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エクセルファイルの20〜40%にミスがある


この記事の所要時間: 210秒 〜 310秒程度(1323文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
『分析力を武器とする企業』(トーマス・H・ダベンポートほか/日経BP社)という本で知ったのですが、個人が作成したスプレッドシートには20〜40%の確率でエラーが発生するそうです。スプレッドシートと言えばエクセルですから、「エクセルファイルの20〜40%にミスがある」ということになります(雑な言い換えですが)。
 
今の時代、大企業でも中小企業でも、多くの企業がエクセルを使って作成したデータを元にさまざまな作業や意思決定をしています。そのうちの10回に2〜4回は間違ったデータに基づいて判断していることになってしまうのですから、恐ろしいことです。
 

photo credit : gonzalo_ar via photo pin cc

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対策はいろいろ考えられるが・・・


この問題にどう対処したらいいのでしょうか。
 
例えば、

 ・数値の入力ミスを防ぐため、データ入力部分は二度打ちして比較する
 ・完成したファイルを作成者とは別の人がチェックする仕組みをつくる
 ・数式部分を変更できないようにしたファイルで作業させる
 ・技術的なミスが起きないよう従業員のエクセルスキルを向上させる

などが考えられます。
 
ただ、多くの企業でこれらの対処をしているようですが、自分が見る限り効果は限定的です。抜本的な対策ではない対症療法に過ぎないからでしょう。
 
「自社の業務に合わせた専用アプリケーションを開発してエクセルの使用をやめる」という代案は抜本的と言えますが、これはオススメできません。専用アプリでは作業の自由度が減ってしまうため、結局はエクセルを併用することになってしまうからです。
 


「データは間違っている」を前提に!


では、どうすればいいのか。
それは「データを信じ過ぎない」ことです。
 
「計算間違いをしないエクセルを使用するからミスはない」という過信が一番の問題です。データをつくる人も使う人も、データやアプリケーションに詳しくない人ほどこの過信が大きいようです。エクセルがいくら有能でも作業をするのは人間です。そして人間は必ずミスをします。これを心得た上で作業をしたり、判断をしたりすることがミスを大きくしない秘訣なのではないでしょうか。
 
自分の場合、つくったファイルを何度も何度もチェックします。数式を何度も見なおしたり、一つの数値を算出するに複数の計算方法で検算したりです。その結果、ミスは他人よりも少ないようです。ポイントは、誰に言われるわけでもなくチェックをするところです。エクセルはミスをしやすいということを自覚しているからこういう行動をします。そして、この自覚こそがミスを防ぐために重要なのです。
 
精神論のようで恐縮なのですが、「人間が作成したデータは間違っていることも多い」、これを前提に作業することが、解決への近道のように思います。

安全神話とクラウドと代替案必須の功罪


この記事の所要時間: 130秒 〜 230秒程度(978文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 


安全神話崩壊、次に何を疑うか?


昨夏、電力安定供給の大前提が崩れ、多くの企業がその対応に追われました。
自分も含めて、「絶対に安全なシステムなどない」という極めて当たり前のことを思い知らされたわけです。
 
数年間、数十年間大きなトラブルなく動作しているインフラは、あって当然の空気のような存在です。責任ある企業のリスク対策として、これらインフラに対する「絶対に安全」という過信、すなわち安全神話を疑うことが求められているのでしょうが、それらすべてを片っ端から疑い、万全の策を用意することは現実的でないでしょう。予算にも人員にも制限があります。実務では、トラブルが起きる可能性とトラブルが起きた場合の影響を考えて、「次に何を疑うのか?」の優先順位を付けることが求められます。
 


もしもクラウドが壊れたら・・・


佐々木がまず最初に疑うことをオススメするのはインターネットのインフラ、特にクラウドです。新しいシステムが多いためトラブルが起きる可能性は高く、一方で一極集中による効率化を目指すためにトラブル発生の影響は計り知れないからです。
 
この際、「インターネット大手の◯◯社がやっているサービスだから大丈夫」は成立しません。それではまさに安全神話です。想定外のトラブルは起きるのです。サーバー側が壊れることもあるでしょうし、ネットワークが壊れることもあります。クラウドを利用している企業は、そこにトラブルが起きる可能性を想定しておく必要があります。
 


代替案なしの指摘が気付きになる


さて、ビジネスにおいては、何らかの批判なり指摘なりをする場合、解決のための代替案を示さないのはルール違反と見做されます。「クラウドが危ない」と指摘するなら、その代替案を出せというわけです。当事者意識のない評論家的な批判を避けるためのルールなのですが、これが素朴で重要な指摘を妨げているように思えてなりません。
 
さまざまな分野で専門化が進む現在、部外者が代替案を含めた批判・指摘をすることはハードルが高くなっています。一方で、専門家は視野狭窄に陥りやすく、自身の技術等に過信を抱きがちです。時には、代替案なしの指摘を認めることが、重要な気付きを見逃さないために必要なのではないでしょうか。

どちらがマシな間違いか?


