「5秒ルール」が成立するかは基準次第!


この記事の所要時間: 240秒 〜 340秒程度(1592文字)


食べ物を落としても5秒以内に拾えばセーフ、という「5秒ルール」。この謎ルールについて、科学的根拠があるかどうかの研究がなされた。結果は、「床に落ちた食べ物の表面は5秒以内に汚染される」。つまり、5秒ルールに科学的根拠はないという結論となった(参考:食べ物を落としてもすぐに食べればOKな「5秒ルール」に科学的根拠はあるのか?|GIGAZINE)。
 
さて、この研究結果はひとつの知見であるが、だからと言ってこれに従う必要はない。床に落として5秒たった食べ物がアウトかセーフかは、基準次第で変わってくるからだ。
 

 


最も安全な「カーペットに落ちたグミ」でも・・・

実験は、4つの食べ物 × 4種類の床材 × 4パターンの時間で行なわれた。各組み合わせそれぞれ20回ずつ、計2560回(1280回?)繰り返したという。

4つの食べ物
  ●スイカ  ●パン  ●バター付きのパン  ●グミ

   ×

4種類の床材
  ●ステンレススチール ●木材 ●セラミックタイル ●カーペット

   ×

4パターンの時間
  ●1秒   ●5秒   ●30秒   ●300秒

 
具体的な実験方法は、(1)床材を「培養した腸内細菌でコーティング」した状態にしておき、(2)そこに食べ物を「12.5 cmの高さから落下」させ、(3)落とした食べ物に付着した細菌を計測するというもの。実験により、カーペットは細菌が移動しにくい、スイカは細菌が最もしみこみやすいなどの傾向がわかったが、結論としては全部アウト。最も安全な「カーペットに落ちたグミ」でも、「5秒ルールの安全性を立証するには十分ではない」という。
 


要は程度の問題

さて、問題はアウト/セーフの基準となる。この実験は、食べ物に付着した細菌が一定量以上になったらアウト=「食べてはいけない」としたのだろうが、その基準は絶対的なものではないはずだ。もちろん、何らかの根拠をもって基準を定めているだろうが、そこには裁量の余地がある。
 
細菌がたくさん付いた食べ物を口にすることは好ましくないが、要は程度の問題。人体に確実に害を及ぼすような量を基準としているはずもなく、お腹を壊す確率が少し上がる程度だろう。例えば、お腹を壊す確率が0.1%から1%に上がったなら、リスクが10倍になったことになるが、それでもたかが1%。そのくらいの危険なら、セーフという人も多いのではないだろうか。
 


定義を疑え!

物事をデータで確認するときには、定義が必要になる。5秒ルールの例で言えば、「食べていい」とは何かを決めなくてはいけないということだ。そして、その定義はデータが取りやすいものとなる。つまり、「お腹を壊さない」は極めて測定しにくいので、移動した細菌の数となる。もちろん、定義は物事を確認するのに適したものが選ばれるはずだが、疑問が残るものも多い。データを使って示された結果に飛びつくのではなく、どのような定義のもとで確認したかのチェックが必要になるのだ。
 
そして、みずからデータを活用する場合も、定義の部分を疎かにしてはいけない。おかしな定義でデータを活用すれば、そのデータに引っ張られ迷走することになる。自身に都合のいいように定義を行なって良い結果を出したところで自作自演だ。データ自体に注目が集まるが、そのデータがどういうものかが最重要となる。データの定義にしっかり取り組むことこそが、有意義なデータ活用には欠かせないのではないだろうか。

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