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「1日10時間以上スマートフォン利用」ってどういうこと?


この記事の所要時間: 450秒 〜 550秒程度(2664文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
「女子中高生の5人に1人が1日10時間以上スマートフォンを利用する」というアンケート結果が発表されました。株式会社サイバーエージェントによるプレスリリースです。
 
女子中高生一般ではなく、Candyという特定のスマホアプリ利用者の傾向とはいえ、この結果はにわかには信じられません。「いくら女子中高生に時間の余裕があるとはいえ、1日10時間以上は割けないだろう!」と思うのです。女子中高生も普通に生活しているのですから、食事や睡眠などの日常生活に一定の時間が掛かります。勉強もするでしょうし、友だちと会ったり、テレビを見たりといったいろいろな遊びもするでしょう。本当に10時間以上もスマートフォンを利用する時間があるのでしょうか。 
 
この感覚は、「データを疑う」技術を身に付けよう!で指摘した「直感に反する」に通じます。一見正しそうに見えるデータでも、「何となくおかしい」と感じたら受け入れる前に疑ってみる必要があるのです。データを疑わずに「スマホを10時間以上利用する女子中高生がいる」と信じて、新しい商売を考えたら大やけどをし兼ねません。
 
どうしてこんな不思議なデータが出てくるのか。
実は経験から大体想像がついています。ポイントは、利用時間を質問することの難しさにあります。
 

photo credit : iPhone vs Android / nrkbeta photo credit : iPhone vs Android / nrkbeta

 
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元ヤン&元ギャル調査に学ぼう!


この記事の所要時間: 210秒 〜 310秒程度(1330文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
株式会社博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所が、元ヤン・元ギャル男女の「メディア・生活実態調査」の結果をリリースしました。「元ヤン&元ギャル」400人と「一般」400人を比較した調査です。「元ヤン・元ギャルは仲間や家族との絆が大切」「情報源はテレビと携帯・スマホでのネット。SNS には頼らない」「元ヤン・元ギャルはメリハリ消費」など、ちょっと興味を惹かれる知見を導き出しています。
 
このリリースを見て、「こんな層まで調査できるようになったのか!」とかなり驚きました。少し前までなら、元ヤン&元ギャルを調査したいと思っても、「元ヤン&元ギャルをどうやって集めるか?」が壁となり実現できなかったからです。
 

photo credit : toy / yuguch photo credit : toy / yuguch

 
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7割超がフィーチャーフォン≒4人に1人がスマートフォン?


この記事の所要時間: 140秒 〜 240秒程度(1079文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
新しいデータを手に入れたとき、まずはなるべく主観を排して客観的にデータを見ることが必要です。最初の段階でピュアなモノの見方をしないと、先入観が邪魔をして的確な判断ができなくなるからです。データに何らかの意味付けをしなければ意思決定ができないので最終的には主観を使うことになります。それでも、①客観的なデータ理解のステップと②主観的な判断のステップを意識的にわけて作業することが、データ活用には求められるのです。
 
さて、「客観的なデータ理解」と簡単に書きましたが、実際にはとても難しい作業です。一筋縄では行きません。この難しさを感じる象徴的な記事を見付けたので紹介します。
 

photo credit : familymwr via photo pin cc

 
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経営トップは事実とデータに基づいた発言を! ― 楽天・三木谷会長兼社長のインタビューを読んで


この記事の所要時間: 230秒 〜 330秒程度(1533文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
先週、楽天の三木谷浩史会長兼社長のインタビュー記事を2つ読みました。
 ●細かいことで騒いでいるのは少数派ですよ 楽天・三木谷社長、Kobo騒動を語る|日経ビジネスオンライン
 ●コボの出足は大成功、ネガティブな口コミは誤情報だから消し、内容を吟味して再掲載する――楽天・三木谷浩史社長|東洋経済オンライン
 
楽天が7月19日に発売した電子書籍端末kobo touchについてのインタビューで、どちらもその初期トラブルへの対応を話題にしています。事前チェックで防げないトラブルだったのか、トラブルへの対応は適切だったのか、口コミサイトの閉鎖は妥当なのか、などについて興味深いやり取りがされています。経営トップとしての資質や姿勢を試されるインタビューだと言えるでしょう。
 
自分が気になったのは、「利用者がkoboをどのように評価しているか」について三木谷社長の発言に推測が多いところです。
 


口コミやクレームを見ても実態はわからない


何らかの商品が発売され、その商品についてインターネット上で高い評価の口コミがたくさん書き込まれたとします。サクラによる書き込みはないとして、この商品は“一般に”高く評価されていると言えるでしょうか。これは言えません。意見を言いたい人が勝手に発言しているだけなので、一般の利用者の声を代表しているとは限らないからです。口コミは商品改良のヒントを得るのには役立ちますが、口コミを元に「利用者は◯◯と言っている」と一般化するのは間違いです。
 
