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「◯◯が流行している」って本当なの?


この記事の所要時間: 20秒 〜 30秒程度(1246文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
新聞、雑誌、インターネットなどの記事で、「◯○が流行している」、「アメリカで△△が話題だ」、「高齢者の間で××がブームらしい」などの表現をよく見ます。中には「そうそう、最近はやっているよね」と思うものもありますが、「それ、本当なの?」と首を傾げたくなるようなものが多いのも事実です。
 
元々、何かが流行しているかどうかは判断基準が曖昧ですし、基準があったとしても実証が難しいので、“言ったもん勝ち”なところがあります。それは仕方ないとしても、最近、反証できないのに乗じてでっち上げの流行をつくっている記事が多いように思えてなりません。特に、ビジネスに関係するトレンド情報は企業に実害を及ぼす可能性もあり、苦々しい気持ちで記事を読むことが多々あります。
 


複数のメディアが取り上げていれば信用できる?


新聞や雑誌の記事をすべて真に受ける人はいないでしょうが、それでも「流行している」に惑わされる人は跡を絶ちません。
 
いくつもの新聞や雑誌が同時に「流行している」「話題になっている」と書き出すと、複数のメディアが書いていることを何らかの根拠のように考えて、これに乗ってしまう人たちが多いのです。よく記事を読んでみると、ただの後追い記事だったり、インタビューをしている相手が同じ人だったりすることもあるのですが、新聞や雑誌の権威に騙されてしまうようです。
 


自分の目で確かめよう


しかし、今は便利な時代です。
GoogleやTwitterで検索して、ヒット数を見たり、ヒットしたページに書かれている内容を見たりするだけでも、ある種の確認になります。もちろん、何件ヒットしたら流行中なのかがわからないため検証とまでは行かないのですが、メディアに書かれていることをそのまま信じるよりはマシでしょう。
 
直接検索結果を見るだけでなく、統計情報を見ることもできます。例えば、Googleトレンドを使えば特定の単語を検索した件数の推移を見ることができます。これも、どのくらいの数値になったら流行という基準はありませんが、まったく検索数に変動がない状態が続いていて、記事が出たと同時に検索数が一気に伸びたような場合は、警戒した方がいいでしょう。記事によって興味が集まっただけと考えられるからです。
 


何ごとも事実やデータに基づいて考えよう


佐々木は何かと言うと「事実とデータに基づく」ことをオススメします。「流行している」などという不確かな情報を元に事を起こすのは極めて危険だからです。やはり、人や企業が何かを行なうためには、それなりの根拠が必要でしょう。それも、根拠は明白であれば明白である程いいのです。
 
すべてのことが検証できるとは限りません。
それでも、何らかの形で裏を取ろうとする行為は無駄ではないのです。ぜひ、何ごとも事実やデータに基づいて考える、この習慣と付けていただきたい。そう考えています。

【実は高収入な男性職業】 中小企業診断士が第3位!


この記事の所要時間: 150秒 〜 250秒程度(1140文字)

photo credit : DavidDMuir via photo pin cc

photo credit : DavidDMuir via photo pin cc

 
中小企業診断士の佐々木孝です。
 
ネットの話題をチェックしていたところ、驚愕の(?)記事タイトルに遭遇しました。

実は高収入な男性職業、
1『不動産鑑定士』、2『土地家屋調査士』、3『中小企業診断士』|オタク.com

 
第一感で「そんな馬鹿なことがあるわけない」ので、かなり興味を惹かれます。ある種の釣り(大袈裟な表現等で人々の過剰反応を楽しむこと)だとは思いつつ、「どれだけいい加減な調査をすればこんな結果が出るんだ」とネタ元を確認したところ、Menjoy!というサイトの意外とみんな知らない「実は高収入な男性の職業」10個という記事でした。記事の冒頭に、【実は高収入な男性職業】の順位をどうやって決めたかの説明があります。

なかなか回復しない景気。こんな時「失礼かも」と思いつつも、ついついパートナーとして男性の職業や収入が気になってしまうのも仕方ありませんね。

不況時でも金銭面で神経質にならなくて済む男性は、一体どういった職業の方たちなのでしょうか?

「医師や弁護士、会計士などは勿論ですが、意外と私たちが知らないだけで高収入を得ている職業もあるんですよ」

様々な職業に携わる男性を見てきた元キャバクラ嬢でライターの竹内レイさんは、“意外と高収入な男の職業”を次のように紹介してくれました。

 
つまり、元キャバクラ嬢1人による独断と偏見の順位ということす。まあ、個人の主観でつけた順位なら、それに文句を言っても仕方ありません。適当なアンケートの結果を振り回しているのではないかと思ったのですが、それにも至らなかったわけです。
 
さて、この例はほとんど笑い話のようなモノですが、これと似たような構図がビジネスの現場でも見受けられます。「1人による独断と偏見」で考えたことをまるで世間一般の常識のようにすり替えて説明する人がいるのです。
 
元キャバクラ嬢が【実は高収入な男性職業】について語っているのなら実害はありませんが、ビジネスにおいて「1人による独断と偏見」が横行するとかなり厄介なことになります。話している相手が「そう知っている」のか、「そう思っている」だけなのか。この違い常に意識して、それを見抜くスキルを身に付けることは、ビジネスマンに欠かせません。
 
情報の根拠を確認することは極めて重要です。
意外なところから、そんなことをつくづく思いました。

白人赤ちゃんは少数派?


