少し動けば済むこと。どうしても優先席付近でなければできないことは少ないだろう。その一方で、優先席付近での携帯電話使用のデメリットは大きい。あくまで低い確率とはいえ、トラブルに巻き込まれる可能性があるためだ。メリットとデメリットを比べたとき、人心は携帯電話を使わない方向に寄って行くように思われる。
 


「正しい」より利用者の満足!


携帯電話がペースメーカーに悪影響を与えないのなら、優先席付近でも携帯電話を使える状態が「正しい」。しかし、「正しい」状態にしようとしても、利用者の感じられるメリットが少ないため何も変わらないという推測が成り立つ。それなら、あえて何もしないで、放っておくのも有力な選択肢となるだろう。
 
世の中には、商品は高品質なものほどよく売れるという考え方がある。もちろん、そんなことはなく、せいぜい弱い相関があるくらいだろう。しかし、それでも高品質のみを売りにする商品が減ることはない。利用者に与えるメリットよりも商品の品質を優先する製品志向の考え方は、どこかしこに残っている。
 
そして、「携帯オフ」ルールの廃止はこの製品志向に似ている。間違ったルールが少ない社会のほうが良い社会であり、つまり高品質な社会ということ。「正しい」を優先させるなら、「携帯オフ」ルールはすぐさま廃止されるべきだ。しかし、利用者に与えるメリットを考えると、必ずしもそうはならない。
 
社会の品質は上がった方がいいが、それが人々の満足につながらなければ元も子もない。ここを忘れると、あまり意味のない品質向上が繰り返され、人々が迷惑をこうむることになる。このようなところでも、利用者のメリットを中心に考える顧客志向を使うことが大切なように思われる。

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