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TED Talksがおもしろい


この記事の所要時間: 130秒 〜 230秒程度(971文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
皆さんはTEDカンファレンスというイベントをご存知でしょうか?
これは年1回アメリカのモントレーで開かれる注目のイベントで、様々な分野の専門家が登場して刺激的なプレゼンテーションを繰り広げます。プレゼンテーターには著名人も多く、元アメリカ大統領 ビル・クリントンが登壇したこともあるそうです。
 
今回調べてわかったのですが、設立者の一人はリチャード・ソール・ワーマン。『理解の秘密』(松岡正剛訳/NTT出版)でインストラクション(指導、伝授、教授)の重要さを説いたのあの人です。
 
このTEDカンファレンスの模様はインターネット上で無料公開されています。もちろんプレゼンテーションは英語で行なわれていますが、ボランティア翻訳者による字幕付きの動画をTED Talks in 日本語で見ることができます(勝手に翻訳した野良ページではなく公式です)。いくら言葉で説明してもこのプレゼンテーションの凄さは伝わりません。ぜひ、実物をご覧ください。
 
TED Talksがおもしろい理由は、プレゼンテーターのレベルの高さ、テーマのユニークさ、表現の工夫、ユーモア溢れるプレゼン技術、聴衆のノリの良さ等々たくさんあります。しかし、佐々木が一番強く感じるのはプレゼンテータの情熱です。どうしても伝えたいことがあり、それをうまくインストラクションするために努力を惜しんでないところに大きな魅力を感じます。
 
特にオススメなのが、マット・カッツの30日間チャレンジです。
 

 
要は、どんなことでも30日間続ければいろいろ収穫があるという話なのですが、説明がうまいため奇妙な説得力があります。実はこれを見て「30日連続でブログを更新しよう」と思い立ち、ここ数日の連続更新となっている次第です。
 
さて、このTED Talksは4月からEテレ(NHK教育)の番組にもなっています。毎週月曜日の23時から放送されるスーパープレゼンテーションという番組です。毎回、厳選されたTED Talksが2本紹介されます。「30日間チャレンジ」も先日放送されました。興味のある方はご覧になってみたらいかがでしょうか。大きな刺激を得られることは請け合います。

『コンサルタントの秘密』をオススメします


この記事の所要時間: 250秒 〜 350秒程度(1708文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
中小企業診断士になるには中小企業診断士試験に合格する必要があります。
この試験では7科目の学科試験からなる第1次試験と筆記試験および口述試験の第2次試験が行なわれ、中小企業診断士に必要な学識や応用力がテストされます。このため中小企業診断士には共通する知識のバックボーンがあり、ここが「取りあえず経営コンサルタントと名乗ってみました」な人との大きな違いです。もちろん経営コンサルタントの肩書きで立派な仕事をされている人もたくさんいますが、位置付けが違うのは間違いありません。
 
さて、企業を支援するときに必要なのは当然ながら知識だけではありません。企業の現状を正しく理解する力、新しいビジネスを考える力、制約条件の下で実現可能な施策をつくり出す力など、試験では求められない能力も必要になります。また、診断士として企業とどう向き合うのかがとても重要な要素です。
 
この「企業との向き合い方」について考えるときに役立つのが、今回紹介する『コンサルタントの秘密』(ジェラルド・M・ワインバーグ/共立出版)です。この本には、企業の中の人とどのように付き合えばいいか、どうやって問題解決に取り組めばよいかが、著者ワインバーグ自身の経験に基づきおもしろおかしく書かれています。試験に出るような「支援の技術」ではなく、実際に企業と接するときに必要な「支援の進め方」について書かれているところが特徴です。アメリカで30年近く前に発行された本なので日本の現状と合わないことも多いですが、この本の目玉となる数々の格言は今でも充分通じる普遍性を持っています
 
たとえば、こんな格言があります。

【コンサルタントの第一法則】
  依頼主がどういおうとも、問題は必ずある。

これは依頼主がなかなか問題の存在を認めないことを表しています。依頼主が問題があることを認めて、それをコンサルタントが解決してしまうと、自分で解決できない依頼主の無能さがバレてしまうからです。そして、自分の無能さがわかり不快な思いをするくらいなら、依頼主はコンサルタントに解決すべき問題を教えないということになります。ではどうすればいいのか。まず、相手が有能であることを充分に認めた上で、何か改善したいところがないか尋ねればいいとワインバーグは教えます。相手を傷つけないためには改善は10%程度に留めるのがいいそうです。
 
