ウォーホルのランドセルを喜ぶのは誰?


この記事の所要時間: 220秒 〜 320秒程度(1450文字)


ランドセルの色は、男子が黒で、女子が赤。今となっては学校からの指定があったかはわからないが、一昔前まではこうと相場が決まっていた。ところが、最近では青、茶、ピンク、パープルなど黒・赤以外の色のランドセルを背負う小学生を見ることも珍しくなくなってきた。これを多様化といえば大袈裟になるが、ランドセルの市場も競争が激しくなり、各社が知恵を絞って差別化を目指しているのは間違いないだろう。
 
さて、今年ここに登場したのが、三越伊勢丹から限定で発売されたアンディ・ウォーホルのランドセルだ(参考:世界初のアンディ・ウォーホルランドセル 三越伊勢丹限定で発売|Fashionsnap)。外側は他のランドセルと変わらないが、ペロンとめくるカブセ部分の裏地にウォーホルデザインの柄を使い、前ポケットの革部分にアートワークが型押しされている。
 
小学生にウォーホルはフィットせず、無理な差別化を狙った「おかしな商品」のように見えるが、少し考えれば何ということはない。そのマーケティング的な狙いは明解だ。
 

 


ランドセルは誰が買う?


ポイントは、ランドセルを誰が買うかということ。ランドセルを使うのは小学生の子供でも、当然、それを買うのは本人ではない。
 
新入学の準備なのでまず両親が思い浮かぶが、最近では祖父母がお祝いに買うことが多いという。そして、この祖父母がウォーホル好きの世代になってきているわけだ。三越伊勢丹が、小学生よりもその祖父母を狙っているのは、間違いないだろう。
 


たとえ売れなくても・・・


このランドセルは売れるだろうか。もちろん、こればかしは来春に向けたランドセル商戦が終わらなければわからないが、あまり期待はできないように思う。子供はウォーホルを喜ばないだろうし、祖父母も孫が周囲とあまりに違うランドセルを持つことを回避すると考えられるからだ。
 
ただし、もう少し深読みを入れれば、このランドセルは売れなくてもいいことに気づく。祖父母がウォーホルのランドセルに興味を持って自社の売り場に立ち寄ってくれれば、それだけで一定の成果と考えることもできるからだ。「孫にランドセルを買うなら、三越か高島屋」と考える人が、ウォーホルランドセルにひかれて三越を選んでくれれば、それで充分と考えることもできる。客寄せパンダと言っては失礼かも知れないが、「売れなくてもいい」という割り切りがあっても不思議はない。
 


「おかしな商品」の背景を読む!


ここまでの内容は、具体的な根拠のない推論に過ぎないが、そうかも知れないと思ってくれる人も多いのではないだろうか。三越伊勢丹の真の狙いはわかりようがないものの、一応理屈は通したつもりだ。
 
「おかしな商品」があった場合、今回のようにその背景にある考え方を想像してみることをオススメしたい。小学生はウォーホルを喜ばないだろうことを理由に、商品のおかしな差別化を笑うよりも、利があり、楽しいのは間違いないからだ。仕掛けた側の狙いを想像すれば、ちょっとした気づきを得ることも多いだろう。仮説の出来不出来は別にして、そのロジックは一考に値する。頭の体操がてら、試してみたらいかがだろうか。

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