タグ : 意思決定

加藤一二三の珍訳はなぜ起きた?


この記事の所要時間: 340秒 〜 440秒程度(2085文字)


先日、自動翻訳で「ポケモンGO」が「ポケモン行きます」になる事例の記事を書いたが、今度の被害者は将棋の加藤一二三九段だ。

※画像は日本将棋連盟ホームページをキャプチャー

※画像は日本将棋連盟ホームページをキャプチャー

新しくなった日本将棋連盟ホームページの棋士データベースの英訳がこれ。「一二三」が英訳されてしまい「Kato, one hundred twenty-three」になっている。誤訳と言うか、珍訳というか。自動翻訳が固有名詞の部分までもを対象としてしまい、残念な結果を招いているようだ。
 
なぜ、このようなことが起きたのか。自動翻訳の精度の問題といえばそれまでだが、実はこの珍訳を招いた最大の原因は意思決定にある。つまり、なぜこのような自動翻訳にゴーサインを出してしまったのかということ。今回は、これを考えてみたいと思う。あくまで、一般論として推測する。
 

credit: stevepb via pixabay

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ニュージーランド国旗と決め方のマーケティング


この記事の所要時間: 210秒 〜 310秒程度(1328文字)


ニュージーランド国旗をめぐる国民投票の暫定集計結果が発表された。結果は「投票者の56.61%が現国旗を支持」となり、左上に大きくユニオンジャックがあしらわれた現在の国旗が引き続き使われることになりそうだ。郵送投票の未着分で逆転が起きる可能性は極めて低く、このまま決定という運びになるだろう(参考:NZ国旗変更をめぐる国民投票、現国旗支持が多数 暫定結果発表|AFPBB News)。
 
さて、国民投票まで行なう大騒ぎをした結果、「国旗は変更しないことにしました」では拍子抜けだが、これはこれで素晴らしい。ものごとをしっかりした手続きで決めれば、その決定の力が強まるからだ。
 

万国旗

credit: keizi5050 via pixabay

 
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旧暦2033年問題と段取り八分


この記事の所要時間: 250秒 〜 350秒程度(1654文字)


旧暦2033年問題というものがある。日本における最後の太陰太陽暦である天保暦が、2033年に月名を決められなってしまう問題のことだ。旧暦に矛盾が生じても普段の生活に影響はなさそうだが、どうやらそうはいかないらしい。例えば、月名が決まらなければ六曜がわからないので、冠婚葬祭業などが困ってしまう。自分のようなタイプは「この際、旧暦なんて廃止にしたら!」と言いたくなるが、現実にはそうはいかないようだ。
 
さて、旧暦20033年問題の難しさはどこにあるのだろうか。かなり前からわかっていた問題であり、今もって解決しないのには何らかの理由がある筈だ。実は、この問題のポイントは「決める人がいない」に尽きる。問題の解決法のアイデアはいくつかあるのに、どれを採用するか決定できる人がいないようなのだ。
 

月 太陽

credit: ChadoNihi via pixabay

 
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Chromeのブックマークが元に戻った!


この記事の所要時間: 240秒 〜 340秒程度(1564文字)


Google Chromeのブックマークが変更になった。ブックマーク マネージャの表示が、タイル形式から元のテキスト形式に戻ったのだ。タイル表示で使い難い思いをしていた人には朗報だろう。ブックマーク マネージャがタイル表示に変わったのはたった数か月前のこと(OS X版の場合)。かなり素早く、新しいアイデアを捨てたことになる(参考:Chromeの「ブックマーク マネージャ」がタイル表示からシンプルに戻る)。
 
企業が何かを変更したとき、それを元に戻すのは難しい。自社の失敗を認めることになるため、簡単に「やっぱり駄目でした」とはならないのだ。変更のために掛けた費用がもったいなく思えるし、失敗を認めれば責任も生じる。そして、社内の駆け引きや関係者のプライドもある。その結果、明らかに悪くなったように見える改変がそのまま放置されることも数多い。それをたった数か月で元に戻したのだから、Googleは素晴らしいと言えるだろう。他社とは違う文化があるのはと考えてしまう。
 

Chrome

credit: geralt via pixabay

 
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「思考のサンクコスト」に囚われるな!


この記事の所要時間: 350秒 〜 450秒程度(2169文字)


今年も将棋電王戦が開催された。FINALと銘打ち、今回で一区切りとなる人間対コンピュータの真剣勝負は、人間が3勝2敗で初の勝ち越し。もろもろ問題点が見付かったシリーズでもあったが、テレビや新聞で取り上げられるなど、かなりの注目を集めたようだ。
 
さて、ニコニコニュースに掲載された先崎学九段による電王戦FINAL第1局観戦記に目を引く箇所があった。

イヤな予感というのには意味がある。▲6五竜とノータイムで取れるところで▲4四歩以下の手を読むと、読めば読むほどそう指したくなってしまうのである。なぜならば、考えた末に▲6五竜では、▲4四歩を読んだ膨大な時間が無駄になってしまうから。ここに人間の心理のアヤがある。だから、ベテランの棋士ならば、歩では危いと感じたらさっと銀を取る。そして相手の次の手を見るのである。勝負に勝つコツがここにはあって、プロ将棋はそういったところも力のうちなのである。

思考時間と意思決定の関係についての考察で、すぐに指せる手(▲6五竜)に時間を使うと、その間に検討した別の手(▲4四歩)が「指したくなってしまう」という指摘。思考に使った膨大な時間が「無駄になってしまう」と思い、判断を誤り易いというのだ。
 
この使った時間が無駄になってしまうという考えは、ビジネスシーンを含めさまざまな場面に顔を出す。知らず知らずのうちに人間の判断を狂わせる、かなり厄介な代物だ。この「思考のサンクコスト」とも言える現象を強く意識することで、避け得る不幸から少しでも逃れて欲しいと考えている。
 

thinking

photo credit: e1 via photopin (license)

 
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