スパムメールのお値段は?


この記事の所要時間: 310秒 〜 410秒程度(1812文字)


インターネットでの情報流出は数あれど、先日、その極め付きのような事件が起きた。何と、今回情報を流出してしまったのはスパムメールを送りつける側のスパマー業者。普段は流出したメールアドレス等を使ってスパムを送るスパマーが、みずから情報流出したのだから世話はない。間違ってパスワードなしでアップロードしたデータベースには、13億件以上のユーザー情報があったという。13億件は約35億人と言われる世界のインターネット人口の4割弱に相当。重複等もあるだろうが、なかなかインパクトのある数字だ(参考:スパム業者がバックアップミスでデータベース全公開、13億件以上のメールアドレスを持ち1日に数億件のスパムを送りつけ荒稼ぎする実態が判明|GIGAZINE)。
 
さて、この事件で特徴的なのは、個人情報以外にもHipchatログ、詳細な会計情報、ビジネス計画、ビジネス上の提携先情報などが流出したところ。そして、その中で特に興味を引かれたのが、お金にまつわる部分。今回の流出で、はからずもスパムメールのお値段がわかってしまったのだ。
 

Photo credit: Dick Thomas Johnson via Foter.com / CC BY

 


スパムは1通0.1円


記事の中の該当部分を引用すると、次の通り。

以下の文書には、1800万人のGmailユーザーと1500万人のAOLユーザーをターゲットにしたスパム攻撃で1日に約3万6000ドル(約410万円)の報酬を得ていたことなどが記載されており…

 
これは、流出したMicrosoft Word文書についての解説。合計3300万人にスパムを送った報酬が3万6000ドルと明記されている。単純計算すれば、スパム1通 = 3万6000ドル ÷ 3300万通 = 0.0011ドル = 0.12円(1ドル110円換算)。単価には値幅もあると考えられるので、スパム1通0.1円くらいが目安だろうか。
 
ひとつの事例からの計算に過ぎないことに注意が必要だが、これでざっくりとしたスパムのお値段がわかったことになる。このレートを使えば、スパムまわりのいろいろが今までよりはっきり見えてくる。
 


100万分の1でペイする!?


さて、「スパム1通0.1円」から何がわかるのか。
 
例えば、引っかかった人から得られる利益が1人10万円のスパムがあるとしたら、100万通で1人騙せれば、一応ペイするということだ(100万通 × 0.1円 = 10万円)。利益をスパム送信費で相殺してしまっては儲けが出ないので、実際には50万通に1人くらいは騙す必要があるだろうか。これだと、上の3300万通で66人が騙せて、利益は660万円。スパム送信費が410万円なら250万円の儲けとなる。もちろん、これは机上の空論も甚だしいが、ここから「こんなの誰が騙されるんだ?」と思うようなスパムが届く背景が少し見えてくる。50万分の1、100万分の1で騙せば採算が取れるからこそ、あんな不出来なスパムが届いてしまうわけだ。
 
見方を変えて、自分のところに1日30通のスパムが届くのなら、誰かが0.1円 × 30通 = 3円を支払っていることになる。年間なら1,000円強。微々たる金額だが、にっくきスパム送信野郎(?)に少しでも損をさせていると思えば、溜飲が下がるかも知れない。
 


金額をキーにした推論はおもしろい!


途中にも少し書いた通り、「スパム1通0.1円」というのは、1業者のたった1回の取り引きからの計算で、かなり荒っぽい推測だ。送信メール数で価格は上下するだろうし、この10分の1で請け負う会社があっても不思議はない。
 
ただし、それでも、価格がわかるとわからないとでは大違いと考えることもできる。金額という比較的扱いやすく、リアルに実感できる数字が手に入ることで、いろいろと見えてくることがあるからだ。「あやしい数字」であることが前提だとしても、金額をキーにした推論はおもしろいし、ある程度は役に立つ。「スパム1通0.1円」を使って、いろいろ考えてみたらいかがだろうか。

  1. 佐々木さん、

    はじめまして。

    大喜まさこと申します。

    佐々木さんの視点がとてもおもしろく勉強になりました。
    スパムって、そんな考え方をすると、
    1通いくら、って値段がつくんですね。

    佐々木さんはメルマガは発行していないのですか?
    とても読んでみたいです。

    では、ポチして行きます。
    また来ます。

    とても参考になる記事をありがとうございました。

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