ながらスマホをやめてコーヒーを貰おう!?


この記事の所要時間: 310秒 〜 410秒程度(1793文字)


最近、「ながらスマホ」が問題になっている。歩きスマホで駅のホームから落ちたり、ポケモンGOをしながら運転して事故を起こしたり。もはや、危なっかしいを通り越して、実害が出ている状態。今後、「ながらスマホ」への風当たりは更に強くなると思われるが、現状は見るも無残だ。多くの人が「ながらスマホ」の危険を指摘しているのに、街には「ながらスマホ」の人だらけ。「ながらスマホ」を批判する人も、実際には「ながらスマホ」をしているのではないかと疑ってしまう。
 
ながらスマホが問題となっているためか、いろいろなところで「ながらスマホ禁止」のポスターなどを見掛けるが、これは何とも間抜けに映る。「禁止」されてやめられるくらいなら、そもそもながらスマホなどやらないからだ。「ながらスマホ禁止」に素直に従う人もいるにせよ、効果は限定的と考えられる。次なる対策として罰則化なども考えられているようだが、これも期待薄。「歩きタバコ」の現状を見る限り、取り締まりが強化される罰則化直後の一時的な効果にとどまるだろう。
 
そんな中、よいアイデアだと思ったのが、トヨタ自動車、コメダ珈琲店、KDDIが実施した「ながらスマホ運転」事故防止プロジェクト。ながらスマホ運転をやめることで、コーヒーが貰える仕組みだ。既に、約260万km = 地球約65周分の「ながらスマホ運転」防止を達成しているという。
 

credit: Unsplash via pixabay

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ながらスマホを禁止するのではなく・・・


「ながらスマホ運転」事故防止プロジェクトのキーアイテムは、「Driving BARISTA」というスマホアプリ。このアプリを起動して、スマホの画面を伏せた状態で100km運転すれば、コメダ珈琲でブレンドコーヒーまたはアイスコーヒーが1杯貰える。「Driving BARISTA」が、スマホが運転している車中にあること、伏せられていることを監視しているのだろう(参考:トヨタ・コメダ珈琲店・KDDI、地球約65周分の「ながらスマホ運転」防止を達成|MarkeZine)。
 
このプロジェクトでは、ながらスマホをやめることにご褒美を与えている。運転手以外のスマホはどうなるのかなど突っ込みどころはあるものの、「ながらスマホ禁止」とは真逆のアプローチだ。大上段から「禁止」と言うよりも、ながらスマホを「やめたくさせる」このアプローチのほうが、スマートでマーケティング的な解決法のように思う。実効性も高いのではないだろうか。
 


必要なのは、ながらスマホを「やめたくなる」仕組み


消費者に自社の商品を「買ってください」と言って買ってくれるなら、マーケティングなどいらない。当然、「買ってください」だけでは消費者が従ってくれないので、手を変え品を変え消費者が「商品を欲しくなる」ような工夫をすることになる。営業マンなどがお客を説得、納得させて商品を売るセリングとは違い、自然と「売れる仕組みをつくる」のがマーケティングだ。
 
「ながらスマホ禁止」のポスターは、「買ってください」と言っているだけのようなもの。今後、ながらスマホの危険をいくら強く説いても、セリングの域にとどまるだろう。一方、スマホユーザーがながらスマホを自然と「やめたくなる」ような仕組みをつくるのがマーケティング的なアプローチだ。そして、今回紹介した「ながらスマホ運転」事故防止プロジェクトは、この方向のアプローチとなる。コーヒーという「モノ」で釣っているのはやや残念だが、ながらスマホを「やめたくなる」ように仕向けているところが「ながらスマホ禁止」とは大違い。ながらスマホによる事故を永続的に防止したいのなら、「やめたくなる」仕組みづくりが必要になるだろう。
 
今回のプロジェクトと同様のアプローチが増えて、各社の知恵くらべのような状態になれば、力ずくで言う「ながらスマホ禁止」より効果が期待できる。言うは易く行なうは難しの典型のような活動となるが、ながらスマホの危険を少しでも減らすためにも、多くの企業、団体などの同様の取り組みを期待したいところだ。

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