カテゴリー : マネジメント

もしもクラウドが壊れたら・・・


この記事の所要時間: 220秒 〜 320秒程度(1393文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
AFP通信のニュースサイト・AFPBB Newsに アップル共同創設者のS・ウォズ氏、「クラウドは今後5年で問題多発」 という記事が掲載されました。我が敬愛の“ウォズ”ことスティーブ・ウォズニアックが、最近もの凄い勢いで広がっているクラウドサービスの利用に警鐘を鳴らしたのです。
 

photo credit : VinothChandar via photo pin cc

 
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経営トップは事実とデータに基づいた発言を! ― 楽天・三木谷会長兼社長のインタビューを読んで


この記事の所要時間: 230秒 〜 330秒程度(1533文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
先週、楽天の三木谷浩史会長兼社長のインタビュー記事を2つ読みました。
 ●細かいことで騒いでいるのは少数派ですよ 楽天・三木谷社長、Kobo騒動を語る|日経ビジネスオンライン
 ●コボの出足は大成功、ネガティブな口コミは誤情報だから消し、内容を吟味して再掲載する――楽天・三木谷浩史社長|東洋経済オンライン
 
楽天が7月19日に発売した電子書籍端末kobo touchについてのインタビューで、どちらもその初期トラブルへの対応を話題にしています。事前チェックで防げないトラブルだったのか、トラブルへの対応は適切だったのか、口コミサイトの閉鎖は妥当なのか、などについて興味深いやり取りがされています。経営トップとしての資質や姿勢を試されるインタビューだと言えるでしょう。
 
自分が気になったのは、「利用者がkoboをどのように評価しているか」について三木谷社長の発言に推測が多いところです。
 


口コミやクレームを見ても実態はわからない


何らかの商品が発売され、その商品についてインターネット上で高い評価の口コミがたくさん書き込まれたとします。サクラによる書き込みはないとして、この商品は“一般に”高く評価されていると言えるでしょうか。これは言えません。意見を言いたい人が勝手に発言しているだけなので、一般の利用者の声を代表しているとは限らないからです。口コミは商品改良のヒントを得るのには役立ちますが、口コミを元に「利用者は◯◯と言っている」と一般化するのは間違いです。
 
問い合わせ窓口に寄せられるクレームについても同じことです。クレームには真摯に対応し、必要に応じて謝罪をすることも求められます。しかしそれは、たとえ“一部の利用者”であってもクレームが生じることに問題があると考えるからです。トラブルがどの程度の範囲に広がっているかは、クレームの数や質からはわかりません。
 


“この指とまれ”アンケートをしても駄目


では、その商品に興味を持った誰かが、商品評価についてのアンケートページをつくったらどうでしょう。残念ながら、これも利用者を代表する結果を得るには不充分です。自分のホームページやSNSで回答者を募っても(たとえ広範囲に拡散したとしても)、それは“この指とまれ”方式で人集めをしているだけだからです。この指とまれ方式で集まった人たちが、利用者全体を代表しているとはなりません。
 
アンケート実施側が回答者を指定する方式でない限り、利用者の声を代表する意見を知ることは難しいのです。
 


トップこそ率先して事実やデータに基づく姿勢を!


利用者が商品をどのように評価しているか。
これを高い精度で知るためには、アンケートの対象者を①メーカーなり販売店なりが持つ販売相手リストを元にサンプリングするか(「もし、あれば」ですが)、②数十万人規模の大規模なアンケートモニターから商品利用者を抽出するしかないでしょう。どちらも大きな費用が掛かりますが、簡略化して費用を抑えることも可能です。
 
経営のトップに立つ人が、推測により現状を把握して行なう判断と、(多少の質の優劣はあったとしても)事実とデータに基づいて行なう判断では後者の方が成功する確率が高いと考えられます。また、利用者や消費者にも好意的に受け止められるでしょう。信頼される経営者の資質や姿勢として、後者が好ましいのは間違いありません。
 
今回の楽天の件だけではなく、事実やデータを軽視する習慣はなかなか無くなりません。
トップこそ率先して事実やデータに基づく姿勢を示して欲しいものです。

問題の切り分け 〜橋下市長、女性問題は「別の場所で」〜


この記事の所要時間: 130秒 〜 230秒程度(1015文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
大阪の橋下徹市長の女性問題に関する報道がありました。週刊文春の記事について記者の質問に答えたものです。女性問題や橋下市政についてどうこう言うつもりはありませんが、MSN産経ニュースの記事(橋下市長が女性問題認める 週刊誌報道めぐり「僕のポカで家族に迷惑」)に興味深い箇所がありました。

橋下氏は18日、午後7時ごろから退庁時の囲み取材に応じたが、記者団から質問が出る前に「文春の件は別の場所でやります」と自ら切り出した。関西電力大飯原発4号機の再稼働などに関する質疑を終えると、バックに大阪市のPRロゴがない場所に移り、女性問題に関する質問に応じた。

 
女性問題については場所を変えて対応したというのです。
公的な問題と私的な問題の切り分けを象徴する行動で(どうでもいいような)会見の内容より重要と言えそうです。
 
ビジネスにおいても、この切り分けの発想はとても大切になります。
 


過去の女性問題と今後の橋下市政に因果はあるのか?


