酉年生まれが少ないのは当たり前!?


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今年2017年は酉年。年末には、例年通り、総務省統計局から十二支別の推計人口が発表された。2017年1月1日現在の酉年生まれの人口は943万人で、「十二支の中で最も少ない」そうだ(参考:統計トピックスNo.98 「酉年生まれ」と「新成人」の人口)。
 
さて、年末年始の人口に関するニュースはまさに暇ネタ。それでどうこうという話ではないので聞き流してしまいがちだが、ちょっと不思議に思ったことはないだろうか。毎年、「その年の干支生まれ」の人口は下位の順位で報じられている印象があるのだ。データを相対的に見た場合、何かが少なけば、そのぶん他の何かが多くなるはずで、これはかなりおかしい。今回は、この謎(?)に迫ってみる。
 

 


「その年の干支生まれ」は平均年齢が高い!?


まず、ここ12年間の「その年の干支生まれ」の順位を確認すると次の通りとなる(参考:統計トピックス(人口推計))。

2017年(平成29年) 酉年 12番目
2016年(平成28年) 申年 11番目
2015年(平成27年) 未年 9番目
2014年(平成26年) 午年 12番目
2013年(平成25年) 巳年 10番目
2012年(平成24年) 辰年 10番目
2011年(平成23年) 卯年 10番目
2010年(平成22年) 寅年 9番目
2009年(平成21年) 丑年 3番目
2008年(平成20年) 子年 4番目
2007年(平成19年) 亥年 9番目
2006年(平成18年) 戌年 12番目

 
データにすれば一目瞭然。いくつか例外はあるものの、ほとんどの年で「その年の干支生まれ」の順位は9番目〜12番目となっている。1番目、2番目はなく、平均を計算すると9.25番目。毎年、「その年の干支生まれ」が下位になるという記憶は正しかったようだ。
 
さて、なぜこんなおかしなことが起きるかと言えば、干支別の平均年齢が原因だろう。この人口推計にはその年=新年に生まれる人が含まれないため、2017年時点で、酉年生まれで一番若いのは2005年(平成17年)に生まれた今年12歳になる人たち。一方、昨年(2016年)の干支である申年生まれは、1歳になる人たちがいる。未年は2歳、午年は3歳、巳年は4歳、・・・。この各干支の年齢の違いがあるため、「その年の干支生まれ」の人たちの平均年齢が一番高いことになる。やや乱暴な議論ではあるが、この影響で「その年の干支生まれ」が毎年下位になっていると推測される。
 


十二支別人口が一番底になる年に比べているので・・・


上記の推測を確認するためにつくったのが、次の表だ(細かくて数字が見にくかったら、画像をクリックすれば大きくなる)。

縦にご覧いただくとわかる通り、どの干支でもその干支の年の人口が最少となっている(青色セル部分)。そして、翌年は新しい「○年生まれ」が加わって人口が増加し(赤矢印部分)、あとはまた減少する流れ。この人口が一番底になる年に比べるから、毎年のように「その年の干支生まれ」の順位は下位になるのだ。
 
視点を変えて、表の各セル右にある年ごとの順位を見てみると、常に上位にいるのが子年と丑年で、続くのが亥年だ。これは、第1次ベビーブーム(昭和22年~24年)の干支が亥、子、丑、第2次ベビーブーム(昭和46年~49年)の干支が亥、子、丑、寅のため。両者に共通するこれらの干支の人口が多くなっていると考えられる。
 
一方、今年の干支である酉年は、12年間で平均しても一番人口の少ない干支となる。これは、終戦の1945年(昭和20年)、翌1946年(昭和21年)の影響が、その干支である酉年、戌年の人口を少なくしているせいだろう。毎年「その年の干支生まれ」の順位が下位なのは統計の癖だが、今年、酉年が12位まで落ち込んだのは、この影響が加味されるためだ。
 


データを疑え!


データというのは、収集や集計の方法で、思わぬ癖が出ることがある。データ自体は正しくても、今回の十二支別人口の順位のように、不思議な傾向が生まれたりするのだ。そして、そういう癖を見抜けないと、データの解釈を間違うことになる。
 
こういったデータの癖を確実に発見するのは難しく、最後は勘、経験の領域だ。ただし、何にせよデータを見るときに疑いを持つことが大切になる。そして、おかしな点があったら、データの癖の原因となるものがないか調べる、考える。具体性に乏しいノウハウだが、これらを習慣付けることがデータを有効活用する上では重要だ。

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