顔認識より「靴認識」が良い理由


この記事の所要時間: 230秒 〜 330秒程度(1510文字)


画像マッチング技術の進化により、最近は顔認識システムを使ったさまざまなサービスが提供されているが、ディズニーが注目したのは「靴」だという(参考:ディズニーが来園者の「靴」をスキャンして移動先を把握するシステムの特許を取得|GIGAZINE)。来園者の靴を手がかりに、その行動パターンを追おうというアイデアがあるらしいのだ。人の顔が百人百様であるように、靴にも一人一人の特徴が出る。ちょっとした汚れだったり、足の形や歩き方の癖で起きる変形だったり。新品の靴でもない限り、たとえ同じ靴でもある程度の区別は付きそうだ。
 
この「靴認識」とでも言いたくなる新システム。顔認識より精度は低そうだが、なかなか良いアイデアのように思う。データ活用には充分役立ち、その一方で来園者の心理的抵抗が少ないと考えられるからだ。
 

 


あなたに興味はありません


データ活用でよくあるのが、対象者の「自分は見られている」という誤解。自分についてのデータが取られることで、プライバシーが危険にさらされていると感じるのは無理もないが、多くの場合、そうはならない。
 
データを活用する側が興味を持つのは、個々人のデータからわかる傾向やパターンで、対象者それぞれについては「あなたに興味はありません」が基本となる。来園頻度の高い20歳代後半の女性3人グループが、最初にどのアトラクションに向かい、ランチでどのくらいのお金を使うのかには興味があっても、○山×子さん個人がどんな人かは正直どうでもいいのだ。後は、客単価のアップとか、人気アトラクションの混雑緩和とか、顧客満足の向上とか、データ取得の目的にあわせて傾向やパターンを活用することになる。
 
ところが、対象者の方は、よくわからないものに対する恐れがはたらくせいか、データを不用意に取得されることに敏感だ。悪用されて、何か困ったことに巻き込まれるかも知れないと考える。企業が顔認識を使ったシステムなどを企画すれば、当日限りのデータ保存が前提でも、その顔データを取っておいて何かに使うのではと勘繰るわけだ。この誤解が、データの取り扱いをややこしくしているように思えてならない。
 


データ取得の心理的な抵抗を減らそう


当然、この誤解を解くために「このデータは○○の目的にしか使用しません」等の断り書きがあったりするが、疑心暗鬼に陥っている人には通用しない。実際に悪用される例がゼロでないこともあり、何が何でもデータを取られたくないという感情は日々高まっているように見受けられる。
 
そこで登場するの「靴認識」だ。行動のパターンを把握するために「顔認識」を使えば手っ取り早いが、顔の画像では後から個人が特定しやすいため、嫌う人が多いだろう。その点、「靴認識」ならば、靴から本人までたどり着くのは難しいし、日々履き替えるので抵抗が少ない。目的が、同じ人の動きを知ることなら、靴で充分ということになる。
 
顔だろうと靴だろうと、個人が追跡されているということに変わりはないが、対象者が持つ「自分は見られている」というイメージの緩和に「靴認識」は有効だろう。実際に何が行なわれているかよりも、それがどう見えるかが大切になるパターンだ。今回の取り組みに限らず、データを取られる側の心理的な抵抗を減らす努力は、今後さらに重要になると考えられる。

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