この記事の所要時間: 120秒 〜 220秒程度(916文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。
 
今朝、共同通信のホームページにこんなニュースがありました。

米、白人赤ちゃん少数派に 史上初、30年後は総人口も
【ワシントン共同】米国勢調査局は17日、1歳未満の赤ちゃんではヒスパニック(中南米)系と黒人、アジア系など少数派の比率が50・4%に達し、米国史上初めて白人が半数を下回ったと発表した。総人口でも2042年には白人が少数派に転じる見通しだ。

 調査は昨年7月1日に実施。5歳未満の幼児でも、少数派の人口比は49・7%と半数に迫っている。総人口では36・6%で、若い世代ほど少数派の比率が拡大している。

 ヒスパニック系の総人口は5200万人で、最も急速に増加。黒人は4390万人、アジア系は1820万人。

 
記事では「白人」と「その他の少数派の合計」を比較して「白人赤ちゃん少数派」としています。もちろん間違いではありません。が、白人が一番多いことに変わりはないのですから「少数派」という言葉遣いには違和感を感じます。
 
アンケート調査の集計をするときもそうなのですが、ある選択肢とある選択肢の合計をつくるのは、その合計に意味があると考えるからです。集計する人間が意味を感じ取り、データを見る側もそれを理解するだろうと考えるからこそ合計をつくります。通常、「そう思う+ややそう思う」は有りですが、「ややそう思う+そう思わない」は有り得ません。
 
では、ヒスパニック系、黒人、アジア系等の少数派を合計することに意味があるでしょうか。そこに意味を見るのは白人だけでしょう。「自分たち以外の人種の合計」というのはわかりやすい二元論です。一方でそれぞれの少数派にしてみれば、少数派を合計することにあまり価値を見いだせないように思います。だって、各少数派は別々なのですから。
 
こう考えると、この報道はまさに白人視点で集計した白人のためのデータの見方だということができます。人間はついつい自分自身の視点でデータを見て、その見方を他人に押し付けがちです。この記事を読んで他の人間の立場で考えてモノを見る、その重要さを改めて認識した次第です。

ビッグデータの活用は目的じゃない


この記事の所要時間: 150秒 〜 250秒程度(1127文字)


中小企業診断士の佐々木孝です。

ビジネスの現場でデータを活用することはとても重要です。
データの活用により①意思決定の精度向上、②業務プロセスの効率化などが実現できるからです。

小売店を例に考えると、

 ①商品別の売上高データがわかれば取り扱い商品の入れ替えがスムーズにできる
 ②曜日別の来店客数のデータによりアルバイトの人数を調整可能

ということになります。もちろん、データの使い道は無数にあります。業種や業態でデータの使い方に違いはありますが、データ活用が業績向上を後押しするのは間違いありません。
 

photo credit : 写真素材 足成 photo credit : 写真素材 足成

 
とは言え、企業に対して「データを使いましょう」と直接提案するのはいささか滑稽です。なぜなら、データ活用は手段であって目的ではないからです。企業が抱える課題について相談を受けたとき、それに対して「データの活用が役立ちます」と答えるのが自然でしょう。どんな経営課題でもデータ活用は有力な答えと成り得ますが、最適解とは限りません。データ活用を課題解決の前提にするのは間違いです。データ活用はあくまで課題を解決する手段の一つと考える必要があります。自分の場合、「馬鹿のひとつ覚え」のようにデータ活用を提案しないよう自戒しています。
 
さて、最近、ビッグデータという言葉をよく聞くようになりました。
さまざまな企業がビッグデータの活用を勧めていますが、ピンと来ない人も多いのではないでしょうか。その理由は、まるでビッグデータの活用を目的のように扱っているからだと思っています。ビッグデータを使うこと自体を「良いこと」、「最先端の企業が行なうべきこと」として、相手先企業の現状や経営課題を考えずに推奨しているように思えてなりません。
 
「まずビッグデータありき」で、それに見合う経営課題を探しているようなアプローチになっています。ビッグデータを商売にしたい企業の「大人の事情」があるのはわかりますが、それに巻き込まれてはいけません。利用者側の企業は、経営課題を起点に自社に役立つかを考えて、ビッグデータ活用を導入すべきか判断することが必要です。
 
ビジネスで何らかのトレンドが起きると、自社に必要かを考えずに飛びつく人、企業があります。もちろん、大きな成果を生むこともありますが、失敗する企業も数多くあります。成功した企業は大声で喧伝し、失敗した企業は黙って撤退するため、情報を見ていると成功企業が多いように見えますがこれは大きな勘違いです。
 
何ごとも、手段を目的化せず、自社の目的にあった手段を選ぶ力を身につけることが必要になります。