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問題の切り分け 〜橋下市長、女性問題は「別の場所で」〜


この記事の所要時間: 130秒 〜 230秒程度(1015文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
大阪の橋下徹市長の女性問題に関する報道がありました。週刊文春の記事について記者の質問に答えたものです。女性問題や橋下市政についてどうこう言うつもりはありませんが、MSN産経ニュースの記事(橋下市長が女性問題認める 週刊誌報道めぐり「僕のポカで家族に迷惑」)に興味深い箇所がありました。

橋下氏は18日、午後7時ごろから退庁時の囲み取材に応じたが、記者団から質問が出る前に「文春の件は別の場所でやります」と自ら切り出した。関西電力大飯原発4号機の再稼働などに関する質疑を終えると、バックに大阪市のPRロゴがない場所に移り、女性問題に関する質問に応じた。

 
女性問題については場所を変えて対応したというのです。
公的な問題と私的な問題の切り分けを象徴する行動で(どうでもいいような)会見の内容より重要と言えそうです。
 
ビジネスにおいても、この切り分けの発想はとても大切になります。
 


過去の女性問題と今後の橋下市政に因果はあるのか?


公人のスキャンダル報道を見ていて考えるのは、スキャンダルがその人の職務に影響を与えるかどうかです。今回の例で言えば、過去の女性問題と今後の橋下市政の関係性の問題です。
 
今後の橋下市政に影響が小さいのなら、女性問題の追求は的外れと言えます。
政治は駆け引きなのであまり関係がなくてもスキャンダルを追求するのでしょうが、その因果関係が弱いならそこに拘泥しても時間の無駄でしかありません。
 


問題の切り分けが重要


ある企業にマイナスの事項が見付かると、その対象のすべてを否定するような流れになることがあります。しかし、そのマイナス事項が影響する範囲は限定的です。どこに影響があり(因果が強い)、どこに影響がない(因果が弱い)かを切り分けて考えないといけません。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い式の思考法では、問題解決を遠ざけるばかりです。
 
ある企業に何か問題があるからと言ってすべてを否定するのは、ある種のカテゴリー適用法(ある現象をより大きなカテゴリーの一員に位置づけることで説明できると考える思考法)です。このような単純化をビジネスの場で行なえば、損をすることになり兼ねません。常に問題の背景にある構造を意識して考えることが必要です。
 
橋下市長が場所を変えたということから、こんなことを考えました。

Facebookを使うとバカになる???


この記事の所要時間: 210秒 〜 310秒程度(1362文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
今朝、Twitterで見掛けたのですが、WIRED.jpに「SNSユーザーの学生は成績が悪い」:調査結果という人騒がせな記事が掲載されています。記事タイトルだけを見ると、「Facebookを使うとバカになる???」と早合点しそうです。
 
しかし、実際の記事をよく読むと、タイトルから受ける印象とはかなり様子が違います。Facebook利用と学校の成績に関係はあるのですが、現時点でわかっている両者の関係は因果ではなく相関なのです。先日、成功企業の何を真似すればいいのかという記事で触れた「因果の誤解」の実例を見るようで興味を惹かれます。
 

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成績不振だとFacebookに走る?


では、[Facebook利用 ⇒ 成績不振]以外にどんな関係が考えられるでしょうか。
 
まず最初に思いつくのは因果の逆転、つまり[成績不振 ⇒ Facebook利用]です。学校の勉強についていけなくなったとき、頑張って勉強してみんなに追いつこうと考える人もいますが、「もう駄目だ」と決めつけて努力を怠る人もいます。後者の中にはやることが無くなりFacebookで時間を潰す人もいるでしょう。こういう人が多いと、[成績不振 ⇒ Facebook利用]が起きることになります。
 


友だちが多いと成績不振 & Facebook利用?


もうひとつ考えられるのが、別の要因Xが学校の成績にもFacebook利用にも影響を与えている可能性です。先ほどの書き方をするなら[要因X ⇒ 成績不振] & [要因X ⇒ Facebook利用]となります。
 
要因Xの候補として「友だちが多い」などが考えられるでしょう。友だちが多い人は「Facebookをやろうよ」というお誘いが多いのでFacebook利用率が高いでしょうし、友だちが多いと遊ぶ時間が増えるので成績が落ちる可能性があるからです。
 


風が吹けば桶屋が儲かる方式もアリ


記事でも触れられていますが、別の要因Yが間に挟まっている可能性もあります。
[Facebook利用 ⇒ 要因Y ⇒成績不振]ということです。Facebookで気が散って(要因Y)成績が落ちるというストーリーは一定の説得力があるように思います。この場合、「Facebookを使っても気が散らないようにする」、「気が散っても成績が落ちないようにする」という対策を講じることが可能です。
 


「もっともらしい」を疑おう!


