「東京防災」のススメ


この記事の所要時間: 250秒 〜 350秒程度(1660文字)


東京都が防災ブック「東京防災」を作成した。9月1日から都内各家庭に配布しているという。「東京の地域特性や都市構造、都民のライフスタイルなどを考慮」してつくられたもので、「水や汚れから本を守るビニールカバー」まで付いているというのだから、気合が入っている(参考:「東京防災」の作成について|東京都防災ホームページ)。
 
この「東京防災」。都民向けに作成されたものではあるものの、インターネット上で誰でも見ることができる。東京都の状況に合わせてローカライズ(?)しているとは言え、全国共通で活用できる箇所も多いだろう。どこに住んでいるかにかかわらず、一覧をオススメしたいところだ。
 

Emergency

credit: succo via pixabay

 


顧客志向の防災ブック


さて、実際の「東京防災」はココから見ることができる。

※画像は東京防災をキャプチャー

※画像は東京防災をキャプチャー

300ページを超える一冊なので、すぐにすべてを読むことはできないが、パラパラ見るだけでどんな防災ブックなのかわかるだろう。要点がはっきり示され、イラストをふんだんに使っていて、わかりやすい。必要なところには細かな説明もあるものの、基本的にひとつの事柄に対する説明は3〜5行程度。情報の整理がよくできている印象だ。伝えるべきことをただただ並べているようなものではなく、読む人の方を向いた「顧客志向の防災ブック」となっている。
 
特徴的なのが、かなり具体的なノウハウの説明があるところ。心臓蘇生法、消火器の使い方など一般的なことだけでなく、新聞紙で暖をとる方法、断水時のトイレの使い方、乾電池の大きさを変える方法などまで掲載されている。情報に新鮮さがあるので、ある意味、おもしろく読めるように思う。
 


Kindleなどでも読めるようにすれば・・・


一方で少し残念なのが、紙の本と「東京防災」ホームページの電子書籍でしか情報が提供されてないところ。これでは、インターネットにつながってない限りパソコン、タブレット、スマートフォンなどで読むことができない。つまり、手元におけるのは紙の本だけだ。PDFもあるにはあるが、ファイル容量を大きくしないため細かく分割されているので扱いが悪い。もちろん、全部ダウンロードしてくっつければいいのだが、その一手間が人の気を削ぐ。
 
せっかく良いものをつくったのだから、KindleやiBooksなどの既存のシステムでも読めるようにすればいいように思う。そうすれば、「ちょっと読んでみようか」という人のハードルが低くなり、「東京防災」に触れる人が増える筈だ。実際の緊急時には紙の方が便利だとしても、「東京防災」についての周知を広めるために役に立つ。実現には難しい問題もあるだろうが、ぜひ積極的に取り組んでもらいたいものだ。
 


電子媒体なら更新は比較的容易!


今回のような取り組みは、1回きりの打ち上げ花火で終わってしまうことも多いが、継続的に行なってこそ大きな価値を生むものだ。毎年のように起きる災害から学ぶことはたくさんあり、その経験から得られた知識を組み込むことが大切になる。

紙の本として配った「東京防災」は更新が難しい。新しい知見が増えたからといって、本にそれを付け加えるには「東京防災」を再配布することが必要になってしまうからだ。当然、膨大なコストと手間が掛かり、これが情報の更新を妨げている。
 
その点、電子媒体なら更新は比較的容易。うまく電子媒体を併用して情報の更新を適宜行なえば、より素晴らしい情報発信になるように思う。良い企画だけに、ぜひ更なる進化を期待したいところだ。

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