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「最悪なパスワード」首位交代の理由を考える


この記事の所要時間: 350秒 〜 450秒程度(2154文字)


複雑なパスワードの利用が推奨されて久しいが、とうとう安易なパスワードの首位が交代した。これまで1位だった「password」を「123456」が逆転したのだ。
 
データは「盗まれてインターネットに掲載されたパスワードのファイルを分析した結果」でしかないので「手続き」としての代表性はない。しかし、実際的には、上位になったパスワードが一般に多く使われていると考えて間違いないだろう。Adobeの流出によって「adobe123」が増えたとしても、そういう個別事象の影響は限られている。対象とするパスワードの選定に大きな作為がないと考えられる限り、一定の信頼はできる。
 
さて、このデータを信じるとして、安易なパスワード = 運営者側にとって「最悪なパスワード」の首位が交代した理由はどこにあるのだろうか。少し考えてみた。
 

Photo credit : Ron Bennetts / CC BY

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「新しい横断歩道」をデザインするなら・・・


この記事の所要時間: 410秒 〜 510秒程度(2324文字)


街を歩けばどこかしこで渡ることになる横断歩道。このデザインが大きく変わるかも知れない。歩行者の安全を守るため、全国でいくつかの「新しい横断歩道」のテストが行なわれているのだ。
 

横断歩道

Photo credit : pinboke_planet / CC BY

 
例えば、滋賀県長浜市では「車道の路面より10cm高く設置された横断歩道」が試されている。横断歩道の前後には「勾配があることを知らせる三角形の路面表示」も施され、ここを通過する車両の平均速度が大幅に低下したらしい(参考:通学路守る秘策…横断歩道の高さ路面より10センチアップで「平均速度20キロ低下」 滋賀・長浜|MSN産経west)。
 
「浮き上がって見える横断歩道」をつくったのは静岡市。目の錯覚を利用することで立体的に見えるようにしたという。効果の確認はこれからだが、結果次第では「普及させていくことも検討」と積極的だ(「浮き上がる」横断歩道、思わず減速…静岡|読売新聞)。
 
車道より10cm高い横断歩道と浮き上がって見える横断歩道のどちらが優れているかはわからないし、別にもっと良い方法があるかも知れない。それでも、いろいろな仮説を案出してそれぞれを検証するアプローチは素晴らしい。担当者の勘や経験や度胸で実行する施策を選ぶよりも好ましいのは間違いないだろう。課題を解決したいのなら、KKD(勘、経験、度胸)より仮説検証。事実やデータに基づいて考えることが肝になる。ぜひ、全国でたくさんのテストをしてその知見を共有してもらいたいものだ。
 
さて、仮説を選ぶためにテストをするのは素晴らしいが、ただ闇雲にテストをしただけではその結果を信頼することができない。テストのやり方にもコツがあるのだ。では、実際にどのような点に注意してテストをすれば良いのだろうか。
 
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座高測定廃止はもったいない?


この記事の所要時間: 320秒 〜 420秒程度(1890文字)


文部科学省が学校の健康診断での座高測定を廃止する。検査項目の見直しを要請していた有識者会議からの報告を受けて、省令を改正する方針とのこと。廃止の理由は、座高測定の検査結果が「ほとんど活用されていない」と単純明快だ(参考:27年度にも座高測定廃止 学校の健診見直し 文科省|MSN産経ニュース)。
 
これまでなぜ座高測定をしていたかはよくわからない。座高の測定がはじまった当初は「内蔵がある上半身の発達を確認する」目的があったという説もあるが、本当にこんな目的だったのか、そもそも座高を測ることで内蔵や上半身の発達を確認できるのかは不明。「学校で使う机や椅子の高さ決定に使う」ためという説は理に適っているものの、生徒全員の座高を毎年測定する理由にはならないだろう。報告書で「ほとんど活用されていない」と指摘されているのだから、測定を続けていた理由は「誰も止めようと言わなかったから」が真相なのかも知れない。
 
さて、こういう測定廃止の取り組みがあると、必ずと言っていいほど「データの継続性を考え、安易に測定を止めるべきではない」という反論が登場する。しかし、これに説き伏されてはいけない。一理あるのは間違いないものの、そこにあるのはデータ活用に対する熟考ではなく、現状維持バイアスに基づく過剰な「もったいない精神」だからだ。
 

Photo credit : lowa Digital Library / CC BY-NC Photo credit : lowa Digital Library / CC BY-NC

 
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あまちゃん効果32億円の算出方法は?


この記事の所要時間: 40秒 〜 50秒程度(2247文字)


NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』には、約32億円の経済効果があるらしい。
試算は岩手銀行系のシンクタンク・岩手経済研究所によるもので、観光客増加に伴う岩手県内の経済効果を32億84百万円と算出。併せて465人の雇用も生まれると予想している(参考:あまちゃん人気 岩手経済効果32億円 地元シンクタンク試算|河北新報)。
 
さて、この経済効果。大変結構な話ではあるものの、「試算は信じられるの?」と思う人も多いだろう。自分もその一人だ。途中の説明が少なく、結果の数値だけ報道されるのでついつい疑ってしまう。計算の過程がブラックボックスで、どんなソロバンを弾いているかわからないため、にわかに信用できないのだ。そこで今回は、この数値を信じていいか見極めるため、あまちゃん効果の算出方法を紐解いてみた。
 

Photo credit : Jeremy Brooks / Foter / CC BY-NC Photo credit : Jeremy Brooks / Foter / CC BY-NC

 
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冷えてないお茶、はじめました!


この記事の所要時間: 250秒 〜 350秒程度(1660文字)


コンビニで冷えてないお茶を売っているというニュースがあった。
「常温飲料を買いたいという消費者が4割」というアンケート結果を参考にテスト販売。その好調な結果を受けて、取り扱い店舗を増やしたようだ。これが大きく成功したら、アンケートで潜在需要を浮かび上がらせた好事例となるだろう。
 
この事例は、誰かが「お客は冷えてないお茶を欲しがっている」と考えたから生まれた。
その仮説をアンケートとテスト販売で検証したのは間違いないが、その着想自体はアンケートやデータから導き出されたものではないだろう。要は思いつきだ。この思いつきがなければ、いくらアンケートを行なっても冷えてないお茶の潜在需要を見つけることはできない。そもそもの質問の選択肢が、「冷たいお茶」、「少し冷たいお茶」、「少し温かいお茶」、「温かいお茶」だったら、常温で飲みたいという需要は見出だせなかったことになる。
 
アンケートをつくるとき、質問に対してどのような選択肢を用意するかで調査結果はリッチにもプアにもなる。このとき、対象者がどんな回答をするのか想像して、選択肢を考え出すことは、小さな仮説づくりと言えるだろう。調査する側がどのような仮説を考えられるかで、調査結果の価値はまったく変わってしまうのだ。
 
では、どうやれば有効な選択肢を考え出せるようになるのだろうか。
 

photo credit : tomi_ta via photopin cc

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