公人のスキャンダル報道を見ていて考えるのは、スキャンダルがその人の職務に影響を与えるかどうかです。今回の例で言えば、過去の女性問題と今後の橋下市政の関係性の問題です。
 
今後の橋下市政に影響が小さいのなら、女性問題の追求は的外れと言えます。
政治は駆け引きなのであまり関係がなくてもスキャンダルを追求するのでしょうが、その因果関係が弱いならそこに拘泥しても時間の無駄でしかありません。
 


問題の切り分けが重要


ある企業にマイナスの事項が見付かると、その対象のすべてを否定するような流れになることがあります。しかし、そのマイナス事項が影響する範囲は限定的です。どこに影響があり(因果が強い)、どこに影響がない(因果が弱い)かを切り分けて考えないといけません。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い式の思考法では、問題解決を遠ざけるばかりです。
 
ある企業に何か問題があるからと言ってすべてを否定するのは、ある種のカテゴリー適用法(ある現象をより大きなカテゴリーの一員に位置づけることで説明できると考える思考法)です。このような単純化をビジネスの場で行なえば、損をすることになり兼ねません。常に問題の背景にある構造を意識して考えることが必要です。
 
橋下市長が場所を変えたということから、こんなことを考えました。

失敗の原因を書き出そう!


この記事の所要時間: 050秒 〜 150秒程度(673文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
多くの成功者が言うように、ビジネスにおいて失敗の経験を活かすことはとても重要です。失敗を恐れるのではなく、失敗と上手に付き合うことが求められます。この失敗を学問的、体系的に扱っているのが畑村洋太郎さんの提唱する失敗学です。
 
失敗学は、失敗の特性を理解して、

 ①不必要な失敗を繰り返さない
 ②失敗からその人を成長させる新たな知識を学ぶ

ことを目指しています。
 
失敗学では失敗の原因を階層的に捉えます。
これをフォーマット化したのが今回ご紹介するツールです。
 

失敗原因の洗い出し
ファイルのダウンロードはココから

 
『失敗学のすすめ』(畑村洋太郎/講談社)で示された失敗原因の階層構造の脇に「考えられる原因」と「実行可能な対策」の欄を付けただけなのですが、これだけで充分に役立ちます。本で得た知識はそのままでは使うことができません。このようなフォーマットに落とすことで、すぐに活用できるようになるのです。
 
失敗の原因を洗い出すとき、何もフレームを使わずに考えると、ただの思い付きに留まってしまいます。このような枠組みを使って考えることで、網羅的に失敗原因を探索できる効果があります。また、本当の失敗原因を隠したり、目立つ原因ばかりに単純化したり、社内のパワーバランスで落としどころを探したりすることを防ぐためにも役立つでしょう。もちろん、それぞれに対策を考えて、優先順位を着けて実行に移すことも重要です。

失敗を成功に結びつけるためにも、ぜひご活用ください。

スキルをセンスと勘違いしてませんか?


この記事の所要時間: 10秒 〜 20秒程度(791文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
一橋大学大学院の楠木建教授が、プレジデントオンラインで『楠木建の「戦略読書日記」』を連載しています。内容はビジネス誌にありがちな「すぐに役立つビジネス・スキル」ではありません。経営者の仕事に必要な「戦略センス」を磨くための本が毎回紹介されています。
 
その連載1回目『ストーリーとしての競争戦略』で、筆者はスキルを「その内容の定義が社会的に定着して」いて「それを身につける道筋もある程度出来上がっている」もの、これに対してセンスを「千差万別」で「試験の成績や資格の取得で人に見せることもできない」ものとしています。
 
その上で、

スキルとセンス、どちらも大切である。ただし、両者はまるで異なる能力であり、区別して考えることが大切だ。

誰かがつくった戦略の分析ならばスキルでなんとかなる。分析フレームワークもたくさんある。しかし、すでに存在している戦略を分析するということ、自らオリジナルな戦略ストーリーをつくるというのは、まるで違う仕事である。

だから今の時代、多くの人がスキルに傾く。センスがないがしろにされる。会社の中でもスキルばかりが幅をきかせるようになる。

などの指摘をしています。
 
これを読んで日ごろ自分が感じている違和感の正体がわかったように思いました。
スキルを身に付けただけでセンスまでも獲得したと勘違いしている人を見て、「あれっ?」と思うのです。まるで人間の能力は一つの軸で構成されていて、スキルの延長にセンスがあるように考えている人もいます。スキルだけを持った人間が、センスが要求される仕事を「できるつもり」になった場合、待ち受けているのは不幸な結果でしょう。
 
スキルとセンスは別物です。
自戒の意味も込め、この違いには気を付けなくてはいけないと思った次第です。