ライブの騒音対策もマーケティング発想で!


この記事の所要時間: 40秒 〜 50秒程度(2220文字)


桜が散り、4月も中旬となれば、日によっては汗ばむような陽気。ゴールデンウィークにはまだ早いが、屋外での活動が気持ちよくなるちょっとした行楽シーズンだ。これから暑くなれば、野外ライブ、野外フェスも増えてくる。
 
最近、この野外ライブでちょっとびっくりするニュースがあった(参考:ももクロコンサート騒音「うるさい」「迷惑」苦情87件も… 埼玉・富士見市に苦情電話相次ぐ|産経ニュース)。埼玉県富士見市で行なわれた「ももいろクローバーZ」のコンサートの騒音への苦情が、東京都の西東京市や東久留米市からも届いたというのだ。コンサート会場からの距離は、記事によれば「約20キロ」。起点を東京駅に置き換えて考えると、直線距離20キロは東なら西船橋駅、西なら三鷹駅あたりとなる。どれだけ遠くから苦情が来たのか、想像いただけるだろう。
 
ただ、同時に思い浮かぶのが、「本当にそんなにうるさかったのか」という疑問。果たして、20キロ先にはどのくらいの騒音が聞こえたのだろうか。今回はこれを確認するとともに、マーケティングの発想で騒音対策を考えてみたい。
 

credit: sasint via pixabay

 


100デシベルの騒音は20キロ先では14デシベル


当然ながら、音源から発せられた音は遠くにいくほど小さくなる。騒音が距離によってどのくらい減衰するかは、次の計算式で求められる。

計算式にlogが入るので取っ付きにくいが、要は元の騒音量から距離に応じた減衰分を引くということだ。
 
この計算式を使って、距離別騒音量の一覧を作ってみた。距離Aは1メートルとした。

いかがだろう。20キロ先では、元の騒音が120デシベルとして約34デシベル、100デシベルとして約14デシベルだ。騒音レベルの例で言えば40デシベルが「静かな住宅地」であり、34デシベル、14デシベルは騒音という感じではない。野外ライブの場合、複数のスピーカーから重層的に音を出しているだろうし、天候や風向きで騒音の大きさも変わるだろうが、20キロ先にそこまで大きな騒音が届くとは考えにくいように思う。
 
さて、ここで気づくのは、ある音を「うるさい」と感じるかどうかは、騒音の大きさよりも気持ちの問題だということ。電車の中でイヤホンから漏れる音楽などがその典型だろうか。音量的には大したことないが、耳について不快に感じる。大晦日に遠くから聞こえる除夜の鐘などもこの類で、最初は風情があるが、いざ寝ようとなると妙に気になることもある。野外ライブの騒音も同じこと。距離が離れて音が小さくなっていても、気になる人には気になる、不快と思う人には不快ということだ。騒音がどのくらい存在するかより、その騒音を周りの人たちがどう認識するかの問題となる。
 


先に謝罪すれば・・・・


そうなると、野外ライブの音量を下げる、会場の周りに防音壁を建てる等の物理的な対策には限界があるということになる。すべての騒音を防げるなら意味もあるが、それが無理なら騒音が小さくなってもどこからか苦情が出る可能性は残るからだ。
 
ここでヒントとなるのが、一番うるさかったはずの富士見市内からは苦情が少なかったという点。冒頭で参考に挙げた記事によれば、理由は市内では事前周知がたくさん行なわれていたからとのこと。先に、「ライブの騒音で、ご迷惑をおかけします」と謝罪しておけば、それでもなお苦情を言う人は少ないということだ。
 
エレベータ混雑の苦情対策には、
 (1)エレベーターを増設する
 (2)「ご迷惑かけます」の貼り紙をする
 (3)エレベータホールに鏡を設置する
   (鏡に映る自分を見ていれば、楽しいので待ち時間を感じない)
の3つがあるというビジネス小話がある。物理的な問題(エレベータ混雑)も、心理的な対応(鏡設置)で解決可能ということだ。野外ライブの場合、(3)のようなエレガントな解決策は思い浮かばないが、(2)の「先に謝罪」は有効。この部分に注力するのが、現実的な対策と思われる。
 


苦情を言いたくならないようにする!


具体的には、広い地域をアナウンスして回るのは大変なので、ライブの特設ページ等に先んじて騒音謝罪の言葉を入れておくなどの方法だろうか。
 
また、Twitter等に書き込まれた「ライブの音がうるさい」、「ここまで聞こえた」などのつぶやきに謝罪のメンション等を送る手もある。もちろん、ネットの口コミは生き物。下手な謝罪をして炎上でもしたら大変だが、問題が起きたときにうまく謝ることで評価が持ち直すことがあるのは確かだ。メンションを受け取った相手が、謝罪が来たことを好意的に受け止めて広めてくれれば、その後の苦情の防止にもなる。ややリスキーだが、これも一考に値する方法だろう。
 
いずれにせよ、騒音対策を物理的に考えるだけでなく、心理的、マーケティング的に考えることは大切だ。騒音を感じさせないのが無理ならば、それに苦情を言いたくならないようにすればいい。小ずるいやり方に思えるかも知れないが、現実的には大きな効果があると考えられる。

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