さて、ここまでに例を挙げた因果の構造はどれも実際に起こり得るであろう仮説ですが、どれが実態に即しているかはデータを取って検証してみなくてはわかりません。そんなことは誰もが知っている筈なのに、[Facebook利用 ⇒ 成績不振]のような「もっともらしい」説明は検証無しで信じる人が多く、誤解を生みます。
 
「もっともらしい」説だからと言って本当のこととは限りません。むしろ、検証抜きでもっともらしい話があった場合、「そう思い込ませたい人がいるのでは?」と疑った方がいいでしょう。
いつ何時も、因果を疑うことは大切です

成功企業の何を真似すればいいのか


この記事の所要時間: 410秒 〜 510秒程度(2318文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
事業を成功させるにはオリジナリティが欠かせません。しかし、それと同じくらい模倣も重要です。成功している企業の成功要因を見極め、それを真似することは決して恥ずかしいことではありません。むしろ先達から積極的に学ぶ姿勢が成功を導くと考えられます。
 
ここでポイントは「どの企業」の「どのような要因」を「どんな風」に真似するかになります。この判断は一筋縄では行かないのです。データを生業とする自分としては、特に「どのような要因」の部分を勘違いして無駄な施策を展開する企業が残念で仕方ありません。なぜなら、初歩的なデータの見方を身に付けるだけで成功要因を見誤る不幸を減らすことができるからです。
 

photo credit : seeveeaar via photo pin cc

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成功例でなく、成功率で考える


よく見られる勘違いは、成功事例ばかりに注目して肝腎の成功率を忘れてしまうパターンです。「◯◯◯(例えば、最新のビジネス手法)を使って成功している企業が多い」ことを知って、それを真似るのです。しかし、この判断は間違いです。比率を考えるべきなのです。◯◯◯を使って成功している企業が100社あったとしても、同じものを使って失敗している企業が10,000社あったら成功率は1%に過ぎません。成功率を見ない限り、そのビジネス手法が実際の成功に結びつくかはわからないのです。
 
この意味で、広告やビジネスノウハウ本にある「A社もB社もこれで成功」といった売り文句にも注意が必要です。A社やB社が成功したのは事実だとしても、その裏に数千社、数万社の失敗例が隠されているかも知れないからです。
 
成功率で考えて、成功率が低かったら手を出さない。
まずは、ここがスタートになります。
 


その成功率は高いのか?


◯◯◯を使った企業の成功率が40%だとわかったとします。
普通に考えれば40%はかなり高い成功率ですが、◯◯◯が成功の要因であるかを見極めるにはこの数値の大きさはあまり関係ありません。◯◯◯の影響力を知るには、◯◯◯を使ってない企業と成功率と比較する必要があります。◯◯◯使用企業の成功率が40%と高くても、◯◯◯未使用企業の成功率も40%だったら、◯◯◯の影響はないことになります。もし、◯◯◯未使用企業の成功率が50%だったら、◯◯◯は使わない方がいいのです。◯◯◯を使用した場合の成功率の高低は、未使用と比較しないとわからないのです。
 


まだまだ慎重に・・・


さて、ここまでをクリアして、使用企業の成功率が未使用企業の成功率を確実に上回るビジネス手法が見付かったとしましょう。すぐにでも取り入れた方がいいでしょうか。残念ながらまだまだ慎重に検討する必要があります。それは、データに現れている影響の意味を取り違えている可能性があるからです。
 
 他の変数の影響 
数多くの変数の関係を網羅的に検討していると、変数Aにあまり関係ないような変数Bが影響を与えているように見えることがあります。例えば、健康診断のコレステロール値と持ち家率が関係あるように見えたりするのです(架空の話です)。間違ったまま考えを進めると、「コレステロール値を上げれば、家を買える」ということになりますが、もちろんそんな筈はありません。両方の変数とも加齢による影響を大きく受けるため、コレステロール値と持ち家率が関係あるように見えるだけです。
このようにまったく別の変数の影響で、2つの変数が関連あるように見えることがあります。データを見て関係性があると読み取れても、その変数間の関係を自分なりの解釈で説明できないなら採用しない方がいいでしょう。
 
 因果関係の逆転 
変数Aと変数Bの間に関係があるように読み取れても、変数Aによって変数Bが影響を受けるとは限りません。変数Bが変数Aに影響を与えているかも知れないのです。
成功している人がよく働くのか、よく働く人が成功するのか。最新の経営手法を使った企業が成功するのか、成功している企業が(お金に余裕があるので)最新の経営手法に手を出すのか。結論が出ない場合も多いですが、両方向あり得ることを肝に銘じておく必要があります。
 
