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中小企業でもハッカソン?


この記事の所要時間: 40秒 〜 50秒程度(2285文字)


ブレーンストーミング、ワールドカフェ、ファシリテーション、・・・。
 
人が集まって何らかのアイデアを生み出し、それを実現するための手法は、これまでにもたくさん開発、提案されてきた。どれも完璧ではないものの、型無しで藪から棒に議論するよりは効率が良いため、実際に企業の中で使われることも多い。人々のアイデア出しに対する情熱は凄まじく、このニーズに応えようと次々に新しい手法が編み出されているのが現状だろう。玉石混淆どころか石石混淆の感も否めないが、それでもどこかしら役立つところがあるのがこの種の手法のおもしろいところだ。
 
さて、ハッカソンをご存知だろうか。
ハッカソンは「ハック」と「マラソン」を組み合わせた造語で、10年くらい前から使い出された言葉だ。ハックというと「ハッカー」を連想してマイナスのイメージを持つ人が多いかも知れないが、ここでは「高い技術を駆使する」程度の意味で使っている。要は、その技術を何にどのように使うかが問題で、ハッカソンではこれをプラスに使うことを前提としているのだ。
 
ハッカソンは、プログラマーやグラフィックデザイナーなどの技術者たちがたくさん集まり、同じ目的に向かって集中的に共同作業をするイベントだ。イベントの期間が1日〜1週間と長いため、マラソンと組み合わせた呼び名にしたらしい。実際にプログラムをつくり、その成果物を最後にプレゼンテーションで競うことも多い(参考:ハッカソン|ウィキペディア日本語版)。
 
このハッカソン、やや毛色は違うもののアイデア出しの手法と捉えることもできそうだ。言葉の由来からIT関連のイベントで使われることが多いが、アイデア出しの部分に注目する限り分野を限定する理由はない。そして、日本でも今年あたりそろそろはやり出しそうな気配がある。
 
ハッカソンは定義が曖昧でバズワード感たっぷりな言葉だが、人を惹き付ける何かがある。バズワード化して、これを商売に使いたい企業の訳のわからない解釈が加わる前に考察しておくのも悪くないだろう。
 
そこで、ハッカソンの魅力をあぶり出し、中小企業で応用するための方法を考えてみることにした。
 

photo credit : foursquare HQ via photopin cc

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ビッグデータを定義する


この記事の所要時間: 620秒 〜 720秒程度(3421文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
アンケートとデータ活用を得意にしていると話すと、ビッグデータ、データマイニング、テキストマイニングなどについていろいろ聞かれることがあります。
 
相手によって言葉からイメージしている内容にかなり開きがあるのは仕方ないとして、自分でデータを扱ったことがある人間よりも大きな期待を持っているのが困ったところです。間違って過大な期待を持たないように「できることは限られる」と言えば言う程、相手をがっかりさせることになるのです。それどころか、役に立つ活用方法をうまく説明できない佐々木の知識や能力が足りないと思われているような感触さえあります。
 
自分がどう思われるかはさて置き、ビッグデータが捉え難い概念なのは間違いないでしょう。また一方で、捉え難いがために、データを扱ったことのない人を中心に却って大きな期待を集めているようにも思います。誤解されている面もあるでしょう。ビジネス関連のバズワードによくある現象とは言え、データ活用に関することだけに残念な動きです。
 
さて、「捉え難い」「誤解されている」と言っていてもはじまりません。
「ビッグデータとは何なのか」。この定義に挑戦してみることにします。
 

photo credit : Jemimus via photopin cc

 
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インバウンド・マーケティングは消費者像に要注意!


この記事の所要時間: 220秒 〜 320秒程度(1437文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
最近よく見かける言葉にインバウンド・マーケティングがあります。まだまだご存知ない方も多いでしょうが、いくつかのIT系ニュースサイトが積極的に取り上げており、今後注目を集めるようになるのは必至です。流行は、自然に起きるものではなく誰かがつくるものですから、その成功・失敗はあるにせよある程度の盛り上がりが予想されます。
 
マーケティング関連のはやり言葉を追いかけてもあまり意味が無いことは経験的にわかっています。ただ、「知らない」では済まないこともあり、また長く定着するような大切な概念でないとも言い切れず、多少は齧っておいた方がいいのは間違いありません。
 

photo credit : Folk Media via photo pin cc

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データ分析は魔法の道具?