問い合わせ窓口に寄せられるクレームについても同じことです。クレームには真摯に対応し、必要に応じて謝罪をすることも求められます。しかしそれは、たとえ“一部の利用者”であってもクレームが生じることに問題があると考えるからです。トラブルがどの程度の範囲に広がっているかは、クレームの数や質からはわかりません。
 


“この指とまれ”アンケートをしても駄目


では、その商品に興味を持った誰かが、商品評価についてのアンケートページをつくったらどうでしょう。残念ながら、これも利用者を代表する結果を得るには不充分です。自分のホームページやSNSで回答者を募っても(たとえ広範囲に拡散したとしても)、それは“この指とまれ”方式で人集めをしているだけだからです。この指とまれ方式で集まった人たちが、利用者全体を代表しているとはなりません。
 
アンケート実施側が回答者を指定する方式でない限り、利用者の声を代表する意見を知ることは難しいのです。
 


トップこそ率先して事実やデータに基づく姿勢を!


利用者が商品をどのように評価しているか。
これを高い精度で知るためには、アンケートの対象者を①メーカーなり販売店なりが持つ販売相手リストを元にサンプリングするか(「もし、あれば」ですが)、②数十万人規模の大規模なアンケートモニターから商品利用者を抽出するしかないでしょう。どちらも大きな費用が掛かりますが、簡略化して費用を抑えることも可能です。
 
経営のトップに立つ人が、推測により現状を把握して行なう判断と、(多少の質の優劣はあったとしても)事実とデータに基づいて行なう判断では後者の方が成功する確率が高いと考えられます。また、利用者や消費者にも好意的に受け止められるでしょう。信頼される経営者の資質や姿勢として、後者が好ましいのは間違いありません。
 
今回の楽天の件だけではなく、事実やデータを軽視する習慣はなかなか無くなりません。
トップこそ率先して事実やデータに基づく姿勢を示して欲しいものです。

「◯◯が流行している」って本当なの?


この記事の所要時間: 20秒 〜 30秒程度(1246文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
新聞、雑誌、インターネットなどの記事で、「◯○が流行している」、「アメリカで△△が話題だ」、「高齢者の間で××がブームらしい」などの表現をよく見ます。中には「そうそう、最近はやっているよね」と思うものもありますが、「それ、本当なの?」と首を傾げたくなるようなものが多いのも事実です。
 
元々、何かが流行しているかどうかは判断基準が曖昧ですし、基準があったとしても実証が難しいので、“言ったもん勝ち”なところがあります。それは仕方ないとしても、最近、反証できないのに乗じてでっち上げの流行をつくっている記事が多いように思えてなりません。特に、ビジネスに関係するトレンド情報は企業に実害を及ぼす可能性もあり、苦々しい気持ちで記事を読むことが多々あります。
 


複数のメディアが取り上げていれば信用できる?


新聞や雑誌の記事をすべて真に受ける人はいないでしょうが、それでも「流行している」に惑わされる人は跡を絶ちません。
 
いくつもの新聞や雑誌が同時に「流行している」「話題になっている」と書き出すと、複数のメディアが書いていることを何らかの根拠のように考えて、これに乗ってしまう人たちが多いのです。よく記事を読んでみると、ただの後追い記事だったり、インタビューをしている相手が同じ人だったりすることもあるのですが、新聞や雑誌の権威に騙されてしまうようです。
 


自分の目で確かめよう


しかし、今は便利な時代です。
GoogleやTwitterで検索して、ヒット数を見たり、ヒットしたページに書かれている内容を見たりするだけでも、ある種の確認になります。もちろん、何件ヒットしたら流行中なのかがわからないため検証とまでは行かないのですが、メディアに書かれていることをそのまま信じるよりはマシでしょう。
 
直接検索結果を見るだけでなく、統計情報を見ることもできます。例えば、Googleトレンドを使えば特定の単語を検索した件数の推移を見ることができます。これも、どのくらいの数値になったら流行という基準はありませんが、まったく検索数に変動がない状態が続いていて、記事が出たと同時に検索数が一気に伸びたような場合は、警戒した方がいいでしょう。記事によって興味が集まっただけと考えられるからです。
 


何ごとも事実やデータに基づいて考えよう


佐々木は何かと言うと「事実とデータに基づく」ことをオススメします。「流行している」などという不確かな情報を元に事を起こすのは極めて危険だからです。やはり、人や企業が何かを行なうためには、それなりの根拠が必要でしょう。それも、根拠は明白であれば明白である程いいのです。
 
すべてのことが検証できるとは限りません。
それでも、何らかの形で裏を取ろうとする行為は無駄ではないのです。ぜひ、何ごとも事実やデータに基づいて考える、この習慣と付けていただきたい。そう考えています。