うるう年の統計学 2月の統計に水増しアリ?


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3月に入って早1週間。小売、外食産業などでは2月の月次売上速報が出はじめている。多くのデータに、前年同月比の増減率が付いているが、難しいのがその捉え方だ。
 
何せ、先月2月は4年に1度のうるう月。日数が1日多いのだから、売上は前年同月比で伸びていて当然と考えられる。あまり好調でない会社でも、1日の水増し(?)のおかげで売上増加となる可能性があるだろう。うるう年の統計は、少し悩ましい。
 

プラス

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放っておいても3.6%増える!?


単純に考えるなら、うるう月の売上は放っておいても29/28倍になるはず。パーセントにすれば約3.6%の増加だ。業績が現状維持でも、日数増加によってこの程度は売上が伸びることになる。
 
当然、四半期や年間のデータにも影響が出る。四半期なら90日が91日になることで1.1%増、年間なら365日が366日になることで0.3%増。日数が増えることで影響はだんだん小さくなるが、うるう年のデータは少なからず下駄を履いているのだ。
 


増えるデータ、増えないデータ


さて、すべての2月のデータが3.6%水増しされているなら、それはそれでわかりやすい状態だ。実際には、そこまで単純にならないからこそ、うるう年のデータはややこしい。日数増加によって、増えるデータ、増えないデータがあるのだ。
 
例えば、食料品などは3.6%に近いかさ上げがあるだろう。人が食べるものの量は、日数が1日増えればそのぶん増えるのが自然だからだ。月ごとに予算を決めて食料品を買っている家庭などもあるからそのまま3.6%上乗せとはならないだろうが、日数の影響が出やすい商品ジャンルなのは間違いないように思う。
 
では、電化製品はどうだろうか。空気が乾いているから加湿器を買おうとか、そろそろ寿命だから洗濯機を買い換えようとかは、食料品と較べて長期スパンな買い物。2月の日数が1日多いからといって、そのぶん電化製品の購入量自体が増えるとは考えにくい。1月〜3月に買うつもりのものを2月中に買う確率はやや高まるものの、「純増」ではないのでそこまでの影響はないはずだ。電化製品に3.6%の伸びを期待するのは無理がある。
 
映画館やテーマパークなどの娯楽産業は日数分の水増しがあると考えるのが自然だが、曜日の影響が大きそうだ。1日増えたのが土日なら3.6%以上の増加となり、平日ならそこまでの増加とはならないだろう。曜日の影響があるデータは、それはそれで難しい。
 
もちろん、ここに取り上げた例は常識からの推測にすぎない。データが揃っているなら、4年前、8年前など過去のうるう年の傾向にあたることが基本となる。日数増加による影響と業績の好不調による影響を厳密にわけることは困難だが、前後の月の増減率と比較することで一定の推測は可能だと考えられる。
 


データの解釈は自分で考えるしかない!


企業が発表する月次売上などの決算データは生の数字だ。日数調整をしてしまっては実際の数字と金額が合わなくなるので、そのままの数字が発表される。増減率については工夫できないこともないだろうが、日数調整をしているという話は聞いたことがない。データを見るときの日数の考慮は、自分で行なうしかないわけだ。
 
これに対して、政府統計などではうるう年の日数調整をされているものもある。増減率等を見るときには、日数調整されたデータかそうでないデータかの確認が必要になるということだ。日数調整されてないデータは日数の増加を考慮して見る必要があるし、日数調整済みのデータはその方法を確認した方がいい。このとき大切なのは、日数調整に正解はないということ。何らかのロジックで日数調整したとしても、それはひとつの仮説に過ぎない。専門家がベストをつくしてつくった調整方法でも、そこにはおのずと限界がある。
 
統計データというのはいろいろな仮定を置くことで成り立っているものがほとんど。データを疑い過ぎてはキリがないが、頭から信じるのも禁物だ。最終的には、データの解釈は自分で考えるしかない。今回は、比較的実感しやすいうるう月で説明したが、このようなデータの罠はどこかしこに潜んでいる。データの解釈にはいろいろな正解があることを、うるう年の例を参考に少しでも理解していただければ幸いだ。

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