タグ : 意思決定

仮説のための情報、決断のための情報


この記事の所要時間: 140秒 〜 240秒程度(1077文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
ダイヤモンド・オンラインにIT調査会社 ガートナー社のCIO ダーコ・ヘリック氏のインタビュー記事が掲載されていました。ガートナー社は世界中の「CIO向けにさまざまなアドバイスやサービスを提供」している企業ですから、そのCIOがデータ活用について何をどのように考えているかは興味を惹かれるところです。
 
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偶然に支配されない唯一のモノは・・・自分自身


この記事の所要時間: 050秒 〜 150秒程度(675文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
今週はここまで連続して『まぐれ』(ナシーム・ニコラス・タレブ/ダイヤモンド社)を取り上げてきました。あれこれ書きましたが、要は今以上に「偶然を認める」ことの勧めです。
 
さて、偶然を認めることの大切さは理解していただけたとして、「で、どうすればいいの?」という疑問は残るでしょう。それに答える『まぐれ』からの最終メッセージは、「人としての品格を大事にしよう」でした。
 
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経営トップは事実とデータに基づいた発言を! ― 楽天・三木谷会長兼社長のインタビューを読んで


この記事の所要時間: 230秒 〜 330秒程度(1533文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
先週、楽天の三木谷浩史会長兼社長のインタビュー記事を2つ読みました。
 ●細かいことで騒いでいるのは少数派ですよ 楽天・三木谷社長、Kobo騒動を語る|日経ビジネスオンライン
 ●コボの出足は大成功、ネガティブな口コミは誤情報だから消し、内容を吟味して再掲載する――楽天・三木谷浩史社長|東洋経済オンライン
 
楽天が7月19日に発売した電子書籍端末kobo touchについてのインタビューで、どちらもその初期トラブルへの対応を話題にしています。事前チェックで防げないトラブルだったのか、トラブルへの対応は適切だったのか、口コミサイトの閉鎖は妥当なのか、などについて興味深いやり取りがされています。経営トップとしての資質や姿勢を試されるインタビューだと言えるでしょう。
 
自分が気になったのは、「利用者がkoboをどのように評価しているか」について三木谷社長の発言に推測が多いところです。
 


口コミやクレームを見ても実態はわからない


何らかの商品が発売され、その商品についてインターネット上で高い評価の口コミがたくさん書き込まれたとします。サクラによる書き込みはないとして、この商品は“一般に”高く評価されていると言えるでしょうか。これは言えません。意見を言いたい人が勝手に発言しているだけなので、一般の利用者の声を代表しているとは限らないからです。口コミは商品改良のヒントを得るのには役立ちますが、口コミを元に「利用者は◯◯と言っている」と一般化するのは間違いです。
 
問い合わせ窓口に寄せられるクレームについても同じことです。クレームには真摯に対応し、必要に応じて謝罪をすることも求められます。しかしそれは、たとえ“一部の利用者”であってもクレームが生じることに問題があると考えるからです。トラブルがどの程度の範囲に広がっているかは、クレームの数や質からはわかりません。
 


“この指とまれ”アンケートをしても駄目


では、その商品に興味を持った誰かが、商品評価についてのアンケートページをつくったらどうでしょう。残念ながら、これも利用者を代表する結果を得るには不充分です。自分のホームページやSNSで回答者を募っても(たとえ広範囲に拡散したとしても)、それは“この指とまれ”方式で人集めをしているだけだからです。この指とまれ方式で集まった人たちが、利用者全体を代表しているとはなりません。
 
アンケート実施側が回答者を指定する方式でない限り、利用者の声を代表する意見を知ることは難しいのです。
 


トップこそ率先して事実やデータに基づく姿勢を!


利用者が商品をどのように評価しているか。
これを高い精度で知るためには、アンケートの対象者を①メーカーなり販売店なりが持つ販売相手リストを元にサンプリングするか(「もし、あれば」ですが)、②数十万人規模の大規模なアンケートモニターから商品利用者を抽出するしかないでしょう。どちらも大きな費用が掛かりますが、簡略化して費用を抑えることも可能です。
 
経営のトップに立つ人が、推測により現状を把握して行なう判断と、(多少の質の優劣はあったとしても)事実とデータに基づいて行なう判断では後者の方が成功する確率が高いと考えられます。また、利用者や消費者にも好意的に受け止められるでしょう。信頼される経営者の資質や姿勢として、後者が好ましいのは間違いありません。
 
今回の楽天の件だけではなく、事実やデータを軽視する習慣はなかなか無くなりません。
トップこそ率先して事実やデータに基づく姿勢を示して欲しいものです。

アンケートは目的にフィットしたやり方で


この記事の所要時間: 140秒 〜 240秒程度(1113文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 


“アンケート”って何だ?


アンケート、アンケートと簡単に言いますが、では“アンケート”とはいったい何なのでしょう?
 