この記事の所要時間: 20秒 〜 30秒程度(1215文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
企業にとって、新しい商品や技術を開発したとき、そこに注意を集めるためその商品、技術による効果や効用を大きくアピールすることは重要です。まず興味を持ってもらわないことには、関心や欲求、そして購買にはつながらないからです。
 
このとき気を付けなくてはいけないのが、効果や効用を過剰に宣伝してしまう過ちです。少しでも多くの人にアピールするため、たとえば、ごく稀にしか起きないような成功を常に達成可能なことのように伝えてしまい、墓穴を掘ることになります。
 
満足は期待と実現された効果・効用との差分ですから、期待値を高め過ぎれば不満足な結果となり、リピートは望めません。短期的には、過剰な期待によって多くの利益を得られるかも知れませんが、その永続は望めないのです。
 
「何を当たり前のことを言っているんだ」と思われるでしょう。しかし、ビジネス手法についてはこれが年中繰り返されています。
 

photo credit : Hadi Fooladi via photo pin cc

 

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“データ”ってなんだろう?


この記事の所要時間: 30秒 〜 40秒程度(1764文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
データ活用について議論をしていると、だんだん話が噛み合わなくなることがあります。“データ”という言葉の意味が広く、人や文脈によって言葉の使い方が大きく違うことが原因です。
 
“データ”は佐々木が企業を支援する際のキーワードの一つです。この言葉を無自覚に使うことでバズワード(=定義があやしい流行語)のようにしてしまっては、お互いに不幸な結果を招く事態になり兼ねません。
 
そこで、“データ”が何を意味するか、改めて考えてみました。
どうやら、“データ”という言葉には3つの使い方があるようです。
 


データ=事実、数値、電子データ

まずオーソドックスに辞書に掲載されている語義を確認します。
 
 『広辞苑 第三版』(新村出編/岩波書店/1983年) 

立論・計算の基礎となる既知の或いは認容された事実・数値。資料。与件。「実験―」

 
 『新潮現代国語辞典 第二版』(山田俊雄ほか編/新潮社/2000年) 

①推論の基礎となる情報を含んでいる事実・数値。与件。資料。「実験―」②コンピュータによる情報処理などのために、記号化・数値化した資料。「―通信」

 
 『新明解国語辞典 第四版』(山田忠雄主幹/三省堂/1989年) 

①推論の基礎となる事実。②ある事柄に関・する(して集めた)個個の事実を、広義の記号〔=数字・文字・符号・音声など〕で表現したもの。〔最も狭い意味では、数値で表現したものを指すが、広義では、参考となる資料や記事のことを言う。また、電子計算機の分野では、計算機が処理できる対象すべてを指す。従って、プログラム自体もデータであるが、狭義では除外する〕「ーを・集める(示す・並べる):万全のーをそろえる:実験ー:数値ー:文字―:―処理」

 
いかがでしょう。
『新明解』の注釈がかなり詳細で理解を助けてくれます。
これを中心に整理すると、大きくわけて以下の3つの使い方が想定できそうです。

●事実
 推論の基礎となる事実
●数値
 事実を数値で表現したもの
●電子データ
 事実や数値をコンピュータ処理のため記号にしたもの

 
この違いこそがデータ活用についての思惑の齟齬を生み出しています。
 


“データ”という言葉の使いわけ

例えば、会社で何か新しい事業をはじめるときに「データにあたれ」と言った場合、それは「事実」と「数値」の両方をあらわすでしょう。ところが、同じ新事業について考えていても「データを分析しろ」といった場合には、その対象は「数値」と「電子データ」、特に今どきは「電子データ」を意味することが多いようです。
 
では、会社が行なったイベントの様子を「データに残す」という場合だったらどうでしょう。「電子データ」のみを示している可能性も考えられます。つまり、画像や動画ということです。そのままでは「数値」になっていないので、何らかの方法で加工しない限りデータ分析等の対象には成り得ません。
 
もちろん、イベントの様子を「数値」としてデータに残すこともできます。時間別の来場者数をカウントしたり、来場者の名簿をつくったりする方法です。同じ「データに残す」でもいろいろあるわけです。
 


データ活用の目的は「事実」に基づくこと

佐々木が「企業でデータを活用しよう」というとき、“データ”として考えているのは第一に「事実」です。それは「事実」に基づいて考えることが重要だと考えているからです。もちろん、それを扱いやすくするために「数値」化したり、分析をするために「電子データ」化したりしますが、それらは手段に過ぎません。
 
一方、多くの方がデータ活用というと「電子データ」を思い浮かべるようです。「電子データ」は便利ですし、今の世の中で増えているのはこの意味のデータなので当然ですが、そこに疑問を感じます。「電子データ」ではわからない「事実」もたくさんあるからです。
 
こうやって考えるてみると、佐々木はもう少し自覚的に自分が考える“データ”の意味をアピールした方がいいのでしょう。
 
「事実」から考えたい、そう考えています。