SNSでも役立つ「桂文楽流評価法」


この記事の所要時間: 20秒 〜 30秒程度(1249文字)


昭和の名人・桂文楽は、新真打の披露目でいくつかの口上を使いわけていたという。

●「芸は大変にしっかりしておりますので」

●「なにか奥の方にピカッと光るものがございますので」

●「まことに親孝行でございますので」

(参考:『べけんや』柳家小満ん/河出書房新社/2005年)

 
どれも新真打を褒めているものの、並べてみれば松竹梅がある感じ。披露目の席で悪いことは言えないため、人によって褒め方を変えてみせたわけだ。わかる人にはわかるけど、わからない人にはわからない使いわけとなっている。
 
この「桂文楽流評価法」とでもいいたい褒め方の使いわけ。古き良き時代の遺物のようでいて、その応用範囲は案外広い。今なら、何かと褒めることが必要になるSNSの世界で役立つように思われる。
 

social media

Photo credit: Jason A. Howie via Foter.com / CC BY

 


「親孝行」と褒めるのは・・・


さて、野暮を承知で3つの褒め言葉を解説すれば、ひとつ目の「芸はしっかり」は芸を直接的に評価している。次の「奥にピカッ」は、芸を褒めているようで何がいいのかはっきりしない。最後の「親孝行」は、芸以外の部分である人柄を褒めている。
 
つまり、褒める対象と、褒め方を変えることで評価に差をつけているわけだ。「親孝行」と人柄を褒められて悪い気がする人はいないだろうが、要は芸で褒めるところがないということ。評価した当人の真意はわからないものの、かなり手厳しい評価と言えよう。
 


褒め方の芸は身を助ける


以前、“相互評価のインフレーション”考 〜または中小企業診断士が“先生”である理由について〜という記事を書いた。閉じた世界でお互いに評価し合っていると、その世界に属する人たちの評価がインフレーションを起こすという内容だ。誰も彼もが「素晴らしい先生」になってしまっては、その評価は意味をなさなくなる。
 
TwitterやFacebookなどのSNSでの相互評価もインフレーションを起こしがち。いつの間にか、悪いことは書けない不思議な世界になってしまっているので、やり取りの中で暗に評価を求められれば褒めるかしかない。ここで、桂文楽流評価法が役に立つように思う。例えば、ぼんやりと「いい感じですね」「参考になります」と褒めたり、相手のメッセージではなく文体や写真を持ち上げたり、いろいろな工夫が考えられるだろう。
 
きっと、誰もが無意識のうちに行なっていることだが、何ごとも意識して使いわければ効率がよくなるもの。「わかる人にはわかる」ようになってはかえって困るが、褒め方の芸は身を助けるだろう。「桂文楽流評価法」を意識しつつ、褒め方の語彙を増やすとおもしろいように思う。

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