『小学8年生』のターゲットは何年生?


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奇抜な誌名で話題を集めた『小学8年生』が、先日、いよいよ発売となった。定価980円(税込)で、付録は「手作りチョークと黒板ノート」。注目コーナー「まんがで読む人物伝」には、アメリカのドナルド・トランプ新大統領が登場しているという。
 
この新雑誌『小学8年生』のターゲットは、小学1年生から6年生とのこと。『小学8年生』の「8」は、電卓などでよく見る角張った長方形の数字のイメージで、7本の棒のオン/オフで1〜6のどの数字にでもなるというわけだ。小学館の学年誌は、『小学二年生』が休刊になり、残るは『小学一年生』のみ。学年に対応する学習雑誌がなくなった小学生を、幅広く取り込もうという狙いだろうか。
 
さて、ターゲットを小学1年生から6年生までとすることで雑誌の対象となる人数は増えるが、その一方でターゲットの絞り込みが甘いのも確か。この欲張りなターゲットは、やや無理があるように思われる。1年生と6年生では、学力に大きな差があり、興味を持つものもかなり違うからだ。『小学8年生』は、普通に考えれば「フリーサイズは誰にもフィットしない」になってしまう。では、『小学8年生』の真の狙いはどこにあるのか。今回はこれについて考えてみる。
 

Photo credit: BONGURI via Foter.com / CC BY-NC-ND

 


『小学8年生』なら購入をやめる理由がなくなる!?


考えられるのは、メディア等に発信するターゲットと実際のターゲットが異なるパターン。小学1年生〜6年生をあらわす「8年生」を名乗っているものの、実際のターゲットは「小学2年生〜3年生」などに絞り込んでいるという可能性だ。ターゲットの「本音と建前」とでも言おうか。
 
その狙いは、雑誌を買う人の間口を広げること。『小学一年生』の次が『小学二年生』なら、3年生になると買うのをやめてしまうが、『小学8年生』なら購入をやめる積極的な理由がなくなる。全学年の学年誌があったころなら、『小学一年生』の読者は『小学二年生』に、『小学二年生』の読者は『小学三年生』に受け継がれるというパターンが期待できたが、今はこれができない状態。学年誌の継続購読を少しでも増やそうとして、『小学8年生』にしたという見立てだ。
 
ただし、もちろん弊害もある。小学2年生になったから『小学二年生』を買うというパターンがなくなるところだ。『小学8年生』では、ある学年になったことをきっかけに購入することは少ないだろう。『小学一年生』の読者を『小学8年生』に引き継げないと、厳しい船出になる可能性も高い。
 


いろいろなタイプのターゲットがある!


マーケティングでは、ターゲットという言葉をよく使うが、実際にはいろいろなタイプのターゲットがある。商品の企画段階で想定する対象層が元々のターゲット。しかし、そのターゲットを狙うため、商品のイメージ作りではあえてずらしたターゲットを提示したりすることもあるのだ。例えば、実際のターゲットが喜びそうな利用者像を、広告等で打ち出したりする。一般向けの商品で高級感を演出したり、30代、40代向けの商品を若い女性向けに見せたり。やや単純だが、「若い女性向けの商品を使っている自分は、まだまだ若い」という感覚をもたせるためだ。
 
また、狙ったターゲットと違った層が商品の顧客となったら、それを受け入れるという考え方もある。ターゲットの理想と現実というわけだ。「結果としてターゲットになった人たち」も本来とは違ったターゲットだが、このパターンは意外に多く見受けられる。こういうときは、最初に狙ったターゲットを取り込みたいのはやまやまでも、新しいターゲットに向けて商品や広告を少しずつ寄せていくのが現実的だったりする。
 
このように、一口にターゲットと言ってもいろいろある。ターゲットがおかしいように見える商品があった場合、いくつかのタイプのターゲットを考えてみると、理解が進む。今回の『小学8年生』についての見立てが当たっているかはわからないが、「ターゲットは小学1年生〜6年生」を真に受けるよりは実態に迫っているだろう。マーケティング的な見方のひとつとして、複数のタイプのターゲットを意識することをオススメしたい。

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