ワインボトルのイノベーション


この記事の所要時間: 220秒 〜 320秒程度(1399文字)


ワインを飲んでいるとき気になるのが、ボトルを汚す少しのしずく。ワインを注いだ後にボトルを回すと垂れにくいとされているが、その効果には限界があるようで、どうしてもしずくが付いてしまう。ちょっと汚らしいし、白いシャツで赤ワインでも飲んでいれば、実害を被ることにも成り兼ねない。いちいちボトルを拭けばいいのだが、酔っぱらいにはそれが面倒。何とも厄介な存在だ。
 
さて、この「ワインのしずく問題」を解決するボトルが開発されたという吉報があった(参考:滴が垂れないワインボトル、米大学が開発 200年続いた“液垂れ”に終止符?|ITnedia)。小さな改良ながら、世界で飲まれているワインの総量を考えれば、影響範囲は甚大だ。この発明は、「イノベーション」と言っていいかも知れない。
 

credit: grutka via pixabay

 


幅2ミリの溝を入れるだけで・・・


その発明の仕掛けはと言えば、ワインボトルの口付近に幅2ミリの溝を付けるという極めてシンプルなもの。ボトルを伝わるワインのしずくはこの溝で止まってそこから先に進まず、重力に従ってグラスの中に落ちることになる。言葉での説明は限界があるので、下の動画を見ていただけると話が早い。

 
説明を聞けば当然の現象に思えるが、これに気づくのに約200年かかったというのだからすごい話だ。現代の技術でワインが注がれる様子をスローモーション再生できたことが寄与したとは言え、突き詰めれば解決策に気づくセンスがあったということだろう。結果を知れば「そんなの当たり前じゃん!」と言いたくなるが、それは後知恵。ドラッカーも言うように、イノベーションには「なぜ、自分には思いつかなかったか」が最高の賛辞となる。当たり前だからこそ、素晴らしいのだ。
 


イノベーション級の大発明?


この発明のポイントは、「ワインのしずく問題」が確かに存在していること。「ワインのしずくを防ぎたい」というニーズは、どの程度顕在しているかは別にして、確実にあるだろう。ここが最近良く見る、無理に機能を増やしただけのような「発明」との違いだ。このアイデアが広く普及すれば、恩恵を受ける人が数多く出現するだろう。
 
さて、ここまでイノベーションという言葉と発明という言葉を混ぜて使ってきたが、これがイノベーションに当たるかは定義次第となる。ものがものなので「馬車を何台つなげても、蒸気機関車にはならない」というほどのインパクトはないが、一度使い出したら「後戻りできない」という点で社会を変える力は強い。言葉遊びになるのを承知で言えば、「イノベーション級の大発明」となるだろうか。
 


いかに普及させるかが今後のポイント!


今後の注目点は、このアイデアの実用化までの道のり。いかに良い発明でも、それを普及させるまでには一定の時間がかかる。何らかの権利を主張して、マネタイズしようとするなら尚更だろう。この部分については、部外者としてはのんびりと眺めるしかないが、このアイデアを放置しておくのは社会にとって大きな損失(!?)。1日でも早く、しずくの垂れないワインボトルを手にしたいものだ。

  1. コメントはまだありません。

  1. トラックバックはまだありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.