Google広告からのトラフィックはbotだった!?


この記事の所要時間: 320秒 〜 420秒程度(1953文字)


インターネット界隈でよく目に耳にするトラフィック(Traffic)という言葉。バズワード的に使われている感じもあるが、元を正せば交通、交通量のことだ。転じて、通信量、データ量、アクセス回数となっても、通過する量、到着する量という大枠の意味は変わっていない。直接目に見えるものではなく、言葉に広がりがあるので意味を厳密には捉えにくいものの、言葉のイメージ自体はつかみやすいだろう。そして、トラフィックが重要なこともよくわかる。
 
さて、トラフィックについて、かなり衝撃的なニュースがあった。GIGAZINEに掲載された「GoogleやFacebookの広告から来るトラフィックの9割は役に立たない」とあるサイトが分析結果を公表という記事だ。キャリア支援サイト・You Execのデータで、GoogleやFacebookの広告から来たトラフィックに不審な点があるという指摘。具体的には、これらのサイトからの訪問者の9割は「マウスカーソルをほとんど動かさず、スクロールも一方向のみ。しかも、その早さはとても内容を読んでいるとは思えないもの」とのこと。記事では、これらの訪問者を「ユーザーではない何か」と表現しているが、おそらくbotの類だろう。要は、人間ではなくプログラムがサイトを訪問しているということだ。
 
あくまで1サイトの訪問者とはいえ、これが事実ならネット広告の基礎を壊すような話。広告のお陰で100人のお客が集まったと思っていたら、実際は10人しかいなかったというのだから目も当てられない。ただし、ここで必要となるのは「比較」の視点。「9割」という数字の衝撃に引っ張られるより、データの意味をよく考えて対応するのが賢明だ。
 

credit: mwewering via pixabay

 


他社サイトの広告からの訪問者は?


まず必要なのは、他社サイトの広告からの訪問者との「比較」だ。GoogleやFacebook以外の広告からの訪問者もbotが多いのなら、要はインターネットはbotだらけということ。情報収集のためのbotか、サイト攻撃のためのbotか、はたまたそれ以外のbotかはわからないが、サイトを一般公開している限りbotの訪問は仕方がない。そして、それらのbotがどこからか貼られたリンクをたどってくるのも、極めて自然だ。この場合、トラフィックが実際の訪問者数をあらわしていないことは問題だが、GoogleやFacebookが悪いわけではない。
 
また、Google等からYou Exec以外のサイトへの訪問者についても「比較」が必要となる。別のサイトで同様の現象が起きていないなら、このサイトの特徴がbotをより多く集めていることになるからだ。botを引きつける具体例は考えにくいが、プログラムがキーと考えている要素の影響などは否定できないだろう。もしこのパターンなら、botを集める要素の除外こそが、取り組むべき課題となる。
 


以前からそうだった!?


数字の本当の意味を考えるときには、時系列での「比較」も欠かせない。訪問者の9割がbotだったとしても、以前からそうだったかも知れないし、前はもっと酷かった可能性もあるからだ。「以前からそうだった」とわかっても問題は解決しないが、広告からの訪問者は「そもそもそういうもの」という割り切りができる人もいるだろう。
 
時系列でbotの割合が増えていることが確認できれば、できることは広告料の値下げ交渉だろうか。人間の訪問者は減っているのだから、そのぶん料金を下げろと迫るのだ。現実的に交渉の場をつくれるかはわからないが、理屈で考えればそういうことになる。
 


相対化を忘れずに!


「9割がbot」というデータから多くの人が想像するのは、アクセス数を水増しするbotの存在だろう。GoogleやFacebook、もしくは広告代理店等がbotをつくって、広告を踏ませている可能性だ。9割という数字の絶対的な大きさから、何らかの悪意が存在していると考えるのは不思議なことではない。
 
ただし、水増しがあるにせよないにせよ、データから対策を練るには、数字の本当の意味を理解することが重要となる。「9割」という数字だけでは、その価値を見極められないからだ。そして、それには「比較」による相対化が欠かせず、ここまでに書いたのがそのいくつかの例となる。データを有効活用するためにも、相対化により真の意味を引き出す癖をつけてもらいたいものだ。

  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.