3人席の「真ん中の席」を人気席にする方法


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飛行機や新幹線で採用されている、3つのシートが横に並ぶ3人席。この3人席の「真ん中の席」は不人気だ。具体的な統計データがあるわけではないが、予約システム等で座席表を見れば一目瞭然。予約がかなり埋まってきても、真ん中の席だけいくつも空いている。通路側のように出入りが楽なわけでもなく、窓側のように外が見られるわけでもなく、両側を人にはさまれて狭苦しい感じ。あえて選ぶ人が少ないのは、当然だろう。
 
さて、そんな「真ん中の席」に吉報があった。真ん中の席に人気をもたらすシートデザインが考案されたというのだ。このアイデアが、なかなかおもしろい。
 

credit: StelaDi via pixabay

 


3つの席の価値を同じにする!


3人席の「真ん中の席」を人気席にする方法は、ごく単純。両脇の席が18インチ幅(約46cm)なのに対し、真ん中の席だけ幅を21インチ(約53cm)に広げるというものだ。3インチは8cm弱で、両脇の座席にと比べて17%のお得となる(参考:飛行機の「真ん中の席」を特等席にして航空会社と乗客にメリットをもたらす革新的シート「Side-Slip Seat」|GIGAZINE)。
 
数値だけで考えれば、3つの席が同じ横幅なのが「平等」な状態。しかし、「真ん中の席」の不人気からわかるように、人の心理を考えれば3つのシートの価値は等しくない。そこで、3つの席の価値が少しでも近づくように真ん中の席を広げて、「公平」な状態にする。3インチの拡幅が適当なのか、本当に人気が出るのかはわからないが、なかなかの良案のように思う。「いいとこなし」の真ん中の席が、「いいとこあり」になったのだから、選ぶ人が増えてもおかしくないだろう。
 


3インチの狙いは「マイナスの体験」の除外?


サービス業では、不人気のものに「おまけ」をつけることは珍しくない。遅い時間のランチが「大盛り無料」だったり、平日のホテル料金が休日や休前日より安かったり。サービスは作り置きができないので、不人気な部分に付加価値を加えることで需要を分散させ、少しでも売上高を増やそうとするわけだ。
 
3人席の真ん中の席の拡幅は、これと同じようで少し違う。飛行機が本当に混んでいれば乗客は嫌々でも真ん中の席に座るし、混んでいないときに真ん中の席ばかり空席でも実害はないからだ。真ん中の席をプレミアム化しても、ひとつの機内、車内での座席の埋まり方が変わるだけ。全体の売上高を拡大するような需要の分散が起きるとは考えにくい。
 
では、この3インチ広い席の利点は何か。もちろん、これはコンセプトで実際に採用されたわけではないので確たることは言えないが、真ん中に座った人の満足度向上だと想像される。つまり、真ん中の席に座って残念だったという「マイナスの体験」を残さないということ。これによる直接の実利はないが、リピーターが大切になるビジネスでは、「マイナスの体験」を除外する効果は大きい。これはあくまで机上の空論だが、いい線を行った見立てではないだろうか。
 


ユーザーの感じる満足を平等に!


サービスを提供する際、すべての人を等しく扱おうとする態度はたぶん正しい。ただし、それを捉えやすい見かけの「平等」にすると、ユーザーの感じる満足には不平等が起きる。まさに、3人席の真ん中の席になってしまうのだ。そして、不平等に扱われた真ん中の席の人は、少しの不満を残して利用を終えることになる。
 
この事態を避けるため、見かけ上の不平等を作って、満足を「公平」にするのは悪くないアイデアだと思う。お客を平等に扱っているようで、実はお客の満足に不平等が生じている状況を見出して、それを改善する。言うは易し行なうは難しだし、その微量なコントロールはかなり難しいが、視点としては有効だろう。一度、考えてみてはいかがだろうか。

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