これまでの経験や幾つかの辞書を参考に自分なりに定義するなら、

①多数の対象に
②同じ質問をして
③意見を調査する

ことになります。
 
ポイントは③の「意見を調査する」です。ここにどの程度のウエイトを置くかでアンケートの意味合いはだいぶ変わってきます。言い換えれば、ここに齟齬があると役立たずのアンケートになってしまうのです。
 


趣味のアンケートならば・・・


例えば、個人的な興味や趣味について「みんなの考えを知りたい」と思うことがあるでしょう。この場合でも、「①多数の対象に」、「②同じ質問をして」を満たせばアンケートと言えます。しかし、その多くでは「③意見を調査する」という意識は低いようです。
 
そこまで堅苦しくならず、「みんなの意見が何となくわかればいい」と考えてアンケートを行なっているのです。このような目的ならば、自分の聞きたいことを、自分の聞きたいように、自分の聞きたい人に質問すれば充分です。その結果は、対象とした人たちの意見を代表しているとは言えないことも多いでしょうが、個人的な興味や趣味なら大きな問題にはなりません。そもそも、そんなことを求めていないでしょう。
 


仕事のアンケートならば・・・


仕事で何かを調査するためにアンケートを行なうならば、話は別です。
調査結果を商売に役立てようとしているのですから、しっかりと「③意見を調査する」必要が生じます。そのためにはアンケートの作法に則って作業をすることにより、意見を少しでも正しく、偏りなく集めることが求められます。そうしなければ、正確なアンケート結果を得ることができず、結果的に意思決定を間違える可能性が高いからです。
 


アンケートは目的にフィットしたやり方で


趣味のアンケートは誰でも簡単に実施できます。一方、仕事のアンケートを行なうには一定のスキルが必要です。趣味のアンケートの延長線上に、仕事のアンケートはありません。かけ離れたものです。
 
アンケートを安易に考えて失敗する事例はここの部分を勘違いしたものが多いようです。つまり、趣味のアンケートで成功したので仕事のアンケートもできると考えるのです。しかし、そうはなりません。仕事のアンケートを行なうのなら、目的にフィットしたそれなりのやり方を選ぶ必要があります。
 
さて、では仕事のアンケートを具体的にどうやって行なうのか。
それは次回以降にご説明します。

先手を取って議論を制す!


この記事の所要時間: 220秒 〜 320秒程度(1396文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 


誰が論点を決めるのか?


あるテーマについて話をしているとき、「その論点は本当に重要なのか」、「もっと大切な論点はないのか」と疑問に思うことは誰でもあるでしょう。話の流れで一つの論点に話題が集中してしまうと、その論点が本当に重要なのかはあまり考えず議論が白熱してしまうものです。マーケティング戦略についての会議で商品自体の出来不出来は無視して広告について話しをしていたり、人事制度についての打ち合わせが有給休暇取得率の向上策でまとまったり、企業にいればそんなことがいくらでもあります。
 
重要ではない論点についていくら素晴らしい結論を導いても、残念ながらその効果は限定的です。重要な論点を選んで議論することは、その論点についてどのような結論を出すかよりも大切だとさえ考えられます。
 

photo credit : photo.maru via photo pin cc

photo credit : photo.maru via photo pin cc

 
そんなことを考えていて思い出すのがアジェンダ設定効果という考え方です。元々は初期のマスコミ研究の用語で、メディアは「このように考えなくてはならない」(議論の結論)よりも「何について考えなくてはならないか」(議論の論点)に影響を与えるという仮説です。佐々木にとってメディア云々はどうでもいいのですが、ビジネスの場や日常生活においても「誰が論点を決めるのか」、そして「どうやれば自分が論点を決められるのか」を常に意識することは、極めて有効だと考えています。
 


パソコンは速さで選ぶ?画面のキレイさで選ぶ?


アジェンダ設定効果のビジネスの場での応用として、商品の選考基準を企業側が支配してしまう方法があります。例えば、パソコンを選ぶときに重視すべき点は、計算の速さ、記憶容量の大きさ、(ノートパソコンの)重さ、見掛けの格好よさ、価格など、長年の間にいろいろと論点が推移してきました。今、AppleはRetinaディスプレイでノートパソコンの画面のキレイさを論点にしようと仕掛けています。もちろんパソコンの技術進化や社会の変化も影響していますが、特定の企業が仕掛けて論点が変わったことがあるのもおわかりでしょう。自社が得意な要素を重要な論点とする効果は絶大です。
 
パソコンの例は相当に大掛かりですが、日常的なビジネスでも使うことは可能です。営業先に持っていく資料を工夫して、自社が得意な要素を重要な論点とするだけでも、効果は期待できます。
 


 何ごとも先手必勝


ビジネスの場で一番簡単にできるのは、議論で先手を取ることでしょう。何かについて話をするとき、まず最初に口を開いて論点を決めてしまうのです。結論がどうなるにせよ、自分が重要だと考えている論点で話し合われた結果はそうでないものより好ましいのは間違いありません。
 
ビジネスでの駆け引きを勝ち負けで考えるのはあまり好きではないのですが、「先手必勝」だけは心掛けています。後から何を言っても論点が決まった後では遅いからです。
 
先手による論点支配を意識することは積極性にもつながります。
皆さんも試してみてはいかがでしょうか。