「台風コロッケ」をイノベーター理論で考える


この記事の所要時間: 40秒 〜 50秒程度(2290文字)


先週はじめの台風9号(ミンドゥル)に続き、この週明けには台風10号(ライオンロック)がやってきそうだ。例年より一足早い台風シーズンの到来といったところだろうか。台風10号はいったん南下、停滞して充分な水蒸気を吸収済み。「非常に強い」台風となっているので、やや弱まった気配があるとはいえ、しっかり準備するしかない。
 
さて、台風の準備といえば「台風コロッケ」だ。台風の日にコロッケを食べるという2ちゃんねる発祥のこの奇習も、先日8月21日(日)にめでたく15周年を迎えたという(参考:みなさんに愛されて15年 ネットの謎風習「台風コロッケ」が15周年を迎えていた|ねとらぼ)。たいぶ前からあるネタなのは知っていたが、そんなに古いという感覚はなく、15周年には正直びっくり。習慣というのは、このようにいつの間にか根付くものなのかも知れない(?)。
 
15周年ということでふと思ったのが、「台風コロッケ」は今でもおもしろいのかということ。今回は、これについて「イノベーター理論」を使って考えてみた。
 

コロッケ

credit: userbit via pixabay

 


ターゲットのタイプにあわせて機能を取捨選択


イノベーター理論は、新製品や新サービスの市場への浸透をモデル化したもので、どの層まで届いたかに注目する。新製品は、まず2.5%のイノベーター(革新者)によって発見され、それがアーリー・アダプター(初期採用者)に伝播し、次にアーリー・マジョリティ(前期追随者)へと広がっていく。ここまでで全体の50%。そこから、レイト・マジョリティ(後期追随者)、ラガード(遅滞者)と浸透していき、市場全体に行き渡ることになる。もちろん、最後まで受け入れない人もいるはずだ。
 
イノベーター理論の使い方は多種多様で何が正解かはよくわからないが、ある製品がどのタイプの人たちまで浸透しているのかを推定するところがポイント。つまり、その製品が現時点でターゲットとする層を見極め、そのタイプの人たちにあわせた機能追加なり、マーケティング戦略なりを考えるのだ。たとえば、イノベータが喜ぶ機能とアーリー・マジョリティが欲しがる機能は違うため、ある程度のタイプまで広まったらマニア向けの機能は減らすなどの対応が必要になる。
 
このイノベータ理論が働くので、最初はおもしろい動きをしていた新製品が徐々に詰まらなくなっていくと考えることもできるだろう。イノベーターを刺激するためにとんがっていた製品が、アーリー・アダプターに受けられるためやや角が取れ、アーリー・マジョリティやレイト・マジョリティに受けるため丸くなる。やや単純化し過ぎの嫌いはあるが、要はそういうことだ。
 
ただし、これはイノベーターやアーリー・アダプターの人たちの考え方。新製品が丸くなっていく様子も、アーリー・マジョリティやレイト・マジョリティから見れば、自分たちにとって受け入れやすくなる変更に見えるだろう。当然ながら、立場が違えば、評価も違う。ある製品に特定の機能が必要なのかどうかの議論なども、このような層間の価値観の違いによる場合が多い。イノベーターとマジョリティのどちらかが正解ということはないが、製品を提案する企業がやるべきことははっきりしている。ターゲットを決めて、その層にあった機能等の取捨選択が必要となるのだ。中途半端が一番いけない。
 


ネットのネタいじりにイノベータ理論を!


さて、話を戻して「台風コロッケ」。台風コロッケがイノベータ理論のどのタイプまで広まっているかはわからないが、こういうネタを好むような人たちにはかなり広まっている印象がある。ネットの手だれから見れば、台風が来てコロッケ、コロッケと騒ぎ出すことに新鮮味はない。
 
自分の感覚で言えば、最近の台風コロッケの扱い方は、ターゲットがぼんやりしている印象だ。イノベーター理論でいう各タイプの反応は、おおむね次のようなものだろう。

イノベーター : 「またかよ」
アーリー・アダプター : 「知ってるよ」
アーリー・マジョリティ : 「何、それ?」「ふーん」
レイト・マジョリティ、ラガード : 気付かず

つまり、アーリー・アダプターまでには飽きられ、アーリー・マジョリティから先には届いていない感じがするのだ。もちろん、これは根拠のない推測に過ぎないが、同じように感じる人もいるのではないだろうか。そして、これでは、誰にとってもおもしろくないネタになってしまう。
 
ネットで何度も繰り返されるネタは、それを広める役割を担った人がいるわけでもなく、多くの人の共有物。だからこそ、まずアーリー・マジョリティに届かせようとか、次はレイト・マジョリティを狙おうとか、企業が行なうような取り組みは生まれにくい。しかし、そこがないとネタ自体がおもしろくならず、廃れてしまうことになり兼ねない。少なくとも、ネタにする人が現状を認識せず、ターゲットに寄せなければ、いじり方がおもしろくないと思われる確率が高くなる。
 
これでは、誰もおもしろくないし、得をしない。だからこそ、ネットのネタをいじるときにも、イノベーター理論を少し意識するといいことになる。おもしくなるかはわからないが、ターゲットがぼんやりしているよりも、届きやすくなるはずだ。

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