iMacの進化はやや盛り気味?


この記事の所要時間: 310秒 〜 410秒程度(1836文字)


新しいiMacが発売された。
最近のAppleは、iPhoneやMacBookシリーズばかり話題になるが、もちろんデスクトップのMacもつくっている。iMacもほぼ年1回のペースで新モデルが発表されており、今回は21.5インチと27インチが各3モデルずつの計6モデルが登場した。
 
新iMacでおもしろいのが、ようこそ、進化へ。という新旧モデルの比較ページができたこと。1998年に登場した初代iMacと最新のiMacを較べて、以下のような数値を公開しているのだ。

 ●1,400万多いピクセル
 ●62,000万速いグラフィックス
 ●1,000倍大きなRAM
 ●750倍大きなストレージ
 ●366倍高い処理能力

 
さて、こんなに進化したのかと感心しつつも、何か引っかかるものがある。1998年当時自分が使っていたMacを思い浮かべて考えると、ちょっと進化し過ぎの印象なのだ。そこで調べてみたところ、嘘はないけど誇張はある感じ。Appleが主張するiMacの進化は、やや盛り気味のようだ。
 

iMac

credit: SplitShire via pixabay

 


比較対象は「最上位機種オプション付き」


まず、あのボンダイブルーで世間を驚かした初代iMacのスペックを確認すると、以下のようになる。

 ●ピクセル(ディスプレイ) 1,024 × 768(786,432ピクセル)
 ●RAM(メモリ) 32MB
 ●ストレージ(ハードディスク) 約4GB
 ●処理能力(プロセッサ) 233MHz
  ※「グラフィックス」は対象となる数値がわからなかったため省略

  参考:iMac – 技術仕様|サポート|Apple
 
これに対して、今回発売されたiMacのスペックは次の通り。

 ●ピクセル(ディスプレイ)
   1,920 × 1,080(2,073,600ピクセル)
     〜5,120 × 2,880(14,745,600ピクセル)
 ●RAM(メモリ) 8GB
 ●ストレージ(ハードディスクなど) 1TB〜2TB
 ●処理能力(プロセッサ) 1.6GHz〜3.3GH

  参考:iMac (21.5-inch, Late 2015) – 技術仕様|サポート|Apple
     iMac (Retina 4K, 21.5-inch, Late 2015) – 技術仕様|サポート|Apple
     iMac (Retina 5K, 27-inch, Late 2015) – 技術仕様|サポート|Apple
 
両者を比較すると、ディスプレイは確かに約1400万ピクセル多くなっているが、RAMは250倍、ストレージは500倍にとどまる。比較ページで公開している「1,000倍大きなRAM」、「750倍大きなストレージ」には到底届かないのだ。
 
当然、これには仕掛けがある。対象を最上位機種にした上で、更にオプションを付けて極限までハイスペックにして比較すればいいのだ。そうすると、メモリが32GB(32MBの1,000倍)、ストレージが3TB(約4GBの750倍)となり、どうにか計算が合うようになる。
 


自社製品についての情報には謙虚さも必要!?


冒頭にも書いた通り、今回の比較に嘘はない。iMacの進化を強調するページで、嘘のない範囲でなるべく大きい数値を出したいのは当然だろう。しかしそれでも、今回のような比較は恣意的に見えてならない。「最上位機種オプション付き」と較べるなら、初代iMacの方もオプションを付けないと不自然だ。「嘘はないけど誇張はある」、「やや盛り気味」と書いたのもわかっていただけるだろう。
 
企業が発する自社製品についての情報は、程度は別にして胡散臭く見られがちだ。長所ばかり強調するのは当たり前、時には嘘も混じっているくらいに捉えている人もいるだろう。そしてだからこそ、情報を発する側は謙虚であるべきなように思う。Appleも、「最上位機種オプション付き」と比べて進化を強調するより、一番下のモデルと比較して誠実さを見せた方がよかったのではないだろうか。

  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.