タグ : データの罠

「美人投票」に要注意!


この記事の所要時間: 210秒 〜 310秒程度(1359文字)


村一番の美人を投票で選ぶとする。このとき、1位になった美人に投票した村人に賞金を出すようにしたら、結果はどうなるだろうか。村人は、「自分が美人だと思う人」ではなく、「みんなが美人だと思うだろう人」に投票するようになるだろう。その結果、平均的な美人(?)が選ばれ易くなる。賞金を出すことで、どんな人に投票するかの基準が変わってしまう訳だ。
 
ケインズ経済学で有名なジョン・メイナード・ケインズは、株式市場で取るべき行動をこの「美人投票」に当てはめて説明した。即ち、「自分が値上がりすると思う銘柄」ではなく、「みんなが値上がりすると思うだろう銘柄」を買った方が、株式投資では儲かると主張したのだ。このケインズの「美人投票」理論には反論もあるようだが、「自分が思う」と「みんなが思うだろう」の違いは意識しておいて損がない。この微妙で大きな違いを見逃すと、目も当てられないことに成り兼ねないからだ。
 

投票

credit: landrachuk via pixabay

 
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片方だけなくなる靴下と哲学としての統計学


この記事の所要時間: 310秒 〜 410秒程度(1870文字)


「なぜ靴下は片方だけなくなるのか?」というテーマがある。「片方だけなくなる」理由は簡単で、両方なくなったら、なくなったこと自体に気付かないから。この答えは、言われてみれば「ごもっとも」だが、なかなか思い浮かばない発想だろう。「そもそも靴下なんてなくさない!」という野暮なつっこみさえしなければ、よくできた寓話と言える。
 
このように、自分が接したり、気付いたりした部分だけに注目して、誤った結論に達することは少なくない。ある意味ではデータを集めて考えているのだが、データをうまく使いきれてないでも言おうか。そこに欠けているのは、「哲学としての統計学」となる。
 

靴下

credit: clausjuntke via pixabay

 
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今年の夏、デング熱患者は減るけど増える!?


この記事の所要時間: 210秒 〜 310秒程度(1364文字)


数週間前までの春の冷え込みも何処へやら。4月も下旬に入り、少し動いただけで汗ばむような日が多くなってきた。ゴールデンウィークが終われば、立夏を迎えて暦は夏。暑さは、すぐそこまで来ている。
 
さて、暑くなれば蚊が湧いてくる。気になるのは、昨夏騒動になったデング熱だ。昨年はデング熱患者が160名発覚し、代々木公園や新宿御苑が閉鎖される事態に至った。今年の夏もあのような騒ぎになるのだろうか(参考:デング熱について|厚生労働省)。
 
今年は、東京都などが既にデング熱対策に乗り出しており、その効果を考えれば患者は「減る」と予想するのが常識的だろう。しかし、少しリサーチの視点を入れると、「増える」可能性の方が高いように思えてくる。「減るけど増える」としたのはそのためだ。
 

蚊

credit: Mehihe via pixabay

 
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餃子支出金額、「浜松vs宇都宮」の不思議


この記事の所要時間: 30秒 〜 40秒程度(1777文字)


このブログでも何度か話題にしている家計調査の最新データが、総務省統計局より発表された。家計調査報告(家計収支編)―平成26年(2014年)平均速報結果の概況―がそれで、要約の冒頭部分を引用すると以下の通り。

2014年は4月に消費税率が5%から8%に引き上げられたが,消費支出は,総世帯で前年に比べ名目で同水準となった。また,実質3.2%の減少となり,2011年以来3年ぶりの減少となった。二人以上の世帯では実質2.9%の減少,単身世帯では実質2.4%の減少となった。

2014年、一般家庭の財布の紐はなかなか緩まなかったようだ。
 
さて、家計調査と言えば餃子(家計調査での品目分類名は「ぎょうざ」)。2014年は浜松市が宇都宮市を征して購入額日本一に輝いたようだ(参考:日本一ギョーザ購入額、浜松が首位奪還 宇都宮抑え2年ぶり|日本経済新聞)。正直、どちらの市が餃子日本一でも結構だが、気になるのは餃子購入の内実の方。以前にも書いた通り、浜松市と宇都宮市は餃子が高いのだ。そこで今回は、両市の餃子購入実態の「異常さ」をわかり易く見せるため、プロット図をつくってみた。
 

餃子

credit: shingo via FindCC

 
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難関校合格者には朝日小学生新聞読者が多い?


この記事の所要時間: 420秒 〜 520秒程度(2430文字)


先日、不思議な記事を見掛けた。日刊スポーツの難関私立中学の合格者は朝小の読者多いという記事だ。少し長いが、以下に引用する。

 難関私立中学の合格者には「朝日小学生新聞」(朝小)の読者の割合が高い-。

 そんな調査結果が10日、朝小を発行する朝日学生新聞社から公表された。

 今春の早稲田実業学校中等部(東京都国分寺市)で、聞き取り調査した合格者の36・8%(95人中35人)が朝小の現読者、またはかつての読者だった。慶応義塾中等部(東京都港区)では同41・1%(73人中30人)、東大寺学園中学校(奈良市)では同29・8%(161人中48人)だった。

 合格者からは「選挙記事などが分かりやすかった」「読む力、論理的に考える力がついた」などの声があったという。

 選挙の出口調査などに実績がある「ベルシステム24」に委託し、各中学の合格会場付近で聞き取り調査した。

 2014年の調査でも、灘中、女子学院中、筑波大付属駒場中で朝小読者の割合が4割を超えていた。

 
早稲田実業学校中等部、慶応義塾中等部、東大寺学園中学校の合格者は、3割〜4割が朝日小学生新聞(朝小)の現読者またはかつての読者だったとのこと。記事中には、「合格者からは「選挙記事などが分かりやすかった」「読む力、論理的に考える力がついた」などの声があったという」とあるので、直接的には書いていないものの「朝日小学生新聞は中学受験に効果がある」と言いたいのだろう。
 
さて、何が不思議かと言えば、記事で提示されているデータだ。果たして、この調査結果から「難関私立中学の合格者には「朝日小学生新聞」(朝小)の読者の割合が高い-。」と言えるだろうか。データを使った記事を読むと何となく納得してしまうが、よく考えるといささか疑わしい部分もある。
 

examination

credit: Xin Li 88 via FindCC

 
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