 影響力の小さな変数 
変数Aに変数Bが影響を与えることがわかったとしても、それよりももっと影響の大きい変数がある可能性は残ります。影響力の小さい変数Bを好転させても、変数Aへの好影響は多寡が知れています。「重箱の隅をつついでないで・・・」という奴です。商品自体に魅力がないのに、広告やパッケージにこだわっても成功しない。そういうことです。
 


成功要因は徹底的に検討しよう


このように、真似すべき成功要因を特定するのは極めて難しい作業です。「難しい」と評論家的に言っても何も解決しないのはわかっているのですが、残念ながら「こうすれば見極められる」という方法はありません。
 
後悔したくないのなら、成功要因は徹底的に検討する。しっかりしたデータにあたる。これしかありません。あくまで「確率的に」としか言えないのですが、今回ここに書いたことに注意していただければ、注意しないよりも「どのような要因」を当てられる確率が高くなるはずです。
話の展開にご納得がいただけるようでしたら、ぜひご活用ください。

生き生きした女が美しいのなら、生き生きした豚は・・・


この記事の所要時間: 110秒 〜 210秒程度(795文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 

生き生きした女が美しいのなら、
生き生きした豚はただ肥っているだけじゃないか

これは作家・橋本治さんのエッセイのタイトルです。このエッセイを読んだのは数十年前のことで内容は一切覚えていないのですが、強烈なタイトルだけが頭に残っています。
 
この言葉で思うのは、「ある特徴(生き生きした)が導く結果(美しい/太っている)は主体(女/豚)によって違う」ということです。成功している人や企業の真似をすることはとても有効な手段ですが、常に我彼の差を意識しなくてはなりません。女と豚なら誰でも結果が違うことはわかるでしょう。でも、自分や自社のことになるとわからないものです。同じ特徴さえ持てば同じような成功につながると考えてしまいます。ソニーとアップルの違いはわかっても、自分とスティーブ・ジョブズの区別は付かないのです。
 
Facebookを使って成功している企業がたくさんあります。では、Facebookを使った企業のすべてが成功するでしょうか? もちろんそんな筈はありません。元々持っている企業の力、Facebookの導入方法などによって結果はまったく違います。誰でもそんなことはわかっているのでしょうが、「〇〇を使って業績向上」という言葉が持つ甘美な響きに人は弱いものです。自社に合っているかを棚上げにして、新しいことについつい手を出してしまった経験はどの企業にもあるのではないでしょうか。
 
もちろん、成功する企業もあるのですから「何でもやってみる!」という考え方もあるでしょう。でも、企業の経営資源は有限です。何をやるかの取捨選択が必要になります。おいしい話があったときは、ぜひ、この強烈な警句「生き生きした女が美しいのなら、生き生きした豚はただ 肥っているだけじゃないか」を思い出していただきたいと、考えました。

失敗の原因を書き出そう!


この記事の所要時間: 050秒 〜 150秒程度(673文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
多くの成功者が言うように、ビジネスにおいて失敗の経験を活かすことはとても重要です。失敗を恐れるのではなく、失敗と上手に付き合うことが求められます。この失敗を学問的、体系的に扱っているのが畑村洋太郎さんの提唱する失敗学です。
 
失敗学は、失敗の特性を理解して、

 ①不必要な失敗を繰り返さない
 ②失敗からその人を成長させる新たな知識を学ぶ

ことを目指しています。
 
失敗学では失敗の原因を階層的に捉えます。
これをフォーマット化したのが今回ご紹介するツールです。
 

失敗原因の洗い出し
ファイルのダウンロードはココから

 
『失敗学のすすめ』(畑村洋太郎/講談社)で示された失敗原因の階層構造の脇に「考えられる原因」と「実行可能な対策」の欄を付けただけなのですが、これだけで充分に役立ちます。本で得た知識はそのままでは使うことができません。このようなフォーマットに落とすことで、すぐに活用できるようになるのです。
 
失敗の原因を洗い出すとき、何もフレームを使わずに考えると、ただの思い付きに留まってしまいます。このような枠組みを使って考えることで、網羅的に失敗原因を探索できる効果があります。また、本当の失敗原因を隠したり、目立つ原因ばかりに単純化したり、社内のパワーバランスで落としどころを探したりすることを防ぐためにも役立つでしょう。もちろん、それぞれに対策を考えて、優先順位を着けて実行に移すことも重要です。

失敗を成功に結びつけるためにも、ぜひご活用ください。