iOS 9への驚異的な移行ペースは信用できる!?


この記事の所要時間: 30秒 〜 40秒程度(1774文字)


AppleのiOS 9が好調らしい。リリースからたった4日で、iPhoneをはじめとするiOSデバイスの50%以上が最新OSに移行したという。Androidの最新バージョン・Lollipopがリリースから1年近く経った今でも普及率20%強にとどまっていることを考え合わせると、iOS 9への移行ペースがどれだけ凄いかわかるだろう。ある種の文化の違いなのかも知れないが、4日で50%以上のアップデートはあまりに驚異的なペースだ(参考:「iOS 9」移行ペースは過去最速–リリース4日でiOS端末50%超に搭載|CNET Japan)。
 
さて、多くの人は「移行率50%以上」をそのまま受け入れるだろうが、データにこだわる者としてはその求め方が気になって仕方ない。AppleはどうやってiOS 9の移行率を求めているのだろうか。ちょっと考えてみた。
 

 


全iOSデバイスでの集計ではない!?


iOS 9への移行率を素直に考えれば、次の数式による算出をイメージするだろう。

 移行率 = iOS 9が入ったiOSデバイス ÷ すべてのiOSデバイス

iOSデバイスすべてについてOSのバージョンがチェックできて、そこから移行率を算出したならこれほど正確なことはない。単純に考えればこうやって求めそうなものだが、現実的かどうかは別な話だ。全iOSデバイスのOSのバージョンを集計する方法はないだろうから、この数式で求めている可能性は低いだろう。
 
この亜流で、

 移行率 = iOS 9のダウンロード数 ÷ これまでのiOSデバイス出荷台数

という求め方も思いつく。Appleなら数式の各数値を持っているだろうから、算出は可能。問題は、現状を正確にあらわさないだろうことだ。これまで出荷したすべてのiOSデバイスが現役の筈がない。どこかに仕舞い込まれた古いiPhoneのOSは昔のバージョンのままだろうが、こういう端末を含めた移行率はあまり意味が無いだろう。理論的には算出できても、意味の取れない数値になるのが目に見えている。
 
こう考えていくと、何らかの方法で「現役端末ベース」の移行率を求めることが必要だとわかる。具体的には、一定期間にApp Storeにアクセスした端末をベースにした算出などだろうか。

 移行率 = App StoreにアクセスしたiOS 9が入ったiOSデバイス 
              ÷ App StoreにアクセスしたすべてのiOSデバイス

このような求め方をすると、iOSデバイスをあまり活発に使っていない人が集計のベースから外れるので、移行率は実際の「現役端末ベース」よりも高く出るだろう。水増しを疑われ兼ねないが、前の2つの算出方法よりは現状をあらわしていると考えられる。
 
もちろん、Appleの実際の算出方法はわからない。しかし、ある数値があったとき、どういう求め方をした数値なのかを考えることは大切だ。今回の例で言えば、直感で思い浮かぶ一番目の算出方法でないこと気付くだけでも、多少は誤解を防げるように思う。
 


○○率を疑え!


世の中には、いろいろな○○率があるが、その出来は玉石混淆だ。ところが、○○率と言われるともっともらしくなり、どんな数値でも鵜呑みにしてしまう人があらわれる。その結果、「そんな数値求めようがないでしょ!」と言いたくなるような○○率が、新聞などで平気で紹介されることもしばしばだ。
 
何でも疑っていたらきりがないとは言え、○○率の類はどうやって求めているのか/求めることができるのかをよく考えてみた方がいい。今回紹介したiOS 9の移行率は、求める方法が考え得るし、アクセス解析等で裏を取られる可能性もあるのでそれなりに信用できそうだが、そうでないものも多いからだ。ビジネスでのデータ活用で足を掬われないためにも、数値のつくり方を疑う癖を付けた方がいいように思う。

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