この記事の所要時間: 220秒 〜 320秒程度(1443文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
人は誰しも間違います。
個人も企業も、少しでも間違いを減らすためにさまざまな工夫をしていますが、これを完全に無くすことはできません。どうやっても「ヒューマンエラーは無くならない」のです。このため、ミスを減らす努力をすると同時に、ミスが起きたときの対処やミスの影響を小さく留める方法を考えておくことが大切です。
 

photo credit : wokka via photo pin cc

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統計学では判断の間違いを第一種過誤と第二種過誤の2種類にわけて考えます。これを統計学の言葉で説明するとわかり難いので(やや不正確ながら)意訳してみました。

 ●第一種過誤:誤った仮説を肯定する間違い。偽陽性。
 ●第二種過誤:正しい仮説を否定する間違い。偽陰性。

これらの言葉を覚える必要はありません。でも、この分類を使って「どちらがマシな間違いか?」を考えることは役立ちます。
 
例えば「疑わしきは罰せず」という考え方があります。
これは「容疑者は有罪だ」という仮説に対しては、第二種過誤(有罪の人を罰しない)より第一種過誤(無罪の人を罰する)の方が大きなミスだと考えているということです。一方、病気の簡易検査などは、第一種過誤(病気に掛かってない人を病人と判定)より第二種過誤(病気に掛かっている人を病人でないと判定)の方が危険です。このため、検査はより敏感に反応するように設計されています。
 
話が変わるようですが、昨日、高橋克也容疑者が逮捕されました。
逮捕の前に、捜査員が高橋容疑者本人を一度取り逃がしそうになったという報道があります。店員が「高橋容疑者に似ている」と言ったのに、捜査員が「似ていない」と判断して話し掛けなかったというのです。この例は、第一種過誤と第二種過誤の影響の大きさの違いを判断できていない典型例でしょう。真犯人を犯人でないとして見逃すミス(第二種過誤)と、犯人でない人に話し掛けて不快な思いをさせるミス(第一種過誤)のどちらの影響が大きいかは自明です。人がミスをする(「似ていない」と判断する)のは仕方ありませんが、二種類の過誤の影響の違いがわかっていれば、その後の行動が変わりミスの影響を小さくできます。この視点を持つことはとても重要です。
 
さて、ビジネスの場でもどちらのミスを避けるべきかを考えることは有効です。
スーパーマーケットで万引き犯を捕まえようとしているとき、店の信頼を考えれば犯人でない人を万引きで捕まえる第一種の過誤を犯すことは絶対に避けなければなりません。一方、ある種の商品開発などは第一種の過誤(売れない商品を売れると考える)を怖れていては売れる商品をつくることはできなくなってしまいます。程度の問題はありますが、積極的に第一種の過誤を犯すぐらいでなくてはいけません。
 
ポイントは二種類の過誤を犯したときに起こる影響を比較することです。
第一種の過誤による損害、第二種の過誤による損害を書きだして、どちらが影響が大きいかを考えることが有効になります。
 
そこでこのテーマをペラいちのフォーマットにしてみました。
ぜひ、ご活用ください。
 

どちらがマシな間違いか?
ファイルのダウンロードはココから

失敗の原因を書き出そう!


この記事の所要時間: 050秒 〜 150秒程度(673文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
多くの成功者が言うように、ビジネスにおいて失敗の経験を活かすことはとても重要です。失敗を恐れるのではなく、失敗と上手に付き合うことが求められます。この失敗を学問的、体系的に扱っているのが畑村洋太郎さんの提唱する失敗学です。
 
失敗学は、失敗の特性を理解して、

 ①不必要な失敗を繰り返さない
 ②失敗からその人を成長させる新たな知識を学ぶ

ことを目指しています。
 
失敗学では失敗の原因を階層的に捉えます。
これをフォーマット化したのが今回ご紹介するツールです。
 

失敗原因の洗い出し
ファイルのダウンロードはココから

 
『失敗学のすすめ』(畑村洋太郎/講談社)で示された失敗原因の階層構造の脇に「考えられる原因」と「実行可能な対策」の欄を付けただけなのですが、これだけで充分に役立ちます。本で得た知識はそのままでは使うことができません。このようなフォーマットに落とすことで、すぐに活用できるようになるのです。
 
失敗の原因を洗い出すとき、何もフレームを使わずに考えると、ただの思い付きに留まってしまいます。このような枠組みを使って考えることで、網羅的に失敗原因を探索できる効果があります。また、本当の失敗原因を隠したり、目立つ原因ばかりに単純化したり、社内のパワーバランスで落としどころを探したりすることを防ぐためにも役立つでしょう。もちろん、それぞれに対策を考えて、優先順位を着けて実行に移すことも重要です。

失敗を成功に結びつけるためにも、ぜひご活用ください。