Apple Watchは売れている?


この記事の所要時間: 310秒 〜 410秒程度(1802文字)


昨晩(米国時間3月21日午前10時)、Appleのスペシャルイベントが開催された。目玉は、「iPhone SE」と9.7インチの新しい「iPad Pro」だ。これまでの商品の延長線上にあるモデルなので革新性は感じられないものの、スペックと価格のバランスは絶妙な感じ。何かをスタートさせるのにちょうどいい時期ということもあり、物欲を刺激された人も多いのではないだろうか。
 
さて、問題はApple Watchだ。同イベントでも、Apple Watchの価格改定と交換用バンドの追加が発表されたようだが、販売台数などについてAppleからのデータはなく、数々の憶測を呼んでいる。今回の価格改定についても、販売不調でテコ入れしたのか、販売好調で更に攻めに出ているのかがわからない。Apple Watchに期待を寄せている人にとっては、かなりもどかしい状態が続いているように思う。
 
最近見た具体的な数字は調査会社・IDCによる予想で、2016年のApple Watch出荷台数1400万台というもの(参考:ウェアラブル端末の世界出荷、16年は前年比38.2%増に=IDC|Reuters)。この予想の精度はわからないが、好不調判定のポイントはこの出荷台数の評価となるだろう。そこで、この数字をちょっと転がしてみた。
 

Apple Watch

credit: ToomaCZ via pixabay

 


iPhoneの10分の1にも満たない


まず、iPhoneと比較すると、これはまさに桁が違う状態。iPhoneの販売台数は年間2億台を超えているので、その10分の1にも満たないことになる。世界でのApple Watchの出荷台数が、日本国内でのiPhone出荷台数(1473万台)をも下回る数値だ(参考:iPhoneの国内出荷台数、初の減少 15年11%減|日本経済新聞)。
 
ただし、ひとつの製品を1400万台出荷することは、かなりの規模といえる。グループ企業を含めたトヨタ自動車の世界販売台数が1000万台前後。ジャンルが違うとはいえ、1000万台という桁の凄さはわかっていただけるだろう。
 
また、仮にApple Watchの価格を平均で1台5万円とすると、1400万台の売上は7000億円相当。この売上規模は東証一部上場企業で考えて、上位2割に余裕で入るレベルだ。単独の商品での売上と考えれば、これまたかなりの規模感を持つと言えよう。
 


大ヒット商品にはまだまだ


見方を変えて、人口比で考えてみよう。世界人口をざっくり70億人とすると、1400万台はその0.2%。Apple Watchが発売開始となった2015年の予想出荷台数1160万台を加えても、04%に満たない計算になる。
 
このまま同程度の出荷を続けたとして、5年の累積で世界人口の1%程度。俗に、「100人中2〜3人が持っていると流行しているように見える」と言われるので、5年経っても流行にはまだまだ至らないようだ。地域的な偏り次第ではあるものの、そう簡単に大ヒット商品とはなりそうにない。ヒットには、Apple Watch2なのか、キラーコンテンツなのかはわからないが、何かインパクトのある変化が必要だろう。
 


数字を転がせ!


以上、思いつくまま各種数値と比較していみた。こうやっていろいろな数字を出してわかるのは、比較対象として持ってくる数値によって評価はいかようにでも変わるということ。データの取捨選択次第で、AppleWatchは売れてるという文脈も、売れてないという文脈もつくれるのだ。長い歴史があり、データの見方が決まっている製品ならいざ知らず、新しいタイプの製品の販売の好調/不調などどうとでも言うことができる。
 
そして、だからこそ大切なのは、ある数字を見たらその数字を自分で転がしてみることとなる。今回開陳したのは、自分なりの転がし方。興味がある人は、その方なりにこの数字を転がしてみるとおもしろいだろう。数字をいじっているうちに、その数字の保つ意味の輪郭が少しずつわかってくる。予断を持たず、自由に転がしてみるのがオススメだ。

  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.