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まず消費者中心に考える


この記事の所要時間: 230秒 〜 330秒程度(1520文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
モノを売るためには、消費者のニーズと企業が提供する製品/サービスをフィットさせる必要があります。「何、当たり前のこと言ってるんだ」と思われるでしょう。しかし、これがなかなか難物なのです。
 


消費者が歩み寄る? それとも企業が歩み寄る?


マーケティングにプロダクトアウト、マーケットインという用語があります。プロダクトアウトは「企業がつくれるモノを売る」、マーケットインは「消費者が欲しいモノをつくる」という意味です。フィットという言葉で説明すれば、消費者が歩み寄ってフィットさせるのがプロダクトアウト、企業が歩み寄ってフィットさせるのがマーケットインとなります。
 
マーケティングでは「発想をプロダクトアウトからマーケットインに変える」ことを勧めます。つまり、企業が歩み寄ってフィットさせろということです。マーケティングの考え方があまり一般的でなかった数十年前はマーケットインの発想を納得させるだけでも大変だったようですが、現代の企業の多くはこれを当然のこととして受け入れます。ここまではいいんです。
 


「消費者が欲しいモノ」はアンケートで


さて、ポイントは「消費者が欲しいモノ」を誰が決めるかです。数々の失敗を見て気付くのは、企業側が「消費者が欲しいモノ」を勝手に決めてしまうパターンが多いことです。
 
例えば「消費者はもっと高画質のテレビを求めているはずだ」、「多機能製品は低機能より消費者に喜ばれる」、「消費者は安いものが好き」等の決め付けです。これらは要は「より良いものを望んでいる」と言っているだけですから一見普遍の価値観のように見えます。しかし、消費者が、どんな製品/サービスについても、常に最良を望んでいるとは限らないのです。このパターンでは、「消費者の実態」より、企業が考える「消費者のあるべき姿」を優先させてしまうことが失敗につながります。
 
また、「うちの家族は・・・」、「オレの友達は・・・」、「この間のお客は・・・」の類もよくある間違いです。これらは消費者を見ている点では良いのですが、その視点に一般性がありません。①対象としている人数が少ない、②対象に偏りがあるだけでなく、③それらを見た人が印象に残った事象のみを記憶しているため一般的ではないのです。このパターンの失敗は、自分自身への過信が原因で起こります。
 
いずれのパターンにせよ、マーケットインを実現しようとして「消費者が欲しいモノ」を考えたのに、それを企業が決めてしまったのでは何にもなりません。「消費者が欲しいモノ」はアンケート調査等の手法を使って、実際の消費者に聞くのが一番です。
 


まず消費者中心に考える


企業の方々は口を揃えて「マーケティングが大事」と言います。しかし、実際にはマーケティングの発想には程遠いことをしています。プロダクトアウトとマーケットインの例などはその典型です。
 
問題は、マーケティングの考えを本当に納得して=腹落ちして行動しているかです。世の中の流れがそうだからとか、会社がマーケティング重視の方針だからとか、他所の会社がマーケティングで成功したからとかの理由で、マーケティングを受け入れている人が多いのではないでしょうか。マーケティングはスキルも重要ですが、それより何より根本にあるマーケティング発想を理解することが最も大切です。この部分が欠けてしまっては元も子もありません。
 
マーケティングの考えを敢えて一言であらわすなら、「消費者中心に考える」ということになります。まずはこの発想で考えてみてはいかがでしょうか。