プレミアムフライデー、実施はたった120社?


この記事の所要時間: 30秒 〜 40秒程度(1791文字)


先月の最終金曜日(2017年2月24日)から、プレミアムフライデーがスタートした。その効果を疑問視する声もあったが、売り手側の大手百貨店は「前年2月の月末金曜日(26日)対比で4社ともに売上高が伸びた」とのこと。これを「一定の効果」と評価しており、売り手側のプレミアムフライデーはしばらく継続しそうだ(参考:大手百貨店、プレミアムフライデーは「一定の効果」 継続へ|ロイター)。
 
一方、この消費喚起キャンペーンで気になったのが、記事の見出しにもした「120社」という数字。買い手側である消費者に、早帰り等でいつもより多くの時間を与えた企業はこれしかなかったというのだ。自分が最初に見たのはスポーツニッポンのプレミアムフライデースタートも…早帰りは120社程度にという記事だった(強調は筆者)。

〔略〕
この取り組みが広まれば、個人消費を押し上げる効果も期待されるが、早帰りや休暇取得の推奨など特別な対応をしたのは大企業を中心に一部にとどまった。経済産業省によると、プレ金に参加できるよう早帰りなどの対応をした企業は120社程度とみられる。

 
「あれだけ騒いで、早帰りを実施したのはたったの120社?」というのが、最初に思った正直な感想だ。しかし、よく考えると、この数字には「含み」がある。120社という数字を、そのまま真に受けてはいけないのだ。
 

Photo credit: klipsch_soundman via Foter.com / CC BY-SA

 


最低でも120社程度?


120社という数字は、引用した記事では「経済産業省によると」と紹介されている。プレミアムフライデー経済産業省のページにリリース等は見当たらないので、経産省関係者が会見なり、取材なりで明らかにした数字だろう。では、経産省の関係者はこの数字をどうやって知ったのか。
 
ここからは推測になるが、全国にあるすべての企業にプレミアムフライデー実施の有無を調査するのは現実的でない。膨大なコストと時間がかかってしまう。サンプリング調査なら多少は現実的だが、この場合は結果をパーセンテージであらわすのが一般的だ。こう考えると、「120社」は調査結果ではなく、経済産業省が(たまたま?)実施を確認できた企業の数の可能性が高いように思われる。つまり、120社がプレミアムフライデーの早帰り等を実施したと言っても、残りの企業が「実施していない」とは限らないのだ。
 
そこで、いろいろ調べてみると、産経フォトの記事で、以下のように表現が見つかった。

経済産業省によると、23日時点で早帰りなどの取り組みが確認できたのは120社程度。

 
「取り組みが確認できたのは」を勝手に付け足したとも思えず、他社の報道はこの部分をあまり重要と考えず省略したと考えられる。しかし、数字にうるさいものから見れば、 「対応をした企業は120社程度」と「取り組みが確認できたのは120社程度」の違いはあまりに大きい。前者は「ずばり120社程度」なのに対し、後者は「最低でも120社程度」ということ。微妙な違いのようで、数字の持つ意味は大きく違ってくる。
 


データには註釈が付き物!


人は目立つ数字に引っ張られる。数字がわかれば状況をはっきり捉えられた気になるし、数字は何よりシンプルだからだ。そして、そのデータを使用するとき、数字にまつわる細かい部分が伝わらないことは多い。現にこの記事でも、多くの箇所で「120社程度」を「120社」と言い換えている。記事の趣旨から、「120社程度」と「120社」の違いは、「ずばり120社程度」と「最低でも120社程度」の違いに比べて小さいと判断しての省略だが、これだって間違いの元と言えばそれまでだ。
 
データには、その調査方法、集計方法について注釈が付き物。ついつい数字に目を奪われるが、実はこの注釈部分が大切だ。このあたりの精確さは、日々の雑談では不要でも、本気でデータを扱うときには重要になる。発信側としても、受信側としても、データの注釈には気を付けたいところだ。

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