こんなのもあります。

【手柄の法則】
  誰の手柄になるかを気にしていたら、何も達成できない。

コンサルタントが協力したことにより問題が解決した場合、それをアピールしたくなるのは人情ですが、そんなことをしても何も生みません。依頼主が(例えばマーケティング部長が)自分の手柄にしたがるのならそうさせればいいのです。結果的に企業が今より良い状態になるのなら手柄は争わない方がいいということです。依頼主はコンサルタントに文句を言いつつ、それでもコンサルタントが居ると不思議と依頼主が問題を解決する。そんな状態が望ましいようです。
 

【ファーストフードのウソ】
  差なし、プラス差なし、プラス差なし、プラス差なし、プラス・・・は、
  いつかはっきりした差になる。

これはコンサルタントへの戒めであり、また企業への戒めでもあります。
前の日と「ほぼ同じ」ことを繰り返していても、少しずつ少しずつ手抜きをするようになり、いつかはまったく別物になってしまうということです。例えばレストランで料理の下ごしらえを少し雑に行なってもお客は気付かないので売上は減りません。次に、料理を煮こむ時間を少し短くしても同じことです。店員の身だしなみが多少乱れても同じでしょう。でも、それを繰り返すと、・・・。まあ、そういうことです。
 
『コンサルタントの秘密』ではこのような格言が100個近く紹介されています。中小企業診断士やコンサルタントでなくても役立つ内容が満載です。ここで取り上げた格言をひとつでもおもしろいと思った方には、ぜひオススメの一冊です。

女性は化粧品ではなく希望を買っている


この記事の所要時間: 210秒 〜 310秒程度(1319文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
さて、佐々木は「マーケティング好き」を公言して憚らないのですが、そのきっかけとなったのが「マーケティング近視眼」という論文です。学生時代、『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』誌に掲載されたものを読みました。元々1960年に書かれたものが再掲されたのですが、まったく古びていませんでした。50年以上前の論文が、今読んでも刺激的です。
 
この論文を書いたのがセオドア・レビットです。ダイヤモンド社曰く「マーケティング界のドラッカー」なのですが、日本ではあまり知られていません。細かなノウハウではなく、マーケティングの底流となるような考え方を説明しているため、実用的でないと思われるのでしょう。先日のスキルをセンスと勘違いしてませんか?で紹介した「スキルとセンス」のフレームで考えるなら、スキルではなくセンスに寄った話と言えます。だから、受け入れられないのかも知れません。残念なことです。
 
レビットは

 顧客は商品を買うのではない。
 その商品が提供するベネフィットを購入しているのだ。

と主張します。
 
ベネフィットとは便益、つまり顧客が受け取る利益のことで、金銭的な利益以外も含めて考えます。『マーケティング近視眼』の中の事例で言うと、鉄道会社が提供している便益は鉄道ではなく移動手段、映画会社が提供している便益は映画ではなくエンタティメントのコンテンツということになります。マーケティングという時の流れに振り回されやすい分野について、こういう原理的な考えをする姿勢に惚れました。
 
『レビットのマーケティング思考法』(セオドア・レビット/ダイヤモンド社)の中では、こうも言っています。

 なるほど、女性は化粧品を使う。
 だが女性は化粧品を買うのではない。希望を買っているのである。

痺れるくらいに格好良いですよね。そう、あの商売は希望を売っているのです。だから、あの商品構成、価格設定、広告戦略で良いわけです。
 


photo credit : 写真素材 足成

 
こういうモノの見方を、ちょっと前や今現在売れているものに当てはめて考えることも有効です。例えば、フロッピーディスク。「情報交換のためのメディア」と捉えてMOやCDに置き換わるのは予想できましたが、それではまだ甘かったようです。今のようにほとんどメディア自体を使わずインターネットに頼る時代になることは予想できませんでした。求められているのはメディアではなく「情報交換すること」自体だと考える必要があったようです。
 
今ならFacebookやTwitterについて考えるのもおもしろいでしょう。
現在はもてはやされていますが、利用者は別にあれらのサービス自体を求めているわけではありません。いろいろな人とのつながりや情報交換の場が欲しいだけでしょう(やや単純化し過ぎですが)。近い将来、まったく新しいサービスに置き換わる可能性は案外高いのではないかと思っています。
 
皆さんも、たまにはこのモノの見方でいろいろ考えてみてはいかがでしょうか?