「5年で2倍」に必要な年間成長率は何%?


この記事の所要時間: 320秒 〜 420秒程度(1886文字)


ニュースやビジネス資料でよく見かける「成長率」という言葉。言うまでもなく、ある数値が一定期間にどれだけ増加したかを示す指数のことだ。多くの場合、1年前と比べた前年比、前年同月比などが使われるが、たまに「N年でX%成長」という表現が出てくる。これまでの成長にせよ、これから予定する成長にせよ、「少し長い目で見て欲しい」ということなのだろう。
 
ただ、「長い目」の意図はわかっても、複数年の成長率はわかりにくく、伝わりにくい。「1年でY%成長」と違って、「N年でX%成長」はピンと来ないという人も多いだろう。数字を雰囲気でそのまま受け入れてしまう人も多いようだ。ここで問題なのが、数字の意味を理解せずに記憶しても役立たないところ。「N年でX%成長」にだまされない(?)ためにも、「1年でY%成長」にかみ砕いて理解することを、オススメしたい。
 

credit: Tumisu via pixabay

 


スマホで簡単、「N乗根」!


さて、「N年でX%成長」をかみ砕くのに必要なのが「N乗根」。N回掛け合わせると、その数になる値のことだ。冪根(べきこん)、累乗根などとも言われる。例を挙げれば、8の3乗根は2、81の4乗根は3、1024の5乗根は4といった感じ。このNが2のときが、おなじみの平方根=ルートだ。
 
N乗根は普通の電卓では計算できないが、今ならスマホの関数電卓アプリで簡単に求められる。iPhoneなら、デフォルトでインストールされている「計算機」で充分だ。立ち上げてiPhoneを横向きにすれば関数電卓になるので、これを使えばいい。元の数値Xを入力した後に「y√x」をクリックし(下の画像で黒枠の付いた箇所)、N乗根のNに当たる数値を入力してイコールを押せば、N乗根が算出される。

 
もちろん、Microsoft Excelで求める方法もある。式にすると以下の通り。

= POWER ( 元の数値X , 1/N )


N乗根は1/N乗と同じなので、べき乗を計算するPOWER関数を使って求めることになる。複数のN乗根を求める場合などは、こちらの方法がオススメだ。
 


「5年で2倍」に必要な年間成長率は・・・


記事の見出しに戻って、「5年で2倍」に必要な年間成長率を求めてみる。と言っても、要は2の5乗根を計算するだけだ。

2の5乗根 = POWER ( 2 , 1/5 ) = 1.148698355

ここから1を引いた0.149 = 14.9%が、「5年で2倍」に必要な年間成長率となる。
 
「5年で2倍」と「年に14.9%成長」を比べて、どんな印象を持たれるだろうか。自分の印象では、後者の方が容易に達成できそうに感じる。漠然とした目標がはっきりしたことによる錯覚もあるだろうが、「年に14.9%成長」ならどうにかなりそうに思えるのだ。もちろん、数値を見てどう感じるかは人それぞれ。ただ、「5年で2倍」と「年に14.9%成長」で、大きく印象が違うのは間違いないように思う。
 
さて、「5年で2倍」の出どころはと言えば、訪日外国人観光客数だ。2015年の訪日観光客数が1973万7400人で、2020年の目標が4000万人。東京オリンピックに向けて、「5年で(ほぼ)2倍」の目標が掲げられているのだ。達成に必要な年成長率は、「5年で2倍」のままではなかなかわからないが、N乗根を計算すれば14.9%ということ。2016年は21.7%増の2403万9000人となったので、14.9%は大きく超えたことになる。毎月発表される訪日外国人観光客数前年同月比なども、14.9%をひとつの目安に見れば、順調さが推し量れるだろう。
 


理解できない数値はかみ砕こう!


複数年の成長率はピンと来ない。そして、そのピンと来ない数値をそのまま鵜呑みにすれば、目標達成等への認識が甘くなる。途中経過に対する評価がボンヤリしてしまい、危険なことにも成り兼ねない。
 
重要なのは、意味の理解できない数値をそのまま受け取らないことだ。そして、今の時代は、幸いにもパソコンやスマートフォンでN乗根やその他の数値が計算しやすい状況にある。理解できない数値があったらそのまま飲み込まず、自分が理解できるところまでいろいろかみ砕いて計算してみたらいかがだろうか。

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