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埼玉県庁舎補強工事に見る正しい節約の難しさ


この記事の所要時間: 340秒 〜 440秒程度(2064文字)


こんなツイートを見掛けた。


これが、たくさんのリツイートやお気に入りを集め、2ちゃんねるにまで飛び火している(参考:【画像】埼玉県庁舎の耐震補強が凄いと話題に|暇人速報)。見た目をまったく気にしていないこの建物の不自然さが、見る者の興味を惹くのだろう。自分の場合、こういう建物を見ると、どうにも落ち着かない心持ちになる。
 
このツイートや画像を見て感じたのは、節約の難しさだ。
厳しい経済環境が続き、将来への不安もある中、何においても節約するのが当然となってきている。行政も企業も個人も、フローもストックも、高価格の商品も低価格の商品も、多かれ少なかれコストを削減せざるを得ない。そして、節約ばかりを優先すると、この建物のようにバランスを欠くことになってしまう。
 
無駄なコストを掛けないことは正しい。
しかし、必要なコストまで節約するようになると、何かがおかしくなる。そして、何が必要なコストで、何が必要でないコストなのかの線引きは難しいため、「正しい節約」は常に難問だ。
 
さて、「正しい節約」をより難しくしているものの一つに、意思決定における外野の声がある。今回は、この外野の声の弊害を考えてみる。
 

photo credit : hans s via photopin cc

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トンデモ仮説にダマされない「懐疑の技術」


この記事の所要時間: 420秒 〜 520秒程度(2396文字)


企業は目標を達成するためにさまざまな施策を実行する。
このとき、目標と施策の因果は仮説に過ぎない。つまり、どれもやってみなければわからないのだ。「製品の機能を向上させれば、消費者が飛び付く」も、「広告出稿を増やせば、売れる」も、「SNSを積極活用すれば、商品のファンができる」も、あくまで「そう考えることができる」だけだ。「◯◯すれば、××になる」と言うロジックは、自社の活動による他者や他社の変化を想定している限り、仮説でしかない。たとえ自社の活動をコントロールできたとしても、その波及効果はコントロールできないのだ。
 
もちろん、事実やデータを積み重ねることで施策=仮説に「もっともらしさ」を生み出すことは可能だし、これを怠ってはいけない。しかし、これらの検証作業には限界があり、どの施策を採用するか、どの施策に多くの予算を配分するかは、最終的に「エイヤー」の判断にならざるを得ない。企業内で立場のある人間が判断を下す際には、もっともらしい理由が述べられるが、あんなのただの後付けの作文だ。厳密な議論には程遠い。
 
それでも、企業は仮説に過ぎない施策を採用することになる。何かを選ばなければ前に進めないし、そもそも確実に成功する施策などわからないからだ。実際のビジネスにおける施策選びでは、事実やデータを使うことで少しでも意思決定の精度を上げることしかできる。言い換えれば、それしかできないのだ。
 
仮説の外れることがあっても、他社と較べてその確率が低ければ、いつかその差が業績にあらわれる。呑気な話のようだが、こう考える方が現実的だ。この世に魔法使いはいないのだから、仕方がない。
 
さて、そうは言っても、世の中にはトンデモない商品や戦略が満ち溢れている。そもそも明後日の方を向いているような、正気の沙汰とは思えない企業活動は後を絶たない。多くの場合、なぜそんな仮説を採用したのか、端から見るとわけがわからないが、企業の中では諒解が取れているのだから驚いていしまう。
 
他人事ではない。
どんな会社でも、トンデモない仮説が採用され、顧客や社員や取引先や株主が酷い目に合う可能性はある。故意か過失かは別にして、トンデモ仮説が「もっともらしさ」の仮面を付けて登場したなら、それを見抜かなければ面倒なことになるのだ。今回は、これに巻き込まれないために必要な「懐疑の技術」を紹介しよう。
 

photo credit : gato-gato-gato via photopin cc

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大雪とJRと後知恵バイアス


この記事の所要時間: 430秒 〜 530秒程度(2479文字)


先日、東京で雪が降った。
とは言え、「大雪の恐れ」という天気予報ははずれ、都心での積雪はほとんど見られなかったようだ。
 
このため、雪による直接的な影響は少なかった。一方で、大雪を警戒したJRが電車の本数を減らす間引き運転をしたため、この間接的な影響がかなりの広範囲に及んだ。報道によれば、不便な思いをした乗客からはJRの対応について不満の声も出たらしい(参考:首都圏で雪 ラッシュ時に間引き運転、大混雑の駅も|朝日新聞)。更には、気象庁に対して猪瀬直樹東京都知事からの横槍も入った(参考:猪瀬知事:気象庁を批判 6日の「大雪」予報が外れ)。
 
しかし、今回のJRの決定は正しかったと言える。
JRに対する批判の多くは、ただの後知恵バイアスに過ぎないからだ。意思決定が正しかったかどうかの判断は、決定時点の情報量で行なわれなくてはならない。結果が出てから、「その結果になることはわかっていた」という立場で批判する行為は、ナンセンスで恥知らずだ。
 
気象庁が大雪を予想したとき、そしてJRが間引き運転を決定したときにわかっていたのは、せいぜい大雪になる可能性が◯%、大雪にならない可能性が◯%という情報だろう。実際に起きる結果は一つしかないとしても、その一つが起きる前にはすべてが確率でしかあらわせないのだ。今回たまたま大雪にならなかったからと言って、気象庁の予報が間違っていたとは言い切れないし、JRの判断が不適当だったとも評価できない。大雪にならなかったので間引き運転の意味がなかったが、もし大雪になっていたら間引き運転が功を奏していた可能性も高い。今回起きた結果がすべてではないのだ。
 
事が起きてから、他人の判断をアレコレ言うのは簡単で魅力的だ。
しかし、これは後知恵バイアスであり、あまり褒められたものではない。
 

photo credit : showbizsuperstar via photopin cc

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相互作用を考えるメカニズム解明法は現実的?


この記事の所要時間: 430秒 〜 530秒程度(2541文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
引き続き「経営戦略の3つの思考法」を取り上げます。
今回はメカニズム解明法。真打登場です。
 

photo credit : internetsense via photopin cc

 
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要因列挙法を使いこなそう!


この記事の所要時間: 320秒 〜 420秒程度(1942文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
前回(カテゴリー適用法に気をつけろ!)に続いて、一橋大学大学院の沼上幹教授が提唱する「経営戦略の3つの思考法」を取り上げます。
 
今回は要因列挙法です。
 

photo credit : Lars Plougmann via photopin cc

 
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