フランス大統領選挙も番狂わせが起きる!?


この記事の所要時間: 250秒 〜 350秒程度(1670文字)


今週末の日曜日、4月23日に2017年フランス大統領選挙の1回目投票が行なわれる。欧州連合(EU)離脱を決めたイギリスの国民投票、トランプ氏当選となったアメリカ大統領選挙に続き、意外な結末となるのか。接戦という予想も加わり、これまでのフランス大統領選挙より注目を集めているのは確かだろう。
 
本来、選挙の結果は投票箱の蓋を開けるまではわからないはず。それなのに、「意外な結末」と言われるのは、イギリスの国民投票も、アメリカの大統領選挙も、事前の世論調査の結果と違ったからだ。では、今回のフランス大統領選挙はどうなるのか。結論から言ってしまえば、今回も世論調査からの番狂わせが起きる可能性はあるように思う。
 

 


世論調査の回答者と非回答者で投票先が違うと・・・


一般に、世論調査の結果が選挙結果と違ってしまうのは、世論調査に回答しない人がいるためだ。若い世代が政治に興味がなく回答してくれなかったり、ビジネスマンが忙しくてアンケートに応じてくれなかったり、特定の候補を応援する人がメディア嫌いで調査に非協力的だったり、・・・。アンケートに回答する人たちと回答しない人たちの投票先に差があれば、世論調査の結果ははずれることになる。
 
もちろん、誰に回答してもらうかのサンプリングのランダム性が足りない、アンケートの後に投票先を変える人がいる、調査時点で「まだ決めてない」人の影響が大きい等の可能性もあるが、自分の経験からの感覚では、主たる原因は非回答者にあると思われる。非回答者の割合が1割程度なら大勢に影響を与える可能性は低いものの、これが3割、4割となるとそうはいかない。
 
回答者と非回答者で投票先が同じなら何ら問題はないが、これに大きな違いがあると困ったことになる。更に、非回答者の割合が大きいと結果に狂いが出る。下の図で言えば、非回答者が4割になった時点で勝者が逆転した。現実には、回答者と非回答者の違いががここまで極端なことは少ないだろうが、原理的にはこういうことだ。

 
今どきの世論調査で、回答率(協力率)が8割、9割あるというのは考えにくい。回答者と非回答者の違いはそのときどきでわからないが、英国民投票や米大統領選を見る限り、開いている可能性が高いだろう。回答率があまり高くなく、回答者と非回答者に開きのある現在の世論調査の結果は、原理的に考えてはずれやすいのだ。世論調査が当たることもあるだろうが、当たらなくても何ら不思議はない。
 


どの調査結果も「一面の真実」


世論調査の結果がはずれると、メディア等が結果を操作したという陰謀論が出てくるが、それは考えても仕方がない。確証のない陰謀を想像するくらいなら、ハンロンの剃刀(「無能で十分説明されることに悪意を見出すな」という考え方)に従ったほうがまし。無理に悪意を見出だすより、「無能」と考えたほうが合理的だ。
 
世論調査を「無能」というのはいささか抵抗があるが、今の調査環境では、選挙結果を当てるほどの精度はないというのは正直なところ。実際の調査に携わる人は、少しでも精度が上がるようあらゆる努力をされているだろうが、努力では届かない部分があるように思えてならない。
 
そして、世論調査を見聞きする者として重要なのは、どの調査結果も「一面の真実」でしかなく、頭から信じるようなものではないということだ。もはや、テレビや新聞を賑やかす世論調査の結果などは、話の種、娯楽の足しと考えたほうがいいのかも知れない。そこに故意につくられた嘘はなくても、調査の限界で真実からは程遠いものになり兼ねないのだ。調査に関わるものとしては極めて残念だが、この現実を認めることのほうが真摯な姿勢だと考えている。

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