タグ : マーケティング発想法

いつまでもスクロールバーがあると思うなよ!


この記事の所要時間: 150秒 〜 250秒程度(1153文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
GIZMODEに、『スクロールバー、30年の歴史』という記事がありました。
まあ、記事の内容はどうってことのない感想のようなものなのですが、掲載されているスクロールバーの変遷の画像はちょっと魅力的です。残念ながら自分が最初に使ったOS=漢字Talk 7の画像はないものの、Mac OS 8のスクロールバーなどはかなり懐かしい感じがします。
 

photo source : GIZMODE

 
さて、最近のMac OS Xではスクロールバーが目立たなくなっています。
最初は不便に感じたものの、今ではスクロールバーをほとんど使わなくなりました。
 
ここから得られる「気づき」は、必要なのはスクロールできることであって、スクロールバー自体ではないということです。簡単にスクロールできる別の手段があれば、スクロールバーは要らなくなるのです。
 
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インフォグラフィックには軸が欲しい!


この記事の所要時間: 230秒 〜 330秒程度(1490文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 

photo credit : infographic.jp

 
これはinfographic.jpに掲載されたインフォグラフィックの今を読み解くインフォグラフィックです。なかなか捉えどころのない「インフォグラフィック」の何たるかを、見事1枚であらわしています。何をもってインフォグラフィックとするかがよくわかりませんし、使い方や作り方の細部については異論も出るでしょう。しかしそれでも、インフォグラフィックについてインフォグラフィックで説明しようというメタな取り組みは、とても素晴らしいと思います。
 
さて、インフォグラフィックにはここに表現されていないもう一つの大切な要素があると考えています。それは「何を軸にするか」です。
 
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「ぐにゃぐにゃ文字による認証」は必要悪か?


この記事の所要時間: 320秒 〜 420秒程度(1895文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
コトノハにWebで実際に人が操作していることを確認するための、崩したアルファベットが読みづらい。というエントリーがありました。コトノハは「色々なコト(キーワード)について、みんなで ○× で答えていく」サービスです。この指とまれ方式なので「何かを代表するアンケート結果」とは言い難いですが、ごく他愛のない話題については一見に値します。
 
さて、「崩したアルファベットが読みづらい」のアンケート結果ですが、○(読みづらい)が圧倒的に多くなっています。あのぐにゃぐにゃした文字を読めないのは自分だけなのかも知れないと思っていたのですが、どうやらそうではないようです。少し安心するとともに、果たしてこんな評判の悪い認証システムを使い続ける必要があるのか、疑問に感じます。
 

photo credit : Bekathwia via photo pin cc photo credit : Bekathwia via photo pin cc

 
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カメラ専用機のベネフィットは“特別感の演出”


この記事の所要時間: 220秒 〜 320秒程度(1394文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
WIRED.jpに『数字で見る「カメラ市場へのスマホの影響」』という興味深い記事がありました。調査によると「カメラ専用機で撮られた写真の割合は、2010年の52%から44%に減少」しており、スマートフォンなどのカメラ機能の影響が大きいという内容です。
 
記事では、「日常的で即興的な利用」と「バケーション時」のモバイルカメラ利用率の差がグラフで示されており、当然ながら「日常的で即興的な利用」で高くなっています。これを見て改めて考えたのが「カメラ専用機のベネフィット(金銭以外も含めた利益)は何なのか」ということです。
 

photo credit : panaromico via photo pin cc photo credit : panaromico via photo pin cc

 


ベネフィットは“画像による記録”?


カメラのベネフィットは、その本来的な機能を考えた場合、現実の一側面を画像により記録することと言えるでしょう。しかし、このベネフィットだけなら、今の時代、携帯電話やスマートフォンのカメラ機能(以下、スマホカメラ)で充分満たすことができます。画像で記録するためだけならカメラ専用機はいらないのです。
 
「より美しく」「より正確に」現実を切り取るというベネフィットを想定するとカメラ専用機の位置付けが明確になります。しかし、最近のスマホカメラの性能向上を考えるとこれも長く続かないように思います。冷静に考えれば、既にスマホカメラの画質さえ過剰品質と言えるかも知れません。
 
良い写真を撮影するためには、カメラの性能以外に撮影者の技術やセンス、写真の被写体やシチュエーションなどが重要になります。これらの要素の影響と比べると、カメラ専用機の性能とスマホカメラの性能の違いは微々たるものと考えられるからです。
 


カメラ専用機のベネフィットは“特別感の演出”


それでもなぜカメラ専用機を使うのかと考えると、そのベネフィットは雰囲気や気持ちの問題だと考えられます。子どもの運動会の写真をスマホカメラで撮っていては、特別な雰囲気が出ないのです。まるで、手抜きをしているようです。記念日にちょっと高級なレストランにいつもと違った服装で出掛けるように、特別な日にはカメラ専用機を使うことが必要なのです。このとき、カメラ専用機を使うことで出来あがる写真の質が向上するかどうかは、ほとんど関係ありません。
 
こう考えると、カメラ専用機の売上を伸ばすためには、“特別な日を増やす”アプローチが有効ではないでしょうか。「こういうときはカメラ専用機」というシチュエーションをどんどん提案するのです。既に行なっているメーカーもあるでしょうが、今後を考えれば、更にシチュエーションを強調したアプローチが重要になると考えられます。
 
また、特別感の少ない便利さだけにシフトしたようなコンパクトカメラは、スマホカメラとの弁別が厳しくなるでしょう。機能は今までのコンパクトカメラだけど「見掛けはいかにもカメラ」、そんな商品も一案のように思います。
 
具体案については思い付きの部分もありますが、カメラ専用機の位置付けを再考して“特別感の演出”を目指すことは重要です。
 
モノ(カメラ)ではなくコト(シチュエーション)で考えることが、カメラ市場にも求められているのです。

まず消費者中心に考える


この記事の所要時間: 230秒 〜 330秒程度(1520文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
モノを売るためには、消費者のニーズと企業が提供する製品/サービスをフィットさせる必要があります。「何、当たり前のこと言ってるんだ」と思われるでしょう。しかし、これがなかなか難物なのです。
 


消費者が歩み寄る? それとも企業が歩み寄る?


マーケティングにプロダクトアウト、マーケットインという用語があります。プロダクトアウトは「企業がつくれるモノを売る」、マーケットインは「消費者が欲しいモノをつくる」という意味です。フィットという言葉で説明すれば、消費者が歩み寄ってフィットさせるのがプロダクトアウト、企業が歩み寄ってフィットさせるのがマーケットインとなります。
 
マーケティングでは「発想をプロダクトアウトからマーケットインに変える」ことを勧めます。つまり、企業が歩み寄ってフィットさせろということです。マーケティングの考え方があまり一般的でなかった数十年前はマーケットインの発想を納得させるだけでも大変だったようですが、現代の企業の多くはこれを当然のこととして受け入れます。ここまではいいんです。
 


「消費者が欲しいモノ」はアンケートで


さて、ポイントは「消費者が欲しいモノ」を誰が決めるかです。数々の失敗を見て気付くのは、企業側が「消費者が欲しいモノ」を勝手に決めてしまうパターンが多いことです。
 
例えば「消費者はもっと高画質のテレビを求めているはずだ」、「多機能製品は低機能より消費者に喜ばれる」、「消費者は安いものが好き」等の決め付けです。これらは要は「より良いものを望んでいる」と言っているだけですから一見普遍の価値観のように見えます。しかし、消費者が、どんな製品/サービスについても、常に最良を望んでいるとは限らないのです。このパターンでは、「消費者の実態」より、企業が考える「消費者のあるべき姿」を優先させてしまうことが失敗につながります。
 
また、「うちの家族は・・・」、「オレの友達は・・・」、「この間のお客は・・・」の類もよくある間違いです。これらは消費者を見ている点では良いのですが、その視点に一般性がありません。①対象としている人数が少ない、②対象に偏りがあるだけでなく、③それらを見た人が印象に残った事象のみを記憶しているため一般的ではないのです。このパターンの失敗は、自分自身への過信が原因で起こります。
 
いずれのパターンにせよ、マーケットインを実現しようとして「消費者が欲しいモノ」を考えたのに、それを企業が決めてしまったのでは何にもなりません。「消費者が欲しいモノ」はアンケート調査等の手法を使って、実際の消費者に聞くのが一番です。
 


まず消費者中心に考える


企業の方々は口を揃えて「マーケティングが大事」と言います。しかし、実際にはマーケティングの発想には程遠いことをしています。プロダクトアウトとマーケットインの例などはその典型です。
 
問題は、マーケティングの考えを本当に納得して=腹落ちして行動しているかです。世の中の流れがそうだからとか、会社がマーケティング重視の方針だからとか、他所の会社がマーケティングで成功したからとかの理由で、マーケティングを受け入れている人が多いのではないでしょうか。マーケティングはスキルも重要ですが、それより何より根本にあるマーケティング発想を理解することが最も大切です。この部分が欠けてしまっては元も子もありません。
 
マーケティングの考えを敢えて一言であらわすなら、「消費者中心に考える」ということになります。まずはこの発想で考えてみてはいかがでしょうか。