子供の人口は1571万人、前年比33万人の急減!?


この記事の所要時間: 330秒 〜 430秒程度(2016文字)


毎年、5月5日のこどもの日にあわせて発表される「こどもの数(15歳未満人口)」の統計データ。新聞の朝刊やテレビの朝のニュースで取り上げてもらうためか、前日5月4日付けで統計トピックス(人口推計)として公開されるのが恒例だ。
 
ただし、この統計(の一部)は、既に公表されているデータを利用したもの。そこで今回は、2日フライングで「こどもの数」のデータを紹介してみようと思う。
 

credit: YUKIHIDE via pixabay

 


2017年4月1日現在の「こどもの数」の概算値は1571万人


こどもの日恒例となっている統計トピックスで毎年使われるのが、その年の4月発表分の各月1日現在人口。毎月20日ごろに公表されるものだ。このデータには、その月(2017年4月)1日現在の「概算値」と5か月前(2016年11月)1日現在の「確定値」が含まれており、使用されるのは4月1日現在の「概算値」。ここでは、データの精確性より、速報性が優先されている。
 
早速、当該データをダウンロードして確認したところ、2017年4月1日現在の「こどもの数(15歳未満人口)」は1571万人。内訳は、男805万人、女767万人となる(合計が一致しないのは四捨五入の影響)。これは動かしようがない数字なので、自分の勘違い等がない限り、この数字が公表されるはずだ。例年にならうなら、トップの見出しは「こどもの数は1571万人、36年連続の減少」となるだろう。
 


「こどもの数」は前年比33.7万人の急減!?


さて、問題は前年比だ。こちらは比較対象として前年4月1日現在の「確定値」を使うのだが、前出の各月1日現在人口で調べた2016年4月1日現在の「こどもの数」の確定値は1604.7万人。これで計算すると、「こどもの数」の前年比は1571万人 − 1604.7万人 = −33.7万人となり、例年の15万人前後と比べて2倍以上の急減になってしまう。これは、自分の感覚では、あり得ないデータの動きだ。
 
実は、このおかしなデータの動きの原因は、人口推計の求め方にある。人口推計は国勢調査のデータを元につくっているので、使用する国勢調査が更新されて、データが大きく動くことがあるのだ。前回の国勢調査が2015年10月で、このデータが反映されたのが2016年12月発表分(概算値2016年12月1日現在、確定値2016年7月1日現在)から。2015年国勢調査からの推計と2010年国勢調査からの推計を比較したため、おかしくなデータの動きになったわけだ。
 


改定値を使うと・・・


2015年国勢調査を使った人口推計は、改定値として2015年10月〜2016年6月分の確定値が公開されており、これによる2016年4月1日現在の「こどもの数」は1588.1万人。この改定値を使えば、前年比の減少幅は、1571万人 − 1588.1万人 = −17.1万人となり、想像され得るデータの動きになる。
 
概算値、確定値、(確定値の)改定値をグラフにすると次のようになる。

確定値の2016年6月から7月にかけての大きな変動が、おかしなデータの原因。この動きは推計に使用する国勢調査の更新によるものなので、この部分を補ってデータを見れば問題は起きない。つまり、2016年6月以前については改定値を使うということだ。そもそも、人口推計と国勢調査のデータがなぜこんなにずれるのかという問題はあるものの、前年比の見方はこれしかないだろう。
 
2016年6月1日現在の改定値と確定値の差は1584.6万人 − 1601.3万人 = −16.7万人。5年間人口推計を繰り返す中で、これだけの差が出てしまったわけだ。そう考えると、この16.7万人を5年で割った約3.3万人は、人口推計には出ない減少分と捉えることもできる(5年間均等に減っているとは限らないが・・・)。「こどもの数」の実際の減少幅は、17.1万人 + 3.3万人 = 20.4万人くらいなのかも知れない。
 


大きなデータの動きがあったら、データを疑え!


さて、17.1万人減と33.7万人減では大差。今回は多少は知識のある人口データだからトリックに気付いたものの、まったく知らないデータなら33.7万人減を真に受けて大騒ぎした可能性もある。統計のトリックに気付かなければ、データの罠に引っ掛かってしまうのだ。データをつくっていて大きなデータの動きがあったら、データを疑うのが鉄則だ。「何か起きた?」、「大発見!」と思うのではなく、統計方法の変更、自分の間違いなどを疑うことが